AirPods Pro レビュー
AirPodsと比較してデザインや機能、音質などすべてが進化した”Pro”モデル
AirPods Proは、AirPods(第2世代モデル)の魅力や良さを引き継いだ”Pro”シリーズ。
アクティブノイズキャンセリングや防滴仕様が加わり、待望のインナーイヤー型の採用で「AirPodsは欲しいけど耳の形に合わない」問題を解決した。
本記事では2019年3月に発表されたAirPods(第2世代)のデザインや機能、音質や価格などを比較対象としつつ、新たに発売されたAirPods Proを紹介する!
目次
”うどん”感がなくなった本体、充電ケースも横長に
AirPods Proのデザインは、AirPodsからガラッと変わっている。
AirPods Pro本体(イヤピース)
AirPods Pro本体(イヤピース)の長さは、約半分になった。従来は”うどん”と揶揄されていた柄の部分も短くなり、従来より目立たない。インナーイヤー型に変更され、従来のAirPodsが耳に合わなかった人でも装着できる可能性がある。
シリコン製のイヤーチップは大中小の3サイズが同梱され、自分の耳に合うサイズは、iPhoneの設定アプリから確認できる。「Bluetooth」項目にあるAirPods Proの横に表示されている「i」をタップすると出現する、「イヤーチップ装着状態テスト」から行う。
イヤーチップは一般的なインナーイヤー型イヤホン用に用意されているものとは全く異なる構造だ。サードパーティ製のものを取り付けることは、現時点ではできないと考えた方が良さそう。
柄の部分は短くなり、操作用ボタンが内蔵されている。AirPods Proは有線型の「EarPods with Lightning Connector」に近い操作性が実現されている。
一般的なBluetoothイヤホンは、イヤピースを内向きに押し込み操作することが多いが、AirPods Proは、柄の部分を2本の指で挟み込み操作する。耳への負担がなく、快適だ。
操作すると指先に触覚フィードバックがある。Apple純正のリモコン付きイヤホンと操作は近いため、昔からiPhoneを使っている人はすぐに馴染めるだろう。
AirPods Proの操作方法 | |
---|---|
1回押す | 再生、一時停止、電話に応答 |
2回押す | 次の曲にスキップ |
3回押す | 前の曲にスキップ |
長押し | アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードを切り替え |
Hey Siri | 曲の再生、ノイズキャンセリングのオン・オフなど各種操作が可能 |
AirPods Pro充電ケース
充電ケースは、従来よりも横長になっている。AirPodsの充電ケースを横向きにした時のサイズ感と似ている。
充電ポートはLightningのまま。AirPods(第2世代)と同様にワイヤレス充電にも対応しているので、自宅にあるワイヤレス充電パッドに載せるだけで電池不足を解消できる。
装着感とアクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモード
AirPods Pro最大の特徴はノイズキャンセリング機能だが、それ以上に外部音取り込みモードの自然さを高く評価する声が多い。
装着感:他のインイヤー型とは違う
AirPodsが抜け落ちたことはないが、AirPods Proはさらなるフィット感と安定感がある。
インナーイヤー型イヤホン特有の、耳が必要以上に密閉された不快感が全くない。AirPods Proのデザインアクセントにもなっている、黒い通気口が大きく貢献しているようだ。
外部音取り込みモード:従来のAirPodsに近い装着感を実現
装着の自然さは、外部音取り込みモードを有効化すると一層増す。快適さのあまり、耳に入れっぱなしで過ごしていても不自由しない。
外部音を取り込んでくれる機能は珍しい機能ではないが、過去に試してきた製品はどれも音が不自然だった。AirPods Proは音が自然で心地良い。AirPodsの「まるで身に付けていないような装着感」も好きだが、インナーイヤー型のAirPods Proでも外部音取り込みモードを使えば同様の体験が実現できてしまうのだ。
試しにAirPods Proを装着したまま、タリーズでコーヒーも問題なく買えた。
自宅でも装着した状態で娘と会話したが、全く問題ない。テレビの音も聞こえる。妻との呼びかけにもいつもどおり反応でき、騒がしい犬の鳴き声も耳に突き刺さる。イヤホンをしているのに、していない状態に限りなく近いのだ。
アクティブノイズキャンセリング:AirPodsの快適さに静粛が追加
