駆け込みたい人向け。「FOP修行」の進め方を解説するよ【JGC修行シリーズ】

「JGC修行」をやってみた記録その2 〜FOP修行の進め方編〜

第1回：”事実上の終了”目前の「JGC修行」に駆け込みで取り組んだ話

「JGC修行」とは、半永久的にJALの上級会員の資格を維持できるという「JALグローバルクラブ」（略してJGC）に入会するための飛行機搭乗だ。移動のためではなくステイタス獲得のためだけに搭乗するため、行程は過酷になりがちなことからJGC”修行”と呼ばれている。

JGC修行シリーズの第1回ではやろうと思ったきっかけや10年ぶりに飛行機に搭乗した話を紹介した。今回は自分が実際に乗った経路や、JGC修行の進め方について紹介する。

2023年までのJGC入会条件

まずは「JALグローバルクラブ (JGC)」の入会条件について。今年までは「JMBサファイアステイタス」に到達することと、JALカードの「CLUB-Aカード」以上の所有が必要となる。

サファイア会員になる方法は2つある。いわゆる「回数修行」と呼ばれる、同じ年の間に50回の搭乗と15,000 FLY ONポイントを貯める方法と、「FOP修行」と呼ばれる50,000 FLY ONポイントを貯める方法の2パターンがある。以下にそれぞれ解説する。

FLY ONポイントの計算方法

どちらを選択するにしても、JGC修行をする上で必ず必要なのが、FLY ONポイントの計算。「回数修行」を選択したとしても、15,000 FLY ONポイントは越えなければならないので、計算を誤るとステイタス基準に満たなくなってしまう。1搭乗で獲得できるポイント数はマイル数 (Pontaポイント) をしらべよう！で確認できる。

利用運賃の選択があまり直感的ではないのだが、すぐ下に一覧表があるので、それを参考に選ぶ。

羽田ー那覇運賃5 CLUB-Aカード所有の検索結果

JALカード所持の有無、ステイタスランク、座席クラス、利用運賃に応じて、貯まる区間マイルとFLY ONポイントが変わることが分かる。ステイタスを獲得すると、ボーナスマイルが増えることで、1搭乗で貯まる区間マイルは増える。

しかしFLY ONポイントは、座席クラスと利用運賃のみで計算される「フライトマイル」だけを基準とするので、JALカード所持の有無は関係ない。また上級会員になっても、貯まるポイント数は変わらない。

回数修行

「回数修行」の場合、国内線の飛行距離が短い路線を選んで、1日何回も搭乗することで50回を目指す人が多い。那覇と離島を結ぶ便や、福岡ー宮崎、丘珠ー函館、伊丹ー但馬のような、1回あたりの所要時間が短い路線が向いている。

「回数修行」でよく使われる路線たち (※白地図専門店の地図に加筆)

短距離路線ばかりを選び過ぎると、FLY ONポイントが足りなくなってしまうこともある。ただし大都市圏からスタートする場合、修行路線への往復も含めれば自然と15,000 FLY ONポイントを達成できるだろう。

JALではタイムバーゲンやブラックフライデーなど、普通席が「プロモーション」運賃として、期間限定で安く販売されることがある。「回数修行」の場合、クラスJやファーストクラスに乗る必要はなく、1回あたりをとにかく安くしたほうが、より「回数修行」のメリットが大きくなる。

なお「プロモーション」運賃は1便あたりで設定される席数が限られており、人気の路線や、利用しやすい時間帯を中心に、0時の販売開始からあっという間になくなってしまう。

「プロモーション」運賃はお得なので購入はお早めに

FOP修行

「FOP修行」は「FLY ONポイント修行」を省略したもので、搭乗回数に関係なく50,000 FLY ONポイントを超えれば良い。

FLY ONポイントは、搭乗によって得られる区間マイルとは別に貯まる制度のことだ。例えば国内線では区間マイルの2倍に加えて、搭乗ボーナスが貯まる。時期によっては、FOPが2倍貯まるキャンペーンを開催していることがあり、「FOP修行」はこの期間内に対象路線に乗ることで、効率よくポイントを貯められる。

