Pixel Fold ハンズオン:折畳スマホは”スマホの未来”なのか
Googleが考える「折畳スマホ」、ハイエンドスマホ2台分以上の価値はあるのか
「折り畳める携帯電話」と聞いて、真っ先に「パカパカケータイ」が出てくる人は、仲間だ。おそらく同世代だろう。キーボード側を持ち、親指をスッと入れ、遠心力でブンッと開く、二つ折りのガラケーだ。
しかし世の中は変わった。今はスマートフォンが半分に折り畳める時代になった。
Googleは先日、同社初となる折畳スマートフォン「Pixel Fold」を発表。Pixel 7シリーズと同じGoogle Tensor G2チップが動作し、メモリは12GB、ストレージは256GB。4,800万画素の広角カメラを含む5つのカメラを搭載し、電源ボタンには指紋認証センサーが内蔵されている。すでに予約の受付は開始されており、7月末に発売を予定している。
本記事では、発売前に開催されたGoogleのハンズオンイベントで先行体験したPixel Foldを紹介する。人生初の折畳スマホを体験した立場から、率直に感じた意見をまとめた。「折畳スマホって、実際どうなの?」と感じている人は、参考にしてもらいたい。
Pixel Foldのスペックは、ハイエンドスマホとしてどうなの?
一般的に折畳スマホは、折畳機構を実現するためにハイエンドモデルに搭載されるスペックや仕様を見送る傾向にある。そこで、Pixel Foldの基本的な技術仕様をPixel 7 Proと比べてみた。詳細はGoogle公式ページを参考にしてほしい。
Pixel Fold | Pixel 7 Pro | |
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チップ | Google Tensor G2 | Google Tensor G2 |
RAM | 12 GB LPDDR5 RAM | 12 GB LPDDR5 RAM |
ストレージ | 256 GBUFS 3.1 ストレージ | 128 GB / 256 GB / 512 GB UFS 3.1 ストレージ |
バッテリー | 24 時間以上 4,727〜4,821mAh |
24 時間以上 5,000mAh |
ディスプレイ |
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カメラ |
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サイズ、重さ | 139.7 x 79.5 mm x 12.1mm(折畳時) 高さ 139.7 x 158.7 x 5.8mm(展開時) 283g |
162.9 x 76.6 x 8.9mm 212 g |
生体認証 | 指紋認証(電源ボタン内蔵) 顔認証 |
指紋認証(電源ボタン内蔵) 顔認証 |
Pixel FoldとPixel 7 ProはどちらもGoogle Tensor G2チップを搭載し、12GBメモリ、高リフレッシュレートの高解像度ディスプレイを備える。性能差が見られるのはカメラ仕様だ。Pixel 7 Proは画素数やセンサーサイズにおいて、Pixel Foldより優れている。
スマートフォンとしてのスペックが重量であれば、Pixel Foldは最初から見送るべきだろう。しかし折畳スマホという体験を重要視するのであれば、一部スペックを妥協しても十分満足できるはずだ。
では、Pixel Foldは「折畳スマホとしての体験」どうなのか。
Pixel Foldのファーストインプレッション
Pixel Foldの第一印象を語らせてほしい。折畳スマホといえばGalaxy Fold4が最初に思い付くが、折り畳んだ状態が不自然に細く、不格好だ。海外サイトでは「まるでリモコンを持ち歩いているみたいだ」と揶揄していたが、実物を見て全くその通りだと思った。
Pixel Foldは、iPhone 14 Proより少し縦に短く、横に大きい。違和感のないサイズ感だ。
まるで小さいスマホを持っているようだ。折畳スマホは分厚く重いイメージがあったが、「折畳スマホを持っている」「開くとiPad miniと同じディスプレイが出せる」というイメージがあるからか、重く感じなかった。実際はiPhone 14 Proより約80g重い。
ヒンジ部分が角ばっており、端が丸みを帯びることで、「D」のように見えるデザインが、良くも悪くも”折畳スマホ感”がある。四隅のデザインが統一されれば、外観が洗練されるような気がした。技術的に難しいのだろうか。
閉じた状態。普通のスマホのように使える
これが開いた状態だ。アスペクト比が正方形に近く、想像より小さく感じた。
開いた状態。片手でも持てるサイズと重さ
ハンズオンの参加者が所有するGalaxy Z Fold4とPixel Foldのサイズ比較をさせてもらった。Galaxy Fold4のほうがベゼルが薄く、見た目の格好良さは勝っている。しかし実際はベゼルがあるから持ちやすく、誤動作しづいというメリットもあるそうだ。
折畳スマホは分厚いイメージがあるが、Pixel Foldは薄い。Galaxy Fold4より薄く、開いた状態はPixel 7 Proより薄い。
ポケットの出し入れも違和感なく行える。タイトなジーンズにねじ込めるかは検証できなかったが、ポケットからPixel Foldを取り出すような人は間違いなく戦うバディだろう。
当日参加した折畳スマホユーザーらの話によると、折畳スマホは「普段は外側の画面を使用し、必要に応じて内側の画面を開いて使用する」が基本だという。パカパカケータイのように、親指をスッと入れて遠心力でブンッと開くような開き方はせず、両手で丁寧に開くものだと教えてもらった。