AirPodsは、電車に乗る時には向かない。地下鉄ではAirPodsを最大音量にしても、騒音にかき消されてしまう。
AirPods Proは、アクティブノイズキャンセリング機能が搭載されたことで、その欠点を克服した。外側にあるマイクが外の音を感知し、内側にあるマイクがソフトウェアと連携して1秒間に200回音を調整。耳に伝わる頃には余計なノイズが排除された、聴きたい音だけが聞こえる状態になるそうだ。
ノイズキャンセリング機能の優秀さもさることながら、外部音取り込みモードからノイズキャンセリングモードに初めて切り替えた時の感動は忘れられない。切り替わるタイミングがあまりにも心地良すぎる。外部音取り込みモードに戻す時も、「ピコーン!」という優しい音とともにスッと戻る。
これまで試してきた外部音取り込みモードを持つヘッドホンは、外部音を電子化したような不自然な音だった。必然的に「メインはノイキャン有効、必要に応じて外部音取り込み機能を使う」だったが、AirPods Proは「外部音取り込みモードが基本、集中したい時にノイキャン有効」になりそうだ。
AirPods Proは、AirPodsの使い勝手をそのままに、ノイズキャンセリング機能を載せた、と言っても過言ではない。1日中耳の中に入れたままでも快適さは変わらないのだ。
ノイズキャンセリングを有効化した状態で音楽を流すと、感動は増す。外部音取り込みモードに切り替えると、かき消されていた雑音が入ってくるが、音楽はそのまま。従来のAirPodsと同じような聞こえ方になる。サイドノイズキャンセリングを有効化すると、またスッと雑音が消える。
この切り替えが、最高に気持良い。あまりにも自然と切り替わるため、まるで自分の耳が超能力を得たような気分になる。Appleの技術力に感動した。
なおノイズキャンセリングと外部音取り込みモードは、AirPods Pro本体、iPhoneのコントロールセンター長押し、設定アプリのBluetooth項目、Apple Watchから切り替えられる。
音質:AirPodsよりも確実に改良、”Pro”かどうかは不明
AirPods Proの音質はどうなのか。
Appleによると、耳の形に合わせて自動的に音楽の低音域部分と中音域部分を調整する「アダプティブイコライゼーション」、音質の最適化や20Hzまでの低音と正確な中高音域を安定して提供できる専用の「ハイダイナミックレンジアンプ」を内蔵している。
インナーイヤー型になり耳に密閉されるため、低音や中音域は以前よりもハッキリと聞こえるが、音質という意味では特別な感動はなく、”Pro”感もない。基本的にはAirPodsの音質の延長線上にある、という印象を受けた。
音の解像度は、高いとは言い難い。直前まで使っていたゼンハイザー製のオーバーイヤーヘッドホン「MOMENTUM 3」は、”音楽を浴びている”ような解像度がある。物理的なサイズや構造が全く異なるため当たり前だが、そのような音質をAirPods Proには期待しない方がいい、ということは知ってもらいたい。
ただし”音が悪い”わけではない。矛盾するような表現だが、僕はこの音がとても気に入っている。様々なジャンルの音を快適に聴くことができ、課題とされていた低音も必要以上に強調されているような印象はない。
僕はAirPods Proの音が好きだ。音楽、ポッドキャスト、YouTube、がすべて楽しめる。耳にスポッと入る。軽い。Appleデバイスとの連携が最高。外部音取り込みモードへの切り替えが一瞬かつ自然。
音質そのものがトップレベルではなかったとしても、僕は十分満足している。交互に聴き比べればハイエンドヘッドホンなどとの差は感じるかもしれないが、音の専門家でもなければ、十分楽しめるだろう。
電池持ち:ノイズキャンセリングを使ってもほぼ変わらず
AirPods Proの凄いところは、優れたノイズキャンセリング機能/外部音取り込みモードを用意しておきながら電池持ちはどちらも最大5時間だということ。
AirPodsは単体使用で5時間、ケース付きで24時間。AirPods Proは単体使用で最大5時間、ノイズキャンセリング機能/外部音取り込みモードを有効化した状態でも4時間半、無効化した状態で5時間、ケース付きで変わらず24時間だ。
単体での連続通話時間は最大3.5時間、ケース付きで18時間以上で同じ。高速充電はどちらも対応し、AirPods Proは5分間の充電で約1時間の再生または連続通話が可能となっている。
小さい変更点ではあるが、AirPods Proに同梱されているケーブルは従来のUSB-A端子のLightningケーブルではなく、USB-C端子のものに変更されている。万が一AirPods Proの電池が切れてしまった場合、MacBook ProやiPad ProにあるUSB-Cポートに直接繋いで充電することができる。