またFOPは区間マイルをベースとしている。クラスJやファーストクラスにすることで、同じ路線に乗って一度に得られるFOPも多くなる。

例えば羽田ー那覇の「セイバー」運賃で見ると、普通席は片道1,676FOP、クラスJは1,872FOP、ファーストクラスは2,660FOP貯まる。単純計算で、ファーストクラスで9.5往復すると50,000FOPを超えることになる。

「FOP修行」で座席クラスの比較

1フライトの飛行距離が長いほど区間マイルの積算効率が良い。よって羽田ー那覇のファーストクラスは定番の修行コースだ。この例では、1FOPを得るために必要な通称「FOP単価」は普通席が安い。だが微差ではある。

一見すると普通席で「FOP修行」するのが最良にも思えるが、普通席とファーストクラスでは、片道で約1,000FOPの差が出る。約1.6倍多く飛行機に乗らなければならず、「FOP修行」のメリットは薄れてしまう。

それならば国内線においては、少ない搭乗回数での達成を目指してファーストクラスを多用することが効率の良い修行法と言えるだろう。

国際線では、那覇ーシンガポールなどが人気のようだ。国際線の場合、普通席やプレミアムエコノミーと、ファーストクラスの金額差が大きいため、「FOP単価」と見合うか検討が必要だ。

自分は「FOP修行」を選択した

費用面ではどうしても、「FOP修行」のほうが高くついてしまう。だが、まとまった日程が空けられなさそうだったことと、たくさんの搭乗による体への負担を考えてしまい、「回数修行」は選択しなかった。

途中で修行パターンを変更すると、どちらにしても効率が下がってしまうことから、なるべく最初の段階でどちらにするか決めることをお勧めする。

JALでは2023年7月から年末まで、国際線FOP 2倍キャンペーンをやっている。本来であれば2倍になるのは国内線のみ。長距離の国際線を数回乗れば、達成できるチャンスだ。

実際に乗った修行プラン

東京から4時間以上かかる場所は避けたい事情があり、全て国内線のみで構成した。普通の旅行も織り交ぜたことから、効率面ではだいぶ劣る内容となっている。

以下の表が実際に乗ったコースだ。

実際に乗った行程

満席のはずが空いている…？

JALの航空券予約は搭乗日の330日前から始まる。先述の通り、羽田ー那覇は人気のFOP修行コースなことから、安い「セイバー」運賃のファーストクラスはかなり早い段階で満席になってしまう。

自分のように、1カ月を切ってから航空券を取るスタイルの場合、かなり運が良くなければキャンセル拾いすらできないレベルだった。

しかし、色々と行程を練っているうちにあることに気が付いた。普通に羽田ー那覇だけで検索すると満席表示なのだが、新千歳ー那覇や小松ー那覇のように、羽田で乗り継ぐことになる経路で検索すると「セイバー」運賃でも空席が出るのだ。

羽田ー那覇を含めた乗り継ぎ経路でファーストクラスが取りやすい

詳細は分からないが、どうやら乗り継ぎ客用に一部の席を確保しているようだ。

さらに新千歳ー那覇の場合、「FOP単価」も羽田ー那覇とほぼ変わらない条件で得られることが分かった。これは4月12日に始まった新運賃制度の「乗継運賃」に該当するため、これの恩恵を受けることになる。

JGC修行でよく聞く「羽田と那覇を1日で2〜3往復した」というエピソードも面白いのだが、「沖縄と北海道を日帰りで行ってきた」というのもなかなかインパクトがある。乗り継ぎの時間があまりない関係で、ほとんどの日程で空港から出ずに次の便へ乗った。一般人には理解し難い行動だが、これもまたJGC修行らしいエピソードだろう。

自分にあった運賃プランを選ぶ

前半は最も安い「スペシャルセイバー」運賃や「往復セイバー」運賃を使っていた。

しかし修行日直前でキャンセルする羽目になることが何度か続き、この2つの運賃では55日前を切っていると50%の取り消し料がかかってしまった。チケットを買うときに最も安いとは言っても、毎回1万円以上の取り消し料を取られるのは痛手だ。そのため後半では次に安い「セイバー」運賃を多用するようになった。

