iPhone Air レビュー:裸で使え
史上最薄5.6mmが実現する誘惑的体験、ケース装着で魅力が完全消失する革新デバイス
Appleが発表したiPhone Airは、iPhone史上最薄の5.6mmという驚異的な薄さを実現した革新的なデバイスだ。従来のiPhoneの常識を覆すこの新しいカテゴリーのスマートフォンを、発売前に体験する機会を得たので、限られた時間の中で感じたことを紹介したい。
iPhone Airは単なる薄型モデルではない。iPhone 17シリーズとは明確に異なる位置づけを持つ、全く新しいiPhoneの提案なのだ。
iPhone Airの立ち位置を理解する
まず、iPhone Airの強みと弱みを整理したい。iPhone 17やiPhone 17 Proとの違いを明確にすることで、このデバイスが誰のためのものかが見えてくる。
iPhone 17にあってiPhone Airにないものは意外に少ない。最も大きな違いは素材だ。iPhone 17が航空宇宙産業レベルのアルミニウムフレームとカラーインフューズドガラス背面を採用するのに対し、iPhone Airはグレード5チタニウムフレームとCeramic Shield背面を採用している。充電面では、iPhone 17のMagSafe最大25W、有線20分で50%充電に対し、iPhone AirはMagSafe最大20W、有線30分で50%充電とやや控えめだ。
iPhone 17 Proとの差はより顕著だ。GPUコア数(Pro:6コア、Air:5コア)、ベイパーチャンバーの有無、専用望遠カメラ(Proは8倍光学ズーム対応)、USB 3対応(AirはUSB 2)、LiDARスキャナーなど、プロ向け機能が大幅に削られている。
一方、iPhone Airだけの特徴も多い。最大の魅力である5.6mm・165gの薄型軽量設計に加え、A19 Proチップ(iPhone 17はA19)、カスタムメインレンズ(28mmと35mmの焦点距離選択可能)、専用画像パイプライン、Apple C1Xモバイル通信モデム、3Dプリント チタニウム製USB-Cポート、専用MagSafeバッテリーによる最大40時間のビデオ再生などだ。
つまりiPhone Airは、薄型軽量という圧倒的な体験を優先しつつ、カメラやチップではiPhone 17を上回る部分もある、独自のポジションを確立しているのだ。
極薄・軽量がもたらす新しい体験
iPhone Airの最大の魅力は、薄くて軽い「のに」大画面を搭載している点だ。iPhone 16 Proを使ってきた僕としては、iPhone Airを触るたびに「これなら良いな、これならほしいな、毎日使いたいな」と本気で思えるほど気に入っている。
ただし、この魅力はケースを付けることで激減する。Apple純正のバンパーケースを使っていたが、iPhone Airの魅力が完全に失われると言っても過言ではない。裸で使うためのiPhoneであると感じた。
画面サイズはiPhone 17 Proよりわずかに大きく、片手操作には限界がある。iPhone 16 ProやiPhone 15 Proの6.1〜6.3インチサイズに慣れている人は「大きすぎて片手操作が難しい」と感じる可能性が高い。それでも、そのちょっとした不便さを我慢してまで使いたくなる誘惑が、iPhone Airの薄さと軽さと画面の大きさにはある。
興味深いことに、MagSafeバッテリーを使うのであれば、逆にケースがあった方がいい。特にバンパーケースが最適で、厚みを増すMagSafeバッテリーを取り付けても持ちやすくなる。
薄さの弊害として発熱しやすさがあり、iPhone 17やiPhone 17 Proと並行して使った結果、iPhone Airは特に熱を帯びやすいという印象を受けた。
薄さを実現するための犠牲として、もう1つ触れておきたいのがスピーカーだ。iPhone Airはモノラルスピーカー仕様になっている。圧倒的な薄さを実現するためには仕方がない犠牲とも言えるが、Proモデルから買い換える人は音圧および音量が不足する覚悟は持っておいた方が良いだろう。
スピーカーは通話時にも使用するスピーカー部分が、音楽や動画などを再生する際に使うスピーカーを兼務する。縦持ちではそれほど気にならないが、横向きにしたときは必然的に左側から音が出てくるため、ステレオスピーカーに慣れていると違和感があるはずだ。これは弁明の余地がなく、「薄さのためにステレオスピーカーを犠牲にした」と言っても仕方ない。幸いにもAppleにはAirPodsやHomePodなど、iPhoneのスピーカーに頼らずとも魅力的な音を楽しめるオーディオデバイスがある。Appleとしては「どうしても良い音が聞きたいならAirPodsやHomePodを使ってくれ」と思っているに違いない。
予想以上に健闘するバッテリー性能
最も多くのユーザーが懸念しているのはバッテリーだろう。公称値ではiPhone 16 Proと同じ「ビデオ再生」時間を実現しているというが、実際に検証してみると「意外と健闘している」と感じた。
通常使用の検証では、10時43分から22時39分まで使用した結果、iPhone Airは40%、iPhone 17 Proは48%、iPhone 17は57%だった(約12時間経過)。YouTube 4K映像の連続再生テストでは、約9時間後の14時15分時点で、iPhone Airは42%、iPhone 17 Proは62%、iPhone 17は56%という結果になった(約9時間経過)。
確実に他モデルより電池持ちは劣るが、想像していたほど極端な差ではなかった。普段からiPhoneの電池が足りなくなるほど使い倒している人には不向きだが、ライトユーザーなら十分実用的だろう。
充電速度については興味深い結果が得られた。最大100W出力のUSB-C充電器を使って約20分間充電したところ、iPhone 17は54%→80%、iPhone 17 Proは60%→79%、iPhone 17 Pro Maxは62%→81%、iPhone Airは39%→83%という結果になった。iPhone Airは他モデルより低いバッテリー残量からスタートしたにもかかわらず、最も多く充電されている。
気になる充電時の入力W数だが、iPhone 17は充電開始時に最大25W前後を推移していた。iPhone 17 Proは25〜30W、iPhone 17 Pro Maxは40W以上になることもあったが、iPhone Airは20Wを超えることはほとんどなく、18W前後で充電されていた。入力W数は控えめながら、実際の充電効率は予想以上に良好だった。

