「修行僧の朝は早い」ーーとある修行僧の1日【JGC修行シリーズ】
「JGC修行」をやってみた記録 その3 〜南から北へ ファーストクラスで1日4レグ編〜
今回は、実際に行ったJGC修行の行程で一番多かった、羽田→那覇→羽田→新千歳→羽田の4レグを日帰りで飛ぶルートについて、とある一日の動きを振り返る。
この行程のメリットは、一旦羽田へ戻ってくるので急用が入っても最悪途中で修行を中断できること。保険として念頭に入れていたが、幸いにも中断する羽目にはならずに済んだ。
ちなみに「レグ」は搭乗回数を意味する。日帰りで往復して帰ってくるときは2レグになる。
なるべくファーストクラスに乗りたい
前の記事でも触れたが、「FOP修行」の場合、飛行距離が遠く、座席のランクが上であれば、効率良くFLY ONポイントを貯めることができる。
そのため、安い「セイバー」運賃での羽田ー那覇のファーストクラスは、330日前の予約受付開始と同時に、ほとんどの便で埋まってしまうほどの人気だ。自分のように予定が定まらず、早くても1カ月前くらいにチケットを取るタイプでは到底太刀打ちできず、満席の表示を見るばかり。
那覇→羽田→新千歳の乗り継ぎ設定と新千歳→羽田は、比較的ファーストクラスを予約しやすいので、まずはこの3レグ分が予約可能な日から選んだ。最初の羽田→那覇は、予約を取れた試しがないので、次にFOP積算効率の良いクラスJを予約して、当日の出発時刻3時間前から始まる当日アップグレード枠に賭けた。
「修行僧の朝は早い…」
他のJGC修行の記事でもよく見かけるセリフ。自分も漏れなくそうだった。
「回数修行」ほどシビアではないとはいえ、一日に乗る回数が少しでも多いほうが、乗るために空ける日が少なくて済む。
一番多用したのはJL907便→JL908便→JL523便→JL526便という流れ。時期によって多少時刻は前後するが、羽田を08:40に出発して、21:40に帰ってくる。13時間で沖縄と北海道へ行ってまた東京へ戻ってくるという、普通の旅行で考えれば訳の分からない行程だ。
羽田08:40発なので、一見そこまで朝早くないようにも思える。しかし、この日は1レグ目の羽田→那覇だけクラスJ、残りの那覇→羽田→新千歳と新千歳→羽田の3レグはファーストクラスで予約していた。当日アップグレードは先着順なので、05:40ちょうどに手続きができるように起きなければならなかった。
当日アップグレードの決まり方は2パターンある。残っている空席を先着順で確保する方法と、空席待ちする方法だ。
出発時刻から3時間前の受付開始時刻の時点で元々空席が残っていれば、先着順でそのまま予約確定となる。既に満席の場合、空席待ちにエントリーすることになる。こちらは上級会員から案内されるので、早起きが無駄になることもある。ただ、どうせ移動中にいくらでも寝られるので、一縷の可能性に賭けて早起きする価値はある。
空席待ちは出発時刻の20分前、搭乗口近くにある空席待ちカウンターで名前が呼ばれる。何回か呼び出しても現れない場合、次点の人に譲られてしまう。呼び出し放送はあまり音量が大きくないので、聞き漏らさないようになるべくカウンター近くで待つ。
この日も5時起き。当日アップグレードの受付時間を待つ。普通に検索すると「空席2」の表示なので、うまくいけば空席待ちにならずそのまま取れそうだ。
運命の5:40。受付開始と同時に「当日アップグレード」のボタンが表示されるので、すかさず押す。どの段階で排他制御がかかるのか分からないので、とにかく素早く選択する。
無事にアップグレード成功だ。この日は4レグともファーストクラスが確定して、「FOP修行」では一番効率の良い状態にできた。
説明用のスクリーンキャプチャが取れないほどに (言い訳)、とにかく時間との勝負だと思ってもらいたい。
搭乗前のラウンジ利用
ファーストクラスは、搭乗前に「ダイヤモンド・プレミア ラウンジ」が利用できる。利用が必須ではないので、無理に早く来る必要はないのだが、搭乗までの余裕時間も兼ねて、どうせなら利用しておきたいところだ。
ファーストクラス利用時は、出発ロビーから制限区域への入口がすでに違う。JMBの最上位である「ダイヤモンド会員」、JGCにしかない「JGCプレミア会員」、そしてファーストクラス利用者しか使えない専用のカウンターが用意されている。
