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Apple Watch Ultra 3 レビュー:地味な正統進化

劇的変化はないが、バッテリー6時間延長と5G・衛星通信でかゆいところに手が届く完成度

Appleが2年ぶりにアップデートしたApple Watch Ultra 3が登場した。バッテリー駆動時間の6時間延長、5G対応、双方向の衛星通信機能、健康機能の強化など、数値上は確実な進歩を遂げている。しかし、これらの進化は果たして体感できるレベルなのだろうか。

結論から言うと、Ultra 3は「地味な正統進化」と呼ぶにふさわしい仕上がりだ。AirPods Pro 3ほどのインパクトではないが、かゆいところに手が届く堅実なアップデートを遂げている。Ultraシリーズの本質である大画面、圧倒的な電池持ち、頑丈さという魅力を損なうことなく、確実に完成度を高めた。

Ultra 2が昨年アップデートされなかったことで、新モデルを心待ちにしていたUltraシリーズ愛用者は多いだろう。僕もその一人だ。初代UltraとUltra 2を使い続けてきた立場として、Ultra 3が本当に買い換える価値があるのか、一足先にレビューする機会を得たので実際に使ってみた感想を届けたい。

画面とバッテリーの進化は体感できるのか

Apple Watch Ultra 3 comparison other models 01
左がUltra 2、右がUltra 3。ベゼルが薄くなっている

発表で最も期待していたのは、大画面とバッテリー性能の向上だった。ケースサイズを変えずに外枠を24%細くしたことで表示領域が拡大している。極力iPhoneをポケットから出したくない僕にとって、Apple Watchの画面は大きければ大きいほど良い。

写真で比較してみると、明らかにUltra 3のほうが画面が大きい。ただし実際に使ってみると、画面の大型化は意外にも体感しづらい。期待していたほどの劇的な変化は感じられなかった。

一方で、常時表示モードのリフレッシュレートが1分間に1回から1秒に1回へ改善されたことで、より「腕時計」らしくなった。常に秒針が動いている状況は、熱いとしか言いようがない。

Apple Watch Ultra 3 comparison other models 03

電池持ちの改善は確実に体感できる

バッテリー性能については、間違いなく進化を実感している。最大36時間から42時間へ6時間も延長され、低電力モードなら最大72時間使用可能だ。

実際にUltra 3とUltra 2を両腕に装着して比較テストを行った結果、明確な差が確認できた。22時40分時点でUltra 3が71%、Ultra 2が52%と、約19%の差が生まれていた。購入から2年経ったUltra 2のバッテリー劣化も影響しているが、新モデルの電池持ちは確実に向上している。

Apple Watch Ultra 3 in the wild Review 02

使い始めた当初は2日に1回の充電で十分だったが、最新モデルなら3日目まで使えそうな予感がある。

高速充電は少し物足りない

39%から30分間充電したところ、67%まで回復した。約45分で76%に到達している。15分の充電で最大12時間駆動するため実用上は問題ないが、Series 11が30分で0%から80%まで回復することを考えると、やや物足りない。電池容量が多い分、仕方ない部分もあるだろう。

注目の健康機能は実用的か

watchOS 26で追加された高血圧通知機能は、30日間のデータを継続的に分析し、一貫した高血圧の兆候を検出した場合に通知する画期的な機能だ。世界中で約13億人の成人に影響を与える高血圧は、心臓発作、脳卒中、腎臓病の主要なリスク要因だが、自覚症状がないため見逃されやすい。

光学式心拍センサーから得られるデータを活用し、血管が心拍にどのように反応するかを分析する仕組みは、10万人以上の参加者による複数の研究データでトレーニングされた高度な機械学習によるものだ。日本でも年内に提供開始予定で、Series 9以降とUltra 2以降で利用できる。

睡眠スコア機能も注目すべき追加機能だ。睡眠時間、就寝時間の規則性、目が覚める頻度、各睡眠ステージの時間を記録し、総合的なスコアと詳細な分類を提供する。実際に使ってみると、現地取材時の睡眠スコアは最悪(22点)だったが、帰国後にしっかり休んだ日は最高得点(100点)を記録した。スコアは0〜100点の5段階で評価され、改善点が明確に見えてくる。

