Part 4 - Final

日本とAppleの特別な関係

2026年4月1日、Appleは創業50周年。iPhoneは知っている、AirPodsも持っている、でもAppleのことはよく知らない——そんな人にこそ知ってほしい、Appleと日本の歩みがある。

g.O.R.i / 13 min read

2026年4月1日、Appleは創業50周年。iPhoneは知っている、AirPodsも持っている、でもAppleのことはよく知らない——そんな人にこそ知ってほしい、Appleと日本の歩みがある。意外と知られていないが、Appleにとって日本は特別な市場だ。

1983
初代Macより先に、日本法人はできていた
Apple 銀座

Appleが日本にオフィスを開設したのは1983年。初代Macintoshの発売が1984年だから、製品が届くよりも先に日本市場への布石を打っていた。

2003年にオープンしたApple 銀座は米国以外で初のApple直営店。現在日本にはApple直営店10店舗。日本のサプライヤーは約1,000社、過去5年間の支出は総額1,000億ドル以上。横浜にテクノロジーセンター。Appleが日本で支える雇用は100万人超。Appleにとって日本は「一緒にものづくりをするパートナー」。

10
日本国内のApple Store直営店
1,000社
日本のサプライヤー
1,000億ドル
過去5年間の支出総額
100万人
日本で支える雇用

電車の中が、iPhoneだらけになった日

「Appleが日本に浸透したな」と実感したのは日常の風景が変わった瞬間。電車に乗ってもどこを見ても丸いホームボタンの画面。みんなの耳からAirPods。テクノロジーの一般化を測る基準は「母親や妻が当たり前のように使うようになったかどうか」。日本は「へぇそれ使ってるの?じゃあ僕も!」の流れが顕著で、結果的に世界から「異常」と言われるほど高いiPhoneシェアに。「この使い方が分からない」という悩みに対して同じiPhoneの人からすぐ助けてもらえる。

2016
Suicaが、ガラケー時代を終わらせた

iPhone 7のSuica対応は歴史的

Tim Cook氏も日本を訪れ体験。京都の伏見稲荷→任天堂本社→新宿から原宿までJRで電車移動。Apple Payを試したかった。表参道では気さくにセルフィーやiPhoneへのサインに応じていた。僕の中では、ガラケーに赤外線機能が搭載されてテレビのリモコン操作できるようになった時と同じ感動。

コロナ禍を経てQRコード決済も大流行、PayPayもなくてはならない存在に。

iPhone 7 Apple Pay Suica

「賞を取ったらMacにしてください」

会社員時代、上司に「僕がこの賞を受賞できたら、社内パソコンをMacにしてください」と直談判。無事表彰されMac使用の許可を得た。その後、その上司もMacBook Air 11インチに乗り換え。「小さくて軽くて、家に仕事を持ち帰るときに便利」と嬉しそうに話していた。

Tim Cookと日本の特別な関係

Tim Cook氏はCEO就任以降、確認されているだけでも少なくとも5回来日している。Apple Storeを訪れ、日本のアプリ開発者と交流し、サプライヤーの工場を視察し、熊本の学校で子どもたちとiPadに触れる。2016年、2019年、2022年、2025年と定期的に来日しており、約3年に1回のペースで日本を訪問。CEOが繰り返し足を運ぶこと自体が、Appleにとって日本が重要な市場であることを物語っている。

2024年のインタビューで「人生で大切なことは?」と聞かれたTim Cook氏は、「人々の生活をより良くすること」と答えた。その言葉に嘘がないことは、来日するたびに見せる彼の姿勢が証明している。

iPhone 5sとiPhone 5cを買うために徹夜して並び、結局購入できなかった。午前休を取ったにもかかわらず手ぶらで帰社。渋谷の冷たい路面。

初めて自ら行列に参加したApple Storeのグランドオープンは、Apple 表参道。朝7時半頃到着で前に約300人、開店前には約1,000人。炎天下で2時間以上待ちAppleが水や日傘を配ってくれた。オープンの瞬間、青いTシャツの店員が猛ダッシュでハイタッチしに来る。先着5,000名限定のオリジナルTシャツ。Angela Ahrendts氏やSteve Cano氏も来店。

iPhone Xの発売日、Apple 渋谷で21時30分時点で108~115人、Apple 表参道で22時34分時点で300~305人。この時の最大の衝撃は「日本語がほとんど聞こえなかった」こと。行列のほとんどが外国人。かつて「ファンとしてのお祭りイベント」だったiPhone発売行列待ちが、いつの間にか転売目的の場に変わっていた。

フリック入力を考えた人は天才だ

— 日本発のイノベーション

フリック入力
日本発のイノベーション

フリック入力は本当に凄い発明。フリック入力は、モバイルにおけるジェスチャー入力の先駆けとなった。日本発のイノベーションがグローバルなモバイル体験に影響を与えた。Appleと日本の関係は一方通行ではない。

iPhoneフリック入力キーボード

ガラケー時代からiPhone時代へ

ガラケー全盛期

赤外線通信、おサイフケータイ、ワンセグ。 世界に先駆けて実装された機能の数々は、 日本の技術力の証だった。 ガラケーに初めて赤外線機能が搭載されて テレビのリモコンを操作できるようになった時の感動は 今でも覚えている。

iPhone + Suica時代

2016年、iPhone 7のSuica対応が決定打に。 「じゃあガラケーもういいや」の引き金となり、 コロナ禍を経てQRコード決済も大流行。 あの改札のタッチから、すべてが始まった。

Apple Park Rainbow

50年目の今、次の50年へ

Apple Intelligenceの日本語対応は2025年4月に開始済み。電車の中の丸いホームボタン、耳から生えたAirPods、改札でかざすiPhone、カフェで開くMacBook。日本の日常にはもうAppleが当たり前のように溶け込んでいる。

次の50年、Appleと日本はどんな景色をつくっていくのだろう。1人のAppleファンとして、それがとても楽しみだ。