実際に片手で開くのは極めて難しい。ガラケー時代、パカパカケータイの一部機種が採用していたワンタッチで開く物理ボタンを実装してもらいたいところだが、技術的に難しそうだ。折畳スマホは丁寧に扱うものだと学んだ。
折畳スマホが得意なこと、Pixel Foldができること
折畳スマホユーザーらは、折畳スマホは映画、マンガ、YouTubeなどを楽しむ「エンタメデバイス」として最高で、一度体験したら通常のスマホには戻れない、と熱く語っていた。
そこで実際にPixel Foldならではの機能を紹介してもらいながら、折畳スマホの魅力を教えてもらった。
YouTube
YouTubeの視聴体験は、折畳スマホならではのUIが用意されている。90°に折った状態で視聴すると、上半分で動画を見ながら下半分で関連動画やコメントなどが確認できる。
外側ディスプレイで視聴を開始し、途中で内側ディスプレイを開くと、自動的に大画面に切り替わる仕組みは、通常のスマホでは得られない体験で新鮮だった。何よりも大画面は良い。Pixel FoldはIPX8の防水規格も満たしており、風呂の半身浴が捗りそうだ。
外側ディスプレイで視聴している様子
他にもマンガ系アプリはPixel Foldに最適化されており、外側ディスプレイでは1ページずつ表示され、内側ディスプレイを展開すると見開き表示に自動で切り替わる仕組みになっていた。マンガが捗るのも納得できる。
ただしディスプレイの開きには注意が必要だ。Pixel Foldは180°開く仕様ではない。子供に触らせているうちに無理やり開こうとしてパキッと割れてしまった……といった悲惨なストーリーも出てきそうだ。
大画面だからこそ捗るマルチタスク
Pixel Foldの内側ディスプレイを使うことで、2つのアプリを行き来できる。デモでは、Googleフォトの写真をGmailにドラッグ・アンド・ドロップで添付する使い方を披露してもらった。右側の画面には写真のサムネイル一覧が表示されるため、写真が選びやすい。
画面分割は、左右だけではなく上下でも動作する。また境目の中央部分をダブルタップすることで、上下のアプリが入れ替わるという、ちょっとしたギミックがある。
内側ディスプレイを使用中でも、フリックキーボードを画面の左右に寄せて入力できるフローティングキーボード機能が用意されている。開いた状態でも、頑張れば片手で入力できそうだ。
手をかざすとカウントダウン撮影ができる
他のPixelシリーズでも使用できるが、Pixel Foldは本体を自立させたまま手をかざすことで、カウントダウン撮影が開始される便利機能が用意されている。カメラを向けると反応しづらかったが、手のひらをかざして数秒待つと反応してくれる。自撮りが捗る機能だ。
実際にPixel Foldで撮影した写真がこちら。YouTuberとして活躍するLeo Tohyama氏と記念すべきツーショットを撮ってみた。画質は可もなく不可もなし。
ゴリミーを表示してみた
ゴリミーをPixel Foldで表示してみた。
外側ディスプレイで表示するとスマホ表示になるが、内側のディスプレイではPC表示になる。ただし外側ディスプレイで表示した上で内側ディスプレイを開くと、スマホビューが引き継がれる仕様となっていた。
なお内側ディスプレイの表示を見てのとおり、折り目は意外と目立つ。正面から見ればそれなりに溶け込むが、内側ディスプレイをフルスクリーンで表示するコンテンツは、角度を少しでも付けると存在感が増す。上下や左右でコンテンツが分かれている場合は、全く気にならない。
Pixel Foldは”スマホの未来”なのか?
約1時間半という限られた時間だったが、Pixel Foldを体験して折畳スマホの魅力が少し分かってきた。ポケットにiPad miniサイズのディスプレイを持ち運べることで、スマホの小さい画面で我慢せずに済む。折畳スマホは、「スマホより大きい画面をポケットに入れて持ち運べること」にどれほどの価値を見いだせるか次第である、との結論に行き着いた。
僕は、iPad miniを含むすべてのiPadを生活に取り入れようとチャレンジしてきたが、何度も挫折してきた。しかし常にスマホとして持ち歩いていれば、大画面を重宝するシーンは確実に増えるだろう。スマホの小さい画面で無理やりやりくりしている機能が、折畳スマホになることで余裕を持って行える。
MacBook Proの内蔵ディスプレイで頑張っていた人が、外付けの21.5インチディスプレイを使うようになった状態と似ている。作業領域は劇的に広くなっているわけではないが、内蔵ディスプレイより快適になる。そのような感覚に近い気がする。
問題は、ハイエンドスマホ2台分に相当する価格を、どこまで正当化できるかだ。Pixel Tabletは79,800円、Pixel 7 Proの256GBモデルは139,700円。2台合わせても、Pixel Foldの販売価格である253,000円には届かない。
iPhoneユーザーとしては、追加で購入するデバイスとしては考えられず、おすすめもできない。あくまでもiPhoneをAndroidスマートフォンに乗り換える前提で、スマートフォン以上の体験を求めている人にとって検討するべき選択肢だろう。
おーあざす!
調べてみますー!
風呂スマホは好きなので❤️
ぼくはいつも無印の防水ケース使ってます。操作性は劣るけど安心感はありますね。
スマートフォン用防水ケース・大https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4549738326588
タイトなジーンズきた!!!(笑)
長年の読者としては嬉しい!!
ちなみに風呂場の使用は、水よりも湯気でレンズがやられるらしく僕のiPhoneはまさにそれで修理となりました。換気しながらの半身浴をお勧めします。
折りたたみは、その人の生活スタイルによりますよね。
用途によってデバイスを使い分ける僕にはまだ長物かな🧐