Tim Cook氏、AGCが15年間貢献する技術に感謝「写真が正しく撮れる」
Apple横浜施設で初公開、日本企業の「見えないフィルター技術」がiPhoneカメラを支える
来日中のAppleのCEO、Tim Cook氏が日本初公開となるApple横浜テクノロジーセンター(YTC)を視察した。2017年に開設されたこの最先端の研究開発施設では、iPhone 17シリーズをはじめとするApple製品のカメラシステム開発が行われており、今回の視察では日本を代表する4社によるプレゼンテーションが実施された。
YTCは約6,000平方メートルのラボスペースにクリーンルームを備え、数百人のエンジニアがカメラレンズ技術を中心とした光学技術の研究開発に従事している。同施設の最大の強みは、日本語でのコミュニケーションにより日本の強力なサプライヤーとの「開発ループ」を国内完結できる点にある。
今回のプレゼンテーションに参加した企業の1つが、AGC株式会社だ。同社が手がけるIRカットフィルター(赤外線カットフィルター)は、2010年のiPhone 4から現在のiPhone 17 Proまで、全てのiPhoneに搭載され続けている重要な技術である。
普段は見えない「カメラの魔法」を支える小さな部品
IRカットフィルターと聞くと難しく感じるかもしれないが、その役割は意外とシンプルだ。人間の目には見えない赤外線をブロックしながら、可視光だけを正確に通すことで、「カメラの目」を「人間の目」と同じにする技術である。
カメラのセンサーは本来、この見えない赤外線まで検出してしまう。フィルターがなければ、写真に不自然な色や「マジックカラー」と呼ばれる異常な色が生じてしまうのだ。まるでサングラスが眩しい光をカットするように、IRカットフィルターは厄介な赤外線だけを取り除き、僕たちが目で見ている自然な色合いを写真に再現している。
この技術がもたらすメリットは、日々の撮影で実感できるものばかりだ。人間が見た通りの正しい色を写真に反映する色再現性の向上、夜景や室内撮影での性能向上、不自然な色やノイズを防ぐことによる画像のシャープネス向上など、「きれいに撮れた」と感じる写真の裏には、この小さなフィルターの技術力が隠されている。
Appleの「色へのこだわり」に応える独自技術
Appleの要求仕様は、基本的な機能要件こそ他社と似ているものの、実際は大きく異なる。同社は絵や色に対する異常なまでのこだわりを持ち、どの波長の光をどの程度透過させるかという細かな調整にまで厳格に要求するという。
最終的な写真の色味は、IRカットフィルターのスペクトル特性に大きく影響される。メーカーによって「投下させたい光の領域や量」が異なるため、Appleの細部へのこだわりに応えられる技術力が求められるのだ。
117年の歴史が生んだ「材料の魔術師」
AGCがこの厳しい要求に応え続けられる理由は、同社が持つ「素材メーカー」としての独特な強みにある。旧社名「旭硝子」が示す通りガラスの会社として知られているが、現在では材料の基礎から自社で開発できる能力と、無機材料(ガラス)と有機材料(コーティング材)の両方の技術を自社で保有している点が、他社にはない決定的な優位性となっている。
「有機も無機も持っている材料メーカーは、世界に視野を広げてもほとんどありません」と技術者が語るように、この組み合わせこそがAGCの最大の武器だ。
ガラス自体が赤外線を「食べる」独自アプローチ
AGCのIRカットフィルターの最大の特徴は、単にコーティングで赤外線をカットするだけではない点だ。ガラスそのものが赤外線を吸収する特性を持たせながら、同時にナノメートル単位の多層膜コーティングも併用することで高い性能を実現している。
この無機材料と有機材料を組み合わせるユニークな技術により、「通したい帯域の光は可能な限り通して、カットしたい帯域は可能な限り急峻な特性で確実に遮断する」という相反する要求を解決。グリーンゴーストなどのノイズを防ぎ、画像の均一性を保つことで、他社製品とは根本的に異なるアプローチを提供している。
薄さと強度の「不可能を可能にする」技術革新
iPhoneカメラの進化に伴い、IRカットフィルターには相反する厳しい要求が課されている。カメラモジュールの小型化により薄さが求められる一方で、センサーの大型化により十分な強度も必要だからだ。
元々は一眼カメラで使われていた厚いフィルターから始まったこの技術は、現在では極限まで薄型化されている。しかし薄くなると当然割れやすくなるため、AGCは薄くても割れない加工技術を絶え間なく進化させることで、この技術的矛盾を解決し続けている。
毎年決まった時期にリリースされるiPhoneに合わせた年次アップデートを行いながら、同時に長期的な材料開発も並行して進める。顧客のニーズを先読みして開発を進めることで、必要な時期が来た際にすぐソリューションを提供できる体制を整えているのだ。
日本の技術力がAppleイノベーションを支える
今回のTim Cook氏のYTC視察は、日本の技術力とAppleのイノベーションの深い結びつきを象徴する出来事だった。YTCで開発された技術は、iPhoneはもちろん、iPad、AirPods、Apple Watchなど様々なApple製品に組み込まれており、最新のiPhone 17シリーズにも採用されている。
AGCは年内までにApple製品の製造において100%クリーンエネルギーの使用を達成予定で、技術面だけでなく環境面でもAppleの要求に応えている。見た目には分からない小さな部品だが、iPhoneの写真品質を支える重要な技術として、日本とAppleの長年にわたる技術連携が僕たちの日常に豊かな撮影体験をもたらしていることを、改めて実感してもらいたい。
もっと読む

中国でiPhone 17 Proが38%売上増の爆売れ。その理由は”エルメスオレンジ”

iPhone 18 Pro、部品高騰でも”値上げなし”か。複数アナリストが価格据え置きを予測

iPhone 17e、間もなく発売か。A19チップ+MagSafe、価格は据え置き…?

iPhone 17、2月6日からApple Storeで店頭販売中止との情報。オンライン経由に限定

iPhone 18 Pro Max、5,200mAhの大容量バッテリー搭載か。最大40時間超えの駆動時間に期待

CarPlayに「ChatGPT」「Claude」搭載か。数カ月以内、ただし車両操作は不可

NASAがついに宇宙へのiPhone持ち込みを解禁、Crew-12とArtemis IIミッションから

折畳iPhone、Samsungより”硬い”ディスプレイ採用か。保護フィルムの差別化を検討

iPhone 17e、Dynamic Island非搭載が濃厚に。デザインはほぼ据え置きか

iPhone 17 Pro Maxが1位!35台テストして分かった、バッテリー持ちが最強なスマホ

Apple、新型iPhoneとMacで”ひとつ前”の技術を採用か。最新プロセス見送りの理由

iPhone 18、デザインは「ステイ」。Appleの狙いは2nmチップ

折畳iPhone、左側ボタン「完全廃止」?音量ボタンが右上へ移動か

折畳iPhone、”歴代最大”5,500mAh超バッテリー搭載か。競合折畳スマホを圧倒

Apple、”パカパカケータイ”スタイルの「iPhone Flip」を検討中か

楽天モバイル、iPhone 17に20,000円値引き追加。18歳以下限定iPhone 16との比較で悩ましい選択に

楽天モバイル、18歳以下限定で最大40,000円還元。ただしiPhone 16(128GB)のみ

え。iPhone Air 2、やっぱり今年の発売見送りで2027年登場か

「iPhone 18、来年まで出ません」複数報道で”発売分割”説がさらに有力に


なんか日本企業切る前の行脚に見えてきた…