iPhone Air MagSafeバッテリー レビュー:薄型デザインの代償と真価
専用設計ならではの一体感を実現も、パススルー充電で熱問題が発覚。それでも手放せない理由とは
iPhone Air専用に設計されたMagSafeバッテリーは、従来のバッテリーパックの概念を覆す革新的なアクセサリーだ。しかしこの製品を巡って、「iPhone Airは電池持ちが悪いから、MagSafeバッテリーを用意したんだろ?」という声が聞かれる。これは完全に的外れな指摘である。
iPhone Airは一日中使える素晴らしいバッテリーを備えており、単体でもビデオ再生時間最大27時間という十分な性能を誇る。iPhone史上最も薄い5.6mmという薄さを実現しながら、この電池持ちを達成していることこそ、エンジニアリングの勝利と言える。
「バッテリー不足の補完」ではなく「体験の拡張」
iPhone Air MagSafeバッテリーが生まれた真の理由は、バッテリー性能の不足ではない。iPhone Airのユニークなデザインとユーザー体験の最大化にある。この薄型軽量デザインを損なわないよう設計されたMagSafeバッテリーは、装着していても「バッテリーパックを使っていると感じさせないほど薄くて軽い」という驚異的な一体感を実現している。
「ディズニーランド東京で丸一日過ごす」ような、より長時間の駆動時間が必要なシーンでの選択肢を提供することが本来の目的だ。MagSafeバッテリーを併用することで、iPhone Airのビデオ再生時間は最大40時間まで延長される。
実際にどれぐらい充電されるのか。iPhone Airが9%の状態から使用を開始し、30分間で34%まで回復。その間、MagSafeバッテリーは83%から47%まで減っていた。
約1時間後にはiPhone Airは51%、MagSafeバッテリーは19%まで減っていた。1時間で約40%回復していることになる。
しかし注意点としては、かなり熱くなること。夏場、ポケットに入れての使用は避けたほうが良さそうに感じた。
パススルー充電の実力を検証してみた
高速パススルー充電への対応も見逃せない機能だ。30W以上の電源アダプタに接続すると、最大20Wでの直接充電が可能になる。これは従来のMagSafeバッテリーパックを大きく上回る性能である。
実際にパススルー充電の動作を検証してみた。iPhone Air51%、MagSafeバッテリー18%の状態から使用を開始したところ、約20分後にはiPhone Air59%、MagSafeバッテリー32%まで回復していた。さらに約1時間後には、iPhone Air75%、MagSafeバッテリー55%まで順調に充電が進んだ。出力は基本的に15W前後を推移していた。
しかし、そこからさらに30分後に問題が発生した。iPhone Air80%、MagSafeバッテリー78%まで回復していたが、「充電保留中:iPhoneが通常の温度に戻ると充電は再開されます」の表示が現れてしまった。実際に計測してみると、確かにiPhone Airはかなり熱くなっている。触れないほどではないが、「結構熱いな」レベルだ。
熱問題への向き合い方
iPhone Airの熱問題を何度か取り上げているが、決してiPhone Airのネガティブキャンペーンをしたいわけではない。むしろ熱くなることを踏まえてでもiPhone Airを手元に持っておきたいという思いが今でも強い。
それでもこの熱問題を取り上げている理由は、Appleのデュラビリティラボでもそろそろ再現できないレベルになりつつある日本の猛暑を考えると「本体が熱くなりやすい」という状況はしっかりと把握しておいたほうがいいからだ。幸いにも東京は徐々に暑さが落ち着いてきており、これからの季節はiPhone Airを最も快適に使える時期が来る。しかし来年になれば、またあの夏がやってくる。その点だけは念頭に置いてほしい。
「MagSafeファースト」が実現する新体験
iPhone Air MagSafeバッテリーは、単なる外付けバッテリーではない。「MagSafeファースト」のアクセサリーとして設計され、iPhone Airとの完璧な連携を実現している。
最も注目すべきは、高度なソフトウェア最適化だ。iPhone AirはMagSafe接続を通じて、それがiPhone Air専用バッテリーであることを自動認識し、両デバイス間で適切な充電の識別と管理を行う。バッテリー残量が少ない状況では、まずiPhone Airを80%まで優先充電してから両方の同時充電に移行する賢い仕組みを備えている。
iPhone Air MagSafeバッテリーが他のiPhoneで使用できない理由も、この専用設計にある。iPhone Airの極めて薄く軽量なフォームファクターに合わせて設計されているため、他機種ではカメラ部分と干渉してしまう。
USB-C経由での充電機能も備えており、AirPodsやApple Watchなど他のAppleデバイスへ7.5Wの出力で給電できる。Appleがこの製品を「パワーバンク」ではなく「iPhone Air MagSafeバッテリー」と位置づけているのは、iPhone Airとの組み合わせ使用を前提とした専用設計であることの表れだ。

MagSafeなのでAirPods Pro 3も充電できる

USB-C充電でも可能
バッテリー容量はiPhone Air本体と同じ3,149mAhを搭載しながら、最大65%の追加充電に留まるのは、ワイヤレス充電時のエネルギーロスによるものだ。これは物理的制約であり、設計上の妥協点ではない。
薄型軽量への挑戦が生んだ革新
「iPhone Airに厚いバッテリーを付けるのは本末転倒」という批判も的外れだ。「薄くしなくて良いからカメラの出っ張りをなくせ」という人は、是非この写真を見てほしい。まさに出っ張りがなくなり、バッテリー容量が大幅に増えた。
iPhone Air MagSafeバッテリーの重量は126gで、装着時の総重量は291gとなる。確かに単体の165gから見れば増加するが、カメラの出っ張りをなくした分をバッテリーにしたことを考えれば、重さは問題にならないだろう。
何よりも、普段は「薄くて軽い」、必要なときだけ「重くて電池持ちが良い」という選択肢があることが重要なのだ。
iPhone Airは「バッテリー駆動時間を最大限に延ばすために、充電に最適なタイミングをシステム全体が選択」する機能を備えており、常時装着しても適切なタイミングで充電を調整してくれる。これは通常のモバイルバッテリーでは実現できない、専用設計ならではの価値だ。
iPhone Air MagSafeバッテリーは、薄型軽量という制約の中で最大限のバッテリー性能を引き出すAppleのエンジニアリングが光る製品だ。15,800円という価格設定には賛否両論があるだろうが、熱問題という課題を理解しつつも、iPhone Airの体験そのものを拡張する存在として、確実に価値のあるアクセサリーと言える。
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ご確認ありがとうございます!
とても参考になりました。
前代のMagSafeバッテリー持っているのでまだ悩んでいるところです。
検証してみたところ、逆充電は非対応でした!(iPhoneにUSB-Cケーブルを挿してMagSafeバッテリーを貼り付けてみたところ、MagSafeバッテリーは充電されませんでした)
なるほど、考えたこともなかったw
今検証していますので、少々お待ちください!
レビューありがとうございます。
すみません、質問がございます。
逆充電機能、
今回のバッテリーパークも実装されていますか?
お手数ですが、ご返答頂ければ幸いです。