ファーストクラスカウンターの入口
カウンターの先には専用の保安検査場が続く。利用者が限られるので、ほとんど待たずに通過できる。
一般の保安検査場は並んでいることが多く、これだけでも疲労の度合いが変わる。保安検査を終えると、いきなり広い通路に出るのではなく、ラウンジへの入口と直結している。
ラウンジの受付で航空券を提示して中へ。
ダイヤモンド・プレミア ラウンジの入口
ここで豆知識を一つ。羽田空港のダイヤモンド・プレミア ラウンジといえば、入口に鎮座する松だ。
ダイヤモンド・プレミア ラウンジの松
JGC会員やサファイア会員などが利用できる、ワンランク下のサクララウンジにはこの松がない。松こそ権力の象徴なのだ(大袈裟)。
サクララウンジには松がない
ダイヤモンド・プレミア ラウンジでは、サクララウンジでも提供されているソフトドリンクやアルコール類に加え、ダイヤモンド・プレミア ラウンジではパンやおにぎりなどの軽食も自由に食べられる。時間によって提供される食べ物が変わるようなので、毎回何があるか楽しみにしていた。
ダイヤモンド・プレミア ラウンジで提供される軽食の一例
ラウンジ内には、様々なタイプのイスが用意され、自分に合った空間で過ごせる。一部の空港を除き、窓から発着する飛行機が見えるので、非日常の風景を見ながら仕事をするのもよし、アルコールを楽しむのも良し。
数は少ないながらマッサージチェアもあり、羽田空港にはシャワールームまで備えられている。夏場の修行で汗ばむことがあっても、シャワーを浴びてリフレッシュもできてしまう。
1レグ目 羽田→那覇 JL907便
優先搭乗で機内へ
JALでは現在、5つのグループに分けて搭乗案内をしている。お手伝いが必要な方の事前改札が終わると、最初に案内されるのがGROUP 1。対象はダイヤモンド会員、JGCプレミア会員、そしてファーストクラス利用者。ガラガラかと思いきや、それなりに対象者がいることに驚いた。1日で国内を約4,800km移動するだけの長い旅の始まり。
だいぶ早い段階で搭乗できるので、飛行機の出発時刻までゆっくりと自分の席で支度ができる。
この日4回乗ることになる、A350-900のファーストクラスの座席はこれだ。シートベルトが太い。
A350-900のファーストクラス
A350-900のシート配列は、普通席が3-3-3列、クラスJが2-4-2列、ファーストクラスが2-2-2列となっている。普通席と比べて、約1.5倍の広さが取られていることが分かる。
座席前にある画面はタッチパネル式。肘掛けの下にあるリモコンでも操作ができる。
15.6インチの個人モニタ
座席に着いてからまもなくして、サービスを担当してくださるCAさんが挨拶に来る。同時に機内食と一緒に出される飲み物のオーダーも聞かれるので、肘掛けに置かれているメニューから先に選んでおく。
ファーストクラスではソフトドリンク以外に、アルコール類も飲み放題だ。
機内で提供されるドリンクメニューの一例
機内食は断ることもできる。”修行僧の朝は早い”ので、寝不足で睡眠に集中したいときはそのように申し出れば良い。
少し間を置いて、その便のチーフの方も挨拶に来る。チーフだけ制服が白色なので、簡単に見分けがつく。
ファーストクラスでは少し分厚めのおしぼりが提供されるのだが、最初から肘掛けに置いてあるパターンや、チーフの方が挨拶とともに持ってきてくださるパターンなど、担当チームごとに接客方法を工夫しているのがここだけでも見て取れた。
座席下には、機内で履き替える用のスリッパが用意されている。靴を脱ぐことができるというだけでも、だいぶ疲労感が違ってくるような気がしている。
ヘッドホンと使い捨てスリッパ
ファーストクラスでは、前の座席の下の隙間がないため、足元に荷物を置くことができない。座席上の収納棚に入れるか、小さな物であれば膝に乗せるしかない。個人的にはこれが厄介で、せっかくカメラのレンズを2本持ち込んでいても、1本はどうしても仕舞わないといけない。
最終的には、機内食も撮れて、外の景色も一応は撮れる24-70mmか、24-120mmを付けた状態で、カメラを直接膝に置くというスタイルが定着した。担当されるCAさんに「大きなカメラですね」と言われることもあったが、見掛け倒しだ。
