Apple Watch Series 3 レビュー
GPSモデルが「買い」 LTE通信は活用する機会がほとんどない
LTE通信機能を備えた「Apple Watch Series 3」は、ついにiPhoneを置き換える存在になったのか。
僕の場合はNOだ。冷静に考えて手首に収まるようなものが単体で通信できることは驚くべきことであるが、残念ながらまだまだ “スマートウォッチ” の域を出ていない。
となると、「Apple Watch Series 3」は「買い」なのか。特に、これからApple Watchを買おうとしている人はセルラー通信が可能なGPS+LTEモデルを買うべきか、GPSモデルを買うべきなのか。
「Apple Watch Series 2」から乗り換えてかれこれ2ヶ月以上経った今、「Apple Watch Series 3」の使用感や必要性について解説する!
「Apple Watch Series 2」との違い
僕は「Apple Watch Series 2」から買い替えている。「Apple Watch Series 3」との違いは下記の通り:
- LTE通信に対応した
- プロセッサーの処理能力が向上した
- ストレージ容量が増えた
- スピーカーが搭載され、Siriが声を発することができるようになった
LTEに対応したモデルを持っているため、デジタルクランが赤くなっているが、それを除けば外観の差はほとんどない。実際は厚みが僅かに増しているが、体感としては全く変わらず、見比べてみてもその差は全く分からない。
僕が購入したモデルは「スペースブラックステンレススチールケースとスペースブラックミラネーゼループ」という、税込91,584円もするモデルだが、「新しいものを身につけた」と言う感覚を味わうことはできない。
LTE対応は、便利にも、不便にもならなかった
「Apple Watch Series 3」最大の特徴であるLTE通信対応だが、僕の場合、全くもって恩恵を受けていない。LTEモデルであることを忘れるぐらいには、LTE通信が役に立っていない。
もちろん、だからと言って邪魔というわけではない。便利になった訳ではないが、不便になった訳でもない。
購入前、僕はLTEモデルで何かが変わると期待していた。iPhoneを持ち運ばなくなるとは思っていなかったが、LTEがあるからこそApple Watchの使い方や活用方法に変化が生まれるのではないかと期待していた。
買った直後は意識的にApple Watchの可能性を試していたが、2ヶ月経った今、全く活用することができていない。上記記事にまとめた5つの使い方を、2ヶ月経った今の使い方と照らし合わせてみたいと思う。
1. 「Apple Music」のストリーミング機能は全く使わない
「watchOS 4.1」から「Apple Watch Series 3」で音楽ストリーミングが利用可能になった。LTE通信機能を活かし、iPhoneを使わずに直接Apple WatchからBluetoothヘッドホンにストリーミング再生することが可能になったのだ。
今のところ一度も使ったことがない。そして、この先も使おうとも思わない。
理由は、常にiPhoneを持ち歩いているから。あえてより電池容量の少ないApple Watchからストリーミングする理由が全くないのだ。
2. 通知は便利だが、LTEの恩恵は受けていない
LTE通信に対応しているお陰で、iPhoneが無くても受けられる通知があることは事実。ただし、残念ながら大多数のサードパーティアプリは「Apple Watch Series 3」のLTE通信に対応せず、iPhoneを自宅に置いたまま外出した場合、困ることの方が多そうだ。
3. Siriは早くなったが、LTEの恩恵は受けていない
Siriのレスポンスは「Apple Watch Series 2」から目に見えて高速化され、驚くほどスムーズに答えを返してくれる。
電波状況さえよければこのスピーディさはiPhone無しでも体験できるが、iPhoneを常に持ち歩いているため、LTEの恩恵を受けているというよりも、プロセッサーの処理能力向上の恩恵を受けているように思える。
4. マップは全く使わない
Apple Watch単体でマップが利用できることはいつか役立つかもしれないが、この2ヶ月間、起動したこともない。未だに僕はApple純正の地図アプリは信用していないので、iPhoneでも起動していない。
5. 通話は選択肢としてあるのは良いが、普段は使わない
「Apple Watch Series 3」で通話したのは、この2ヶ月間で1回だけ。あえてApple Watchで通話する理由が見当たらない。
