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葬儀屋と会う。僕の「尊敬する人」に相応しい旅立ちを -父親と最期の別れまでの7日間-

3日目

Dad and my daughters 01

「父親と最期の別れまでの7日間」シリーズは、僕の父親が突然亡くなった日から葬式当日までの7日間を記録したもの。いわゆる日記のような内容で、僕自身の記録として残させてもらいたい。

家族との別れは一瞬。予知できる場合もあるが、突然来ると後悔が残る。このシリーズを読んで家族のことを想い、実家に顔を出したり、食事をしたり、家族と時間を過ごすきっかけになったら幸いです。

親父の死から2日間経った。しかし未だに何が何だかよく分からない。

この日は朝8時から葬儀屋との打ち合わせだった。葬儀屋との打ち合わせ?親父、寝てるだけじゃないの?そういう気持ちがまだまだ拭いきれない。

前日にジムに行ったり、取材に行ったりしたこともあり、身体が驚くほど重くて起きられなかった。起きたのは7時20分。プロテインをがぶ飲みし、大急ぎで向かった。

未だに実感が沸かない。もはや「新しい仕事」をするために実家に向かっているような気分だった。

我が家が利用したのは「小さなお葬式」。元野球部や元アメフト部など元体育会系だったと推測される、体格の良い男性が担当だった。物腰は柔らかく、対応も的確かつ分かりやすく、思い出せる不満が何1つもない。

お盆期間ということもあり、各所との予定が合わず、最終的に葬式の日程は親父の死から約1週間後に決定。安さを強みのようにアピールしている葬儀屋だが、結局のところ必要なものやほしいものを加えていくことで費用が膨らみ、全くもって安くない見積もりとなった

しかしここを必要以上にケチるという選択肢はない。何せ自分の親父だ。

僕は「最も尊敬する人は?」と聞かれたら親父だと答えてきた。家周りを整え、子ども達の成長を支えてきたのは(時代的な背景もあって)紛れもなく母親だが、僕は親父に憧れてコンピューターを使い、インターネットで遊び、自鯖に興味を持ち、SFCに入学し、今こうしてウェブの世界で生きているのだ。

親父は派手な人ではなく、多くを求める人でもなかった。必要以上に盛大にする必要はないが、親父に相応しい旅立ちを用意したいと思っていた。最期の別れだからこそ、最期に相応しい別れにしたかった。

実家に着くと、親父に勧めた帽子があった。親父は僕が良かったというものを秒速で買う。親父は頭が大きくて、入る帽子がなかなかないのだが、これは良い感じに入ったので気に入っていたようだ。

Hat that dad bought for himself 01

親父がこれを被っているところを見たかったなあ。

今見返してみたら、これが僕が親父と最後にやり取りしたメッセージだった。この日は僕が実家を訪れ、不要になったベッドを処分するために手伝った日だった。僕が親父と会った最後の日。その日にやり取りしたメッセージが、親父と最後に交わした言葉だったらしい。

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価格:1,170円(掲載時)
著者:加納 敏彦(著)
出版社:PHP研究所

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更新日2024年08月25日
執筆者g.O.R.i
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