シングルレンズが示すカメラの新境地
「カメラ数が多い=上位モデル」というイメージを作ったのは他でもないApple自身だ。しかし、iPhone AirのシングルレンズはiPhone 17より優れている面もある。
専用に開発された新しい画像パイプラインにより、1倍ズームで28mmと35mmの焦点距離を変更でき、光学2倍ズームも利用できる。さらに単眼カメラでもポートレートモードを実現しており、不思議なことにiPhone 17のポートレートモードに比べて格段に精度が良い。人物以外も自然と背景がボケており、十分な光量が確保できれば積極的に使いたいほど、よくできている。





非常に感覚的な話になるが、iPhone Airのシングルレンズで撮影した写真は「何か、ちょっと良い」気がする。「やっぱりiPhoneのカメラはProが一番」と思いながら撮影された写真を見ると「結構いいな」となる不思議な感覚を何度も味わった。
新しいセンターフレームフロントカメラは、人を認識して自動的に画角が変わる機能が楽しく、手動で必要に応じて画角を変えられるのも想像以上に便利だ。縦持ちで撮影することで、自然と目線が合う点も魅力だ。

これだとどうしても狭い

ちょっと広くなる
以下にiPhone Airで撮影した作例を載せておく。なお、iPhone 17で撮影した写真は純正写真アプリ内でできる程度の基本的な補正のみ行った。






iPhone Airは「エレガント担当」
iPhone Airは今年のiPhoneラインアップの中で「エレガント担当」だと思っている。狙っているユーザーも「エレガントにiPhoneを使いたい」という人だろう。
シャキッとしたスーツを着たビジネスパーソンの胸ポケットからスッとiPhone Airが出てきたら格好良い。小さい鞄のサイドポケットからスマートに取り出す姿が似合う。片手操作しながら生き急いでいるような人ではなく、優雅に両手を使いながら画面を操作するような人にこそ最適だ。
そういう人だって時にはiPhoneをガツガツ使う日がある。そのためにMagSafeバッテリーがあり、オシャレにぶら下げたい時はクロスボディストラップを使えばいい。
確かに僕たちは「薄くして、軽くしてほしい」とは言っていない。しかし実際にiPhone Airを使ってみると、今までのiPhoneにはない「薄くて軽くて大画面」という、不思議な感覚が味わえる。
最近のiPhoneは、実機を触らなくてもある程度想像が付く端末が多かった。しかしiPhone Airは別だ。少しでも興味がある人は焦って予約せず、19日の発売後にじっくりと店頭で触って自分の使う体験をイメージした上で、購入してもらいたい。



























実物はまだ触れてないですけど売ってるケース触ってみてこれどうなんだ?って思ってましたけどやっぱり裸運用のが良さそうですよね
MagSafeスマホリング使えば落下のリスクは減りますし
わかりました…Airのために…俺、脱ぎます!
薄して、軽くしてほしい?
全く異なるもの、と思ってもらって良いと思います!
同じシングルカメラの16eとは性能や画質は全く異なる感じなんでしょうかね。