耐水仕様:ジムでも安心して利用可能に
ジムに通っていると、AirPodsをトレーニング中に使っている人の多さに驚く。それ耐水性能無いんですけど……。
トレーニング中にAirPodsを使いたい人は、今後AirPods Proを購入すればいい。「Powerbeats Pro」と同じ防水規格「IPX4」を満たしているため、ちょっとぐらいの汗なら問題なく使えそうだ。
ただし、あくまでもは耐汗・耐水仕様となっていて、決して防水仕様ではない。9段階ある基準値として4番目であり、短距離かつ全方向から10分間水をかけても耐えられる性能となっているため、もちろんプールの中は使用不可。海は、もってのほかだ(塩水は電子機器に最悪)。
まとめ:AirPodsよりもさらに買う価値のあるAirPods Pro
AirPods Proは、「AirPodsがこうだった良かったのに」という理想が実現されている。残念ながらブラックなどのカラーバリエーションは用意されなかったが、ノイズキャンセリング機能を持ち、耐水性能になり、音質も強化された。妻と軽く検証したところ、音漏れも多少は改良されているようだ。
改めてAirPods ProとAirPodsの違いを比較してみよう。
AirPods Pro | AirPods 2 | |
---|---|---|
Hey Siri | ✔ | ✔ |
ワイヤレス充電対応ケース | ✔ | ✔ |
バッテリー駆動時間 (単体で利用した場合の再生時間) |
最大4.5時間(ANC有効時) | 最大5時間 |
バッテリー駆動時間 (充電ケースを使った場合の再生時間) |
24時間以上 | 24時間以上 |
イヤーチップ | S/M/Lからカスタマイズ可能 | 固定 |
H1チップ | ✔ | ✔ |
アクティブノイズキャンセリング | ✔ | – |
耐汗・耐水性能 | ✔ | – |
価格(税別) | 27,800円 | 22,800円 |
AirPodsは17,800円から購入することができるが、AirPods Proは27,800円から。1万円の価格差は正直大きい。そして、税込み価格で3万円を超えるとなると、決して手軽に変える価格帯ではなくなりつつある。
3万円となれば、同じく完全ワイヤレスイヤホンで音質を追求したものや、価格がより手頃なモデルなど様々な選択肢が存在する。ただしiPhoneとの連携力に優れ、1日中身に付けていても違和感のない心地良さとすべての音を卒なくこなす音質が実現できるのはApple純正品だけだろう。
AirPods Proは、欲しい時にすっと入るノイズキャンセリング、幅広いシーンで安心して使える耐汗・耐水仕様、改良された音質を持つ。いつでもどこでも使える完全ワイヤレスイヤホンに3万円はむしろ安いかもしれない。ハードに使う人は「AppleCare+ for ヘッドフォン」への加入はお忘れなく。(購入日から30日以降は加入不可)
完全ワイヤレスイヤホン市場を支配しているAirPodsが、さらに進化してしまった。AirPods Proはそのシェアをさらに伸ばしそうだ。
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おめでとうございます!!!買って試したら是非感想をお聞かせくださいませ(*´ω`*)
g.O.R.iさんのレビューを拝見して購入意欲が湧きましたが在庫が全然無くて諦めていたところ、本日夜勤明けで朝にAppleStoreアプリをチェックしたらApple川崎に在庫があったので、すかさず購入しました!これからApple川崎に受け取りに行ってきます!
B&OのH5を現在使用しているのですが、有線故のタッチノイズや数ヶ月ごとにイヤーチップを交換しなければならないのが負担でそろそろ他モデルへ乗り換えようと考えていたとろにこのProの発売。H5に比べて音質的には落ちるだろうとは思いますが、それを上回るメリットがありそうだとこのレビューで納得でき買う決心がつきました。はやいとこ安定供給してくれればいいのですが。欲しかった情報が読みやすく大変参考になりました。
ちょっとまってくださいね、たしかにその機能があった方が助かるというのは100%同意ですけど、AirPodsのケースなくすのはどう考えても自業自得ですしそれをAppleに技術での解決を押し付けるよりも自分がなくさないような努力をしましょうよ……
AirPods Proケースにケース付けましょ!僕はカラビナ付きのケースに入れてカバンの中にあるホックみたいなところに引っ掛けてますよ!