「スペシャルセイバー」運賃や「往復セイバー」運賃と比べてチケットは数千円程度高くなるが、出発20分前までであれば5%の取り消し料で済む。「フレックス」運賃では取り消し料がかからない代わりに、割引のない価格で買うことになる。

自分としては5%の取り消し料のリスクであれば受け入れられたため、「フレックス」運賃より「セイバー」運賃が向いていた。「FOP修行」であっても、タイムセール時に「プロモーション」運賃で購入しておき、当日アップグレードを狙うという方法もある。

ただし当日アップグレードが失敗すると、普通席のままになってしまうリスクはある。席が狭くなることよりは、同じ行程で貯まるFOPが減ってしまうほうが痛手になる。

空席状況は小マメに確認すると良い

今年4月に始まったJALの新運賃制度は、大幅に変動のあるダイナミックプライシングとなっている。基本的には搭乗日が近くなるごとに価格が上がる仕組みだ。

需要数や残席数によっても変動するようで、同じ日の同じ座席クラスであっても、便によって2倍以上の開きがあるときもある。普通席の方がクラスJより高いという、逆転現象も目にした。

同じ日でも需要数や残席数によって大きく金額が変わる

予約数が伸び悩んでいる便は、搭乗日が近づくと逆に安くなることもある。「セイバー」であれば5%の取り消し料なので、取り消し料を払ってでも一度キャンセルして、同じ便を予約し直したほうが安くなるケースも経験した。

座席指定についても、一度決めたあとでも確認してみるとよい。これは根拠がなく、自分の実体験ベースではあるのだが、搭乗日の約2週間前くらいに、内部的に座席配分か何かを決めるタイミングがあるようで、急にそれまで空いていなかった窓側席が一気に開放されたりしていた。

急に選択可能な座席が増えることがあった

逆にそのタイミングで、予約数が伸びなかったのか小型の機材へ変更されて、予約していた席より条件の悪い席へ勝手に移動されることもあった。機材変更の場合は通知が来るのだが、内部的に確保されていた席が開放されたときは特になにもない。より条件の良い席になるよう、たまに空席状況を確認してみることをお勧めする。

FOP修行で特典航空券はNG

「マイルを貯めて旅行へ行く」というのはよくある話だが、特に「FOP修行」においてはマイルを特典航空券に交換してはならない。特典航空券は搭乗しても区間マイルが貯まらないからだ。当然FOPも貯まらなくなってしまう。これでは、何のために飛行機に乗るのか分からなくなってしまう。

一方で、マイルと交換できるものに、「e JALポイント」というものがある。JALグループの航空券や、ジャルパックの旅行商品の購入に使うことのできるポイントだ。

「e JALポイント」へは1,000マイルで1,000円分、10,000マイルで15,000円分の交換ができる。こちらは航空券代の一部に充てられるだけでなく、通常通り区間マイルとFOPも貯まるので、「FOP修行」の場合は必ずこちらの手段を使う必要がある。「FOP修行」をしていれば、10,000マイルは自然とすぐ貯まるので、焦らず10,000マイル貯まるのを待ってから「e JALポイント」へ交換するのがお勧めだ。

JALカードの入会はお早めに

JGC修行を決めた方は、入会条件の1つであるJALカードの入会申請をいち早く済ませることを強くお勧めする。

JALカードを持っているだけで、搭乗時に通常の区間マイルとは別に、ボーナスマイルがもらえる。例えば羽田ー那覇の「セイバー」運賃では、通常のJMB会員では1,230マイル、CLUB-Aカード会員は1,538マイル、20代限定のCLUB ESTでは1,599マイルとなる。

さらにJALカードで決済していれば、航空券代の1%がショッピングマイルとしても貯まる。マイルを使って航空券を買うことで、修行費用を少しだけ抑えることができる。

また、今年もJALカード入会のキャンペーンとして、5,000FOPのプレゼントがある。これにより、実質45,000FOP分の搭乗でサファイアステイタスに到達できる。キャンペーンは申し込みが必要なので注意が必要だ。万が一カードの審査に通らない場合、JGC修行自体が無駄になってしまう。前提として確定しておくに越したことはない。