地味だが便利なのが手首スナップによる通知解除機能だ。子どもと手を繋いでいるときに時計を見たいが通知で時間が確認できない、といった問題が解決される。指先ダブルタップと合わせて、ハンズフリー操作がより便利になった。

Ultra 3の目玉は通信機能の進化

今回のアップデートで注目すべき進化は5G対応と双方向の衛星通信機能だ。5Gにより音楽、ポッドキャスト、アプリのダウンロードが高速化され、衛星通信では電波の届かない場所でも緊急通報サービスへのテキストメッセージ送信、友人や家族へのメッセージ送信、位置情報共有が可能になった。

Apple Watch Ultra 3 comparison other models 04

アクティベーション後2年間は、衛星経由の緊急SOS、「探す」機能、メッセージを無料で利用できる。山奥や海上でも連絡が取れる安心感は、Ultra 2までの緊急SOSのみの機能から大幅に進化している。

……ただし、僕はこれらの機能はおそらく活用できないだろう。セルラー機能は全く使って折らず、衛星通信は(良くも悪くも)使う機会は無さそうだ。

Ultra 2やSeries 11との賢い選び方

Apple Watch Ultra 3 comparison other models 05

Ultra 2からの主な変更点は以下のとおりだ。S9チップからS10チップへの進化により処理能力と電力効率が向上。ディスプレイは表示領域が1,185平方ミリメートルから1,245平方ミリメートルへ拡大し、外枠が24%細くなった。バッテリー駆動時間は通常使用で最大36時間から42時間へ6時間延長され、通信機能は5G対応と双方向の衛星通信に進化している。

Series 11は46mmモデルで最大24時間、低電力モードで最大38時間のバッテリー駆動時間を実現。約30分で0%から80%まで充電可能な高速充電性能は、Ultra 3の約45分と比べて優秀だ。大画面と長時間電池持ちを求めるがUltraのゴツゴツしたデザインを避けたい人には、Series 11がおすすめだ。

Apple Watch Ultra 3は買い換えるべきか

Apple Watch Ultra 3 in the wild Review 07

初代Ultraユーザーなら、電池の劣化もあるため買い換えをおすすめする。S8チップからS10チップへの進化、ディスプレイ輝度の2,000ニトから3,000ニトへの向上、通常使用時のバッテリー駆動時間が最大42時間への延長など、大幅な進化を享受できる。

Ultra 2ユーザーは必ずしも買い換える必要はない。電池持ちやディスプレイのリフレッシュレート向上をそれほど重要視していないなら、値下げされるであろうUltra 2が狙い目だ。

僕はUltra 3を予約済みだ。上記の新機能がすべて欲しい上に、Ultra 2の電池持ちが心許なくなってきたからだ。これまでは風呂の間以外は常にApple Watchを身につけるため、Ultra 2とUltraを贅沢に交互使いしていたが、高速充電と圧倒的な電池持ちを活用すれば1台で十分賄えそうだ。

正直なところ、Ultraの目玉機能は全く使えていない。5Gに対応してもセルラーを使う機会はゼロ。衛星通信機能はいざというときにありがたいが、衛星通信しか使えない場所に行く予定はない。

それでもUltraシリーズを選ぶ理由は明確だ。大画面、圧倒的な電池持ち、どれほど雑に扱っても壊れる気配がない頑丈さに魅力を感じている。iPhone依存を少しでも減らすため、Apple Watchで確認できる「ちょっとした情報」は見られるようにしたい。大画面と長時間電池持ちは、僕の使い方に完璧にマッチしている。

Apple Watch Ultra 3はAirPods Pro 3のような「実はものすごく進化していた」と言えるほどの大幅進化ではないが、かゆいところに手が届く堅実なアップデートだ。Ultraシリーズの本質を理解している人にとって、これは間違いなく「買い」と言える仕上がりになっている。

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更新日2025年09月17日
執筆者g.O.R.i
コメント(2件)

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  1. g.O.R.i(コメントID:706330)
    コメント先:通りすがりの読者(コメントID:706327)
    >衛星通信しか使yえない場所

    うおおおおお失礼しました!ありがとうございます!

  2. 通りすがりの読者(コメントID:706327)

    >衛星通信しか使yえない場所

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