AirPods (第1世代) レビュー
Apple初のケーブルレス・イヤホン 音の楽しみ方に自由を
Apple純正ワイヤレスイヤホン「AirPods」を使うようになってから1週間が経ち、すっかりと魅了されてしまった。
今となっては移動中はもちろんのこと、自宅での作業中にも付けることも増え、気付いたら日中つけっぱなしということもある。それほど快適なのだ。
「AirPods」の魅力はバランスの取れた音質や24時間という電池持ち、4gという軽さや抜け落ちない装着感などの基本的な仕様に加え、ペアリングの手軽さと一度のペアリングで複数デバイスでも使えることによって今までにない体験が可能に。
「AirPods」は音楽を聴くためのワイヤレスイヤホンではない。音をより自由に楽しむためのワイヤレスイヤホンなのだ。
今回は「AirPods」のある生活を通じて気づいた本当の魅力について紹介する!動画も作成したので併せてどうぞ!
“へんてこりん”だったはずの外観が”オシャレ”に見える不思議
買った当初からそれほど気にはなっていなかったが、チンアナゴまたはうどんのような見た目にはすっかり慣れてしまい、違和感を感じないどころか逆にオシャレにさえ見えてきた。
Appleらしい白基調としたボディは素敵だが、早速汚れがちらほら目立つようになってきた。汚れが目立つ白なので、こればかりは仕方ない。
マグネット式となっている充電ケースの蓋を開いた縁には何度も開け閉めしている際に入り込んだであろうホコリが目立つ。他のヘッドホンと変わらずに使っているだけなので、汚れが気になる人は手入れが大変かもしれない。
ちなみにダスターなどでも取れないのでウェットティッシュなどを使いましょう。
「AirPods」もケースの中に入れるとマグネットでケースに張り付く仕様になっている。蓋を開けた状態で逆さまにしても「AirPods」がケースから抜け落ちる心配はない。
ペアリングは一瞬、面倒な操作は皆無 Macでの使用も簡単
もちろん、「AirPods」の魅力はペアリングの簡単さ。Bluetoothデバイス特有の面倒なペアリング作業は一切なく、充電ケースの蓋を開いた瞬間、iPhoneに表示される。数タップでペアリング完了。これは何度やっても感動する。
驚きなのは手元にあるMacでもiPadでも「AirPods」が音の出力先として表示されること。これは一度iPhoneでペアリングを完了するとその情報がiCloud経由で同期されるため。
従来のBluetooth製品は接続したいデバイスと都度ペアリングをする必要があったが、「AirPods」は一度のみ。これはものすごく画期的なのだ。
僕が特に重宝しているのはMacで音声会議を行う時。これまではヘッドホンを着用していたのだが、遮音性が高く必要以上に自分の声が大きくなっていた。ただでさえ大きいのに。
「AirPods」にしてからは良くも悪くも遮音性がそれほど高くないため、より自然に会話をすることができるようになった。
周りの音を完全にシャットアウトしたいという時ではない限り、最近は「AirPods」をMacに接続し、Spotifyを流しながら作業をするというスタイルも定着しつつある。
バッテリーは公称値通り長持ち、電池切れの心配は不要
バッテリーはやはり長持ちだ。公称値の厳密な測定はしていないが、フル充電の状態から1日使っていても充電ケースの残電池量が50%を切るのは今まで一度も見ていない。
ワイヤレスイヤホンの欠点の1つは都度充電しなければならないということ。「AirPods」本体で5時間、充電ケースを使いながらであれば24時間使い続けることができるのは大きなメリットになる。まだ恩恵に預かっていないが、充電ケースで15分充電するだけで3時間再生できるようになる高速充電機能もあるということは覚えておきたい。
充電ケースはLightningで充電可能。普段は下記記事で紹介した通り「iPhone Lightning Dock」で充電するとちょっとオシャレだ。
出先で充電が切れた場合も問題ない。ポートがLightningとなっているので、普段、iPhoneを充電するために使用しているケーブルとモバイルバッテリーを使えば簡単に「AirPods」を充電することができる。
コンパクトで軽い、大容量モバイルバッテリーを探している人は「Anker PowerCore 10000」がオススメ。本体の重さはたった180gだが、iPhoneを複数回充電するだけの電池容量があるので、「AirPods」の電池切れにも対応できるはず。
ダブルタップは慣れが必要 Siri操作は矛盾が多い
「AirPods」には操作用のボタンは一切ない。「EarPods」のケーブルを取り除いたようなデザインだと思えば、そもそもボタンを置くスペースが無いということは想像に難くない。
Appleが唯一用意したのはイヤピースをダブルタップすることによってSiriの呼び出しまたは「再生/一時停止」を可能にする機能。左右のイヤピースどちらでもダブルタップで反応する。デフォルトはSiriが起動するようになっている。
ダブルタップには慣れが必要だが、コツが掴めてくると簡単。とは言え、僕はこの操作方法はイマイチだと思う。理由は2つ。
1つはSiriを通じて音楽の操作をすることを想定していること。音量の上げ下げや曲の変更など色々と試してみたが、「AirPods」を身につけている自分にしか関係ないことをなぜあえて外の世界に向かって伝える必要があるのだろうか。全くもって意味不明だ。
もう1つは単純に効率が悪いということ。音楽を再生中に音量を下げるのに一度音楽を停止して声で「音量を少し下げて」という効率の悪さ。最初のダブルタップでほぼ確実にSiriを呼び出すことができれば気にならないかもしれないが、上手くいかずに何度か試しているうちにその効率の悪さにイライラしてくる。