A350のように、ファーストクラスが2列ある機材では、2列目を選択することで、前にある座席の後ろにA4サイズ程度の収納箱が付いている。しかし、この収納箱は厚みがほとんどなく、50ページ程度のノートすら入らないくらいだ。少し厚みのある物を座席上に仕舞いたくない場合は、膝に置く用の小さめのポーチなどを準備すると良いだろう。
2列目には前の座席の後ろに薄い収納箱がある
ドアクローズから滑走路へ
飛行機のドアが閉まると、電波を発する状態の電子機器は使用してはならない。案内上では、離陸から数分経つと機内Wi-Fiが使用可能になるとされているが、最新鋭のA350やB787では、スポットからのプッシュバックが終わって、メインエンジンが本格的に回り始めたタイミングから有効になっていた。旧型のB767やB777などでは離陸後に有効となっていた。
JALの国内線では機内Wi-Fiサービスは無料。ただし、国際線機材を使用した便では、座席ポケットに入っている無料クーポンのコードを使用しないと、国際線と同様にお金がかかり、誤って課金してしまっても返金はされないので注意が必要だ。
早いときは、ドアクローズからプッシュバック完了まで5分程度。飛行機に乗っている間にインターネットを使えない時間は僅かと言える。Flightradar24にて、乗っている飛行機をストーキングしたい自分としては、離陸前から追跡を始められるので有り難かった。
Flightradar24で飛行状況を確認する
1回目の機内食
離陸してベルト着用サインが消えると、すぐに機内食の準備が始まる。CAさんがテーブルを出しに訪れるので、先に自分で出してしまっても良いだろう。ベルト着用サインが消えたからといって、呑気にリクライニングを倒している場合ではない。準備ができ次第すぐに機内食が提供される。
国内線の機内食は始発便からは朝食、10時半以降は昼食、17時以降は夕食というように出発時刻別に分かれている。さらに羽田発便、羽田着便のように、発着空港によっても異なるメニューとなっている。メニュー自体も10日おきに入れ替わることから、例え修行中であっても、同じ物ばかりになることはあまりない。
まずは4レグのうちの1レグ目。JL907便では羽田発便の朝食メニュー。
1回目の機内食 羽田発便朝食
メインプレートは、バタークロワッサンにベーコンと目玉焼きという、朝らしい内容。他に小鉢2つと赤ピーマンのスープ。デザートはカットメロン。プラスチックや紙皿など、簡易な器で出てくるのかと思いきや、ちゃんと陶器のお皿が出てきた。
カトラリーはプラスチック製ではなく、JALのロゴ入りの金属製。
JALのロゴ入り金属製カトラリー
横長のメインプレートは、毎回お皿に触れないくらいの熱さまで温めてくれてあるのも良い。提供時はアルミホイルで蓋をしてあるので、自分で外す必要があり、火傷には注意したい。どれも美味しく仕上がっていて、上空でこれだけ食べられるのは満足度が高い。
所詮は国内線。優雅なイメージの国際線と比べれば、だいぶ格下だろうと、正直舐めていた。これに限らずどの機内食も、気圧の関係で味覚が鈍るのを見越してか、全体的に味付けは濃いめだと思った。
羽田発那覇行きの富士山は右側
羽田から西へ向かう便に乗ったとき、せっかくなら窓から見える富士山を拝みたいもの。那覇行きに関しては、近くに台風でもいない限りは、進行方向右側 (K席側) から見えることが多いようだ。
この日は左側のA席を予約していて、残念ながら席からは見えず。ちょうど機内食を食べている最中ということもあり、どうせ何回も乗るのでまたの機会の楽しみに取っておく。期間限定なものでない限り、JGC修行で慌てる必要はないのだ。
こちらは別日に反対側のK席から撮影した富士山。
右側に見える富士山
沖縄の滞在は1時間余り
2時間50分のフライトで、沖縄・那覇空港へ到着。空港からは出ないので、「沖航燃」の給油トラックだけが、沖縄を感じる唯一の風景となる。
沖航燃の給油トラック
日帰りで預け入れの荷物はないので、降機してすぐ横にあった乗り継ぎカウンターで、次の便のチェックインを済ませる。
「羽田から来て、このまま新千歳へ向かいたいのですけれども、ここで手続きできますか?」
何を言ってるんだコイツは?と怪訝な表情をされたが、次の便のチケット情報を見せると、本当なんだと納得しているようだった。自分でも何言ってるんだと思ったので問題ない。