実際に通話してみたところ、手を下げた状態で話しかけてもほとんど聞こえないとのこと。まともに通話するためには、時間を見る時と同じように手首を顔近くまで上げた状態をキープして話すという、極めて不格好な状態で通話する必要がある。
最初のうちは自分が最先端のことをしている優越感に浸ることができるが、窓ガラスに映る自分を見てそのダサさに唖然とするはず。
とは言え、腕時計で通話できる、ということは冷静に考えるとすごいことだ。メインの選択肢ではなく、例えばペアリングしたiPhoneを落としてしまった時など、手元にiPhoneがない時で通話したい時に活用するための最後の選択肢として捉えるのが良いだろう。
バッテリーは優秀、LTEを切ればさらに優秀
「Apple Watch Series 3」に変えてから唯一「変わった!」と言い切れるのが、電池持ち。入手してからしばらくの間は「Apple Watch Series 2」との変化は感じられなかったが、LTEを使わない場合、オフすることができることに気付き、以降、デフォルトでは無効化した状態で使い始めた。
その結果、目に見えて電池持ちが伸びた。iPhoneを機内モードにすると電池持ちが劇的に伸びるのと同じように、「Apple Watch Series 3」の通信方法をWi-FiとiPhoneとのBluetooth通信に限定することによって、電池持ちが大幅に改善されることを確認した。
LTEはwatchOSのコントロールセンターから簡単にオン・オフを切り替えることができるので、必要な時に有効化している。
Apple Watchで使う「Apple Pay」は便利だが、エクスプレスカードはiPhone派
「Apple Watch Series 2」からも対応していたが、「Apple Watch Series 3」への乗り換えを期に「Apple Pay」を登録してみることに。これまではiPhoneだけで利用してきたが、手首をかざすだけで自販機やコンビニで決済ができるのはiPhoneよりも手軽で便利なのではないか、という予想だ。
結論から言うと、Apple Watchで「Apple Pay」が利用できるのは便利だが、エクスプレスカードはiPhoneの方が落ち着く、と感じた。
Suicaがエクスプレスカードに設定されている場合、端末をかざすだけで決済できる。改札を通るためのSuicaはこの設定がなければ毎回「Touch ID」または「Face ID」で認証しなければならない。
現状、エクスプレスカードに設定できるカードは1枚のみ。iPhoneとApple Watchでは同じカードを利用することができない。
Apple Watchでエクスプレスカードを設定している場合、iPhoneのようにポケットから取り出す手間がなく、かざすだけで改札を通ることができる。コンビニや自動販売機も、かざすだけで商品を購入することができる。
取り出す、という手間がないだけで圧倒的に便利であると実感した一方で、改札を通る時に左手をかざすのはやはり行動として不自然だ。右手に付ければ良い、という意見もあるかもしれないが、十数年左手につけてきた時計を「Apple Pay」のために右手に移そうとは思わない。
行動の不自然さよりも不安に感じたのは、電池持ちと認証失敗した時の対処法。
「Apple Pay」は電池が切れてしまうと使うことができないが、電池容量を考えると、Apple Watchの方が圧倒的に電池切れになるリスクが高い。万が一電池切れになった場合、専用の充電器を必要とするため、充電できる可能性はiPhoneよりも遥かに低い。電池持ちが圧倒的に改善されているとは言え、電池切れで電車に乗車できないとなると困る。
認証に失敗した場合、駅員に端末を渡して入場記録などを見てもらうこともあるが、Apple Watchを外して駅員に渡してと、手間が掛かる。
どちらも遭遇する可能性は低いものの、僕は不安の方が勝り、エクスプレスカードをすぐに「iPhone X」に戻してしまった。
とは言え、Apple Watchに「Apple Pay」を設定しておくことに越したことはない。非常にレアなケースかもしれないが、ぐずる子どもにiPhoneを渡してしまっている時、コンビニで飲み物を買いたい時にApple Watchでカードを設定しておけば必要な時に支払いを済ませることができる。
そもそもApple Watchは便利なのか、について
「Apple Watch Series 3」の機能を紹介したが、そもそもApple Watchは便利なのか、という根本的な疑問を持っている人もいるかもしれない。Appleのスマートウォッチを使い始めてから2年以上経つが、当初使い込んでいた様々な機能も今となっては使わなくなってしまったものも増えた。
次項ではそれぞれについて説明する。