どう考えてもiPhoneを取り出した方が早い。もしくは、Apple Watchを身に着けているのであればより効率よく操作ができる。
どうしてもダブルタップを活用したいのであれば「再生/一時停止」を設定してもいいが、僕の経験上、それさえもApple Watchの方が便利。もしくは、「AirPods」を片耳から外すと自動的に一時停止されるので、必要ない。
だからと言ってこれを「オフ」にしておくべきかというと、実はそうではない。iPhoneに着信があった場合、ダブルタップで電話に出ることができる。「オフ」だとダブルタップでも電話にでることができないため、使わなかったとしても「Siri」もしくは「再生/一時停止」に設定しておいた方が良い。
特に不満が大きいのは音量の上げ下げが簡単にできないこと。これぐらいは「AirPods」単体でできる方法が欲しかった。ランニングをする時に装着してみたが、都度Apple Watchで操作しなければならないのはやはり不便だった。その点、普段ジムで使用している「Bose SoundSport」は優秀。
ペアリングに失敗した場合はiPhoneを再起動せよ
実はこの期間中、一度アンペアリングをしてからペアリングし直そうとした結果、上記のように「接続に失敗しました」という画面が表示されてしまっていた。
背面にある白い「セットアップボタン」を長押しし、ステータスランプ(充電ケースの中にある小さいLED)が白く点滅するとiPhone上に「AirPods」が表示されるはずなのだが、僕の場合は「AirPods」が正しく表示されてもペアリングに何度も失敗。
試しにiPhoneの電源を一度落とし、再度入れ直して同じ作業を行った結果、あっさりとペアリング完了。同様のトラブルに見舞われている人がいる場合はお試しあれ!
音質は多少の物足りなさはあるが必要十分 通話音質も良好
音質は最初のレビュー記事でも書いたとおり、価格相応。買った直後は「意外と音が良い」という感想だったが、使い続けているとやはり物足りなさを感じることもあったのも事実。音のバランスは良いのだが、迫力のある音楽を楽しみたい時に「アレ?ちょっとパンチに欠けるな……」と感じることがあった。
この1週間を通じて、「AirPods」は「音楽を楽しむ」と言うよりは「音楽を流す」という時に適しているという印象に落ち着いている。
自宅からジムまでの移動中に軽くBGMを流して気分を上げたい時。電車の中で音楽付きで「スーパーマリオラン」をプレイしたくなった時。作業する上で何かしらのBGMを流したい時。このような時に僕は「AirPods」を活用することが多く、この一週間は常に左ポケットに入れて生活している。
特に1番役に立ったのは先ほども触れた通話時。せいぜい数分間の通話だったとしても「AirPods」を使ってハンズフリーで通話するのは物凄く楽だ。僕の場合、作業中に電話が掛かってきた時にダブルタップで通話を開始し、電話越しの内容についてリアルタイムでキーボードを叩きながら情報を確認することができた。
「AirPods」の音漏れに関しては最大音量で流さない限り特に気にならない。適度な音量であれば、通勤・通学の電車内で使用していても周りに迷惑にはならないだろう。
身につけていても恥ずかしさはない
当初は色々と言われていた「AirPods」のダサさだが、正直、1週間経って全く気にならなくなってしまった。もちろん、カッコイイかダサいかで言ったらダサいとは思うが、身につけている側としては特に恥じらいもなくなった。
フィット感は耳の形次第 服を脱ぐ時は抜け落ち注意
改めて強調したいのは、「AirPods」のフィット感は自分の耳の形ですべてが決まるということ。そして、そのフィット感は「EarPods」で試すことができる。「EarPods」の形状が合わなかった人は、「AirPods」も合わない可能性が高い。
僕は幸いにも相性抜群で動画にもあったとおりヘドバンしても頭をグルングルンしても抜け落ちることはなかった。上下の動きが入るランニング中も耳の中にスッポリを収まり、終始快適に音楽を流してくれた。
唯一僕が「AirPods」を落としたのは服を脱いだ時。「AirPods」をしたまま、被るタイプのパーカーを脱ごうとした時に「AirPods」が持って行かれ、落ちてしまった。フィット感抜群の僕の耳でもこのようなことが起きるので、みなさんも注意するべし!
ワイヤレスイヤホンの新体験 「AirPods」生活は便利になる
「AirPods」は音楽を聴くためのワイヤレスイヤホンではない。ある意味、とiPhone 7、iPhone 7 Plusのスピーカーの延長とも言える存在なのではないかと思っている。
イヤホンジャックを失った最新のiPhoneは「AirPods」と組み合わせることによってポケットやカバンの中に入れてままでも常に繋がっている状態になった。耳元をタップすればSiriが移動し、あらゆる操作を可能にする。正しく認識してくれれば、の話だが。
もちろん、製品として未完成だと感じる点も沢山あり、改善の余地は有り余っている。ただ、それを上回る便利さと快適さがある。
開いた瞬間にiPhoneやMacと繋がり、音を楽しむことができる。ケーブルの抜き差しもない。ペアリングもない。これほど手間要らずな方法で個人が音を聞く方法がかつてあっただろうか。
さらに、4gという軽さがもたらすフィット感、24時間という驚異的な電池持ち、バランスの取れた音質で必要な時に使える音声入力。これらを体験できるワイヤレスイヤホンは「AirPods」だけだ。
音の楽しみ方に自由を与えてくれる。それが「AirPods」だ。