AirPods自体はGPSついてるしとてもいいんだけど、なぜケースにもGPSに付けなかった?ケースも付けないと意味ないだろ
AirPodsのケースすぐなくすしこういうとこがApple劣ってるよな
初投稿いたします。うどん部分を押した時ですが、耳からカチッとクリック音が鳴るだけで、指先への触覚フィードバックはないように思うのですが
すごく気にいってますよー!!こないだ結婚式に行った時に荷物を減らしたくてこれ持ち出したんですけど、すごい良かったなあーって思いました!荷物少ないって素敵!
Powerbeats Proを愛用してるのですが、、、。この記事を読んでぐらついています。。。
ほ…ほしい。。
慣れると思いますー!多分……!
返信ありがとうございます。そのうち慣れますかね⁈
調整できるようになると良いのですが、、
おお、よかったです!ちょっと気になるといえば気になりますが、なんか慣れました僕はwあの音、調整できたら良いんですけどね〜
goriさんのレビューを見て、airpods pro購入しました!買って正解でした。
一つ質問させてください。ノイズキャンセリングを切り替えるときのポーンという音が、結構大きいと感じるのですが、いかがですか?
iPhone,AppleWatchとの親和性考えたら迷う余地なし、なんですよね~。SONY視聴されてましたか!あと半月待てばよかったあああああ。
取材頑張ってください!応援してます!!
僕も実は直前にWF-1000XM3を視聴したのですが、凄いノイズキャンセリング良かったのですが、ソフトウェア系が全然駄目なんですよね……接続の安定性は過去のモデルは本当に最悪でしたw
本当に良いですよ!僕も明日はAirPods Proを持って取材に行くことになりそうです!移動中が楽しみ!
いやー発売直前にSONYのWF-1000XM3を買ってしまって。。。
SONYのは音質、ノイキャンは許容範囲なんですが接続性がいまいちで、
普段QC25と使い分けているんですが、Bluetoothのプツプツ切れ具合が半端ない。
QC25が音質がいいのは当然ですけどねw
ゴリさんのレビューみてかなりぐらついてます。レビューありがとうございます!
僕も分けてみます!
運動をそこまでするわけじゃないので曜日とかで変えてみます(笑)たしかにバッテリー的には分けるほうが優しそうですもんね!
わざわざこちらにまで来ていただいて!笑 ご丁寧にありがとうございます!
ただ、僕は紛失したり壊したりしたこともないので、個人的には入る予定はないです!
ノイズコントロールのやり方は、色々あるんですね。
しっかりとしたレビューでとても参考になりました!ありがとうございます!
壊したり紛失したりする可能性がありそうであれば、入っておいた方が安く済みますね!
AirPodsPro購入しようと考えてます。
とても参考になる記事で、知りたいことが明確にわかりました!
AppleCareは入った方が良いのでしょうか?
ですよねー!!!
僕としては、Powerbeats Proは運動用として割り切っていこうと思っています!やっぱりイヤーフックが合ったほうが安心できますし、すべての用途に使えるのは魅力的ですけど全部使っているとすぐ電池がヘタってしまいそうでw
goriさんに相談させてもらい当日にゲットすることができました。
電車で使っていますが、ノイキャンの効果はハンパないですね(笑)
ただPowerbests Proも素晴らしいイヤホンなので、
どっちを使っていくのか悩んでいます。。。
嬉しすぎる……ありがとうございます!!頑張って書いた甲斐がありました!!
いろいろあるAirPods Proレビュー記事の中で、1番読みやすく、理解しやすかったです。
いつもレビュー記事は途中で飽きて読むのをやめるんですが、痒いところに手が届く、次へつぎへと読みたくなるレビュー記事で、長文なのに最後まで疲れる事なく読み切れました。
ありがとうございました。
完全に意味不明な仕様ですね、すぐ直しましたありがとうございます(;´∀`)
5時間の充電で1時間使えるんですね