このカウンターで手続きされるのは、おそらく那覇から離島便へ乗り継ぐ方がほとんどなのだろう。普通東京から北海道へ向かう人は、沖縄に来ない。どんな乗り間違いだよ。
ここでの手続きでは、1レグ目の搭乗前に保安検査場で発行されるレシートの提示を求められた。本人確認と怪しい行動ではないかの確認を兼ねていると思われるので、出発地で捨てたりせず失くさないように注意しよう。怪しい行動には違いないのだが、ここはスルーしてもらいたい。
もしレシートがなければ一度制限区域外に出て、再度保安検査を受け直すことになりそうなので、短い乗り継ぎ時間で痛いタイムロスになる。また預け入れの荷物があって、1レグ目の前に乗り継ぎ便までチェックインしてなければ荷物は引き継がれないので一度出て受け取り、再度預ける必要がある。
乗り継ぎの手続きは30秒くらいで終了。2レグ目から3レグ目は乗り継ぎの航空券なので、まとめて長いレシートが出てきて渡された。あとは出発時刻まで自由時間となる。
特にやることもないので、那覇空港のダイヤモンド・プレミア ラウンジで休憩することにした。
ここには沖縄らしく、泡盛の樽も置かれている。もちろん飲み放題だ。
ここまで読んでもらえていたら嬉しい。信じられないことに、これでまだ1レグ目だ。2レグ目以降は次のページに進んでもらいたい。
まず大前提として「JGC修行」はやる側が勝手に呼んでいる名称ですし、当たり前のように廃止されません。JGCも廃止される予定はなく、あくまでもJGCへの入会条件が厳しくなったというだけです。
次に、JGC入会条件が厳しくなったからと言って、「航空会社にお金を落としていると思われていない」とは言い切れないですよね。CamTripさんの場合、他の一般客と同様に乗っていることには変わりなく、受けられるサービスを必要以上に受けている様子もありません。航空会社にとっていわゆる「普通の搭乗客」で収益化できないのであれば、そもそもビジネスモデルが破綻しています。よって入会条件を厳しくした理由は他にあるのだろうと想像していますが、そこは把握してません。
次にメディア云々ですが、これは修行をしたCamTripさんが自身の体験を書いてくれただけなので、取材して真相を確認するかどうかはもはやお門違いもいいところです。否定的な内容を憶測と感情だけでコメントするのは本当にやめた方がいいですよ。
最後に、HNからしてご自身も修行僧なんですかね。これまで公開されてきた記事を読んでいる限り、ワクワクのはずの搭乗体験がもはや作業となる、まさに”修行”であることを知って、修行をする方々のメンタルの強さに驚くばかりです。何を目標にされているかは存じ上げませんが、がんばってくださいね!
当のJALがJGC修行を廃止するわけですから「航空会社にお金を落としている」と思われてないのでは?
メディアなので、JALに取材して真相を確認すればいいのに、と思います。
いやぁ本当に不思議だなぁーって思いますけど、その限定的と考えられるリターンが人によっては魅力的ということなんですよね。
ただ1つ確実に言えることは、理解できなかったとしてもそれを「お前のその考えは間違っている」って言うべきではないことですね。他人に全くもって迷惑をかけていないわけですし、むしろ航空会社にお金を落としているという意味では経済回していると言えると思いますし。究極的に言えば、他人の金の使い方は他人の自由なので、他人があーだこーだ言う権利は皆無なのです。
これらを踏まえた上で再度言いますが、僕もこの修行の意義は未だに見出せないですが、純粋に「飛行機いっぱい乗れていいなー」と毎度上がってくる記事を読みながら思っていますwww
ホント、不思議なことをする人がいますよね。他にすること無いのかと思うし、時間とお金を使ってリターンは限定的。自己満だろうけど、ふと悲しくならないのかね?到底理解不能。
新千歳便は御用達のサラリーマンが多くて、優先搭乗の意味があまりないんですよね。乗客の殆どを占めるサラリーマンのその殆どが優先搭乗のグループだから混む混む。ファーストクラスならいいけど、クラスJや普通席だと、急かされる急かされる。皆仕事で殺伐としてるから「後ろみんな待ってますよ!」とか心無い言葉を言う人も見たことあります。