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死を嗅ぎつけてきた詐欺業者現る -父親と最期の別れまでの7日間-

5日目

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「父親と最期の別れまでの7日間」シリーズは、僕の父親が突然亡くなった日から葬式当日までの7日間を記録したもの。いわゆる日記のような内容で、僕自身の記録として残させてもらいたい。

家族との別れは一瞬。予知できる場合もあるが、突然来ると後悔が残る。このシリーズを読んで家族のことを想い、実家に顔を出したり、食事をしたり、家族と時間を過ごすきっかけになったら幸いです。

今日も父の葬儀に向けた動きは特になかった。

娘達は、昨夜から妻の母親(おばあちゃん)に姉妹揃って初めてのお泊まりをしていたので、夜から妻と2人だけ。僕はここぞとばかりに仕事を進め、妻はここぞとばかりに溜まっていた家事を進めた。毎朝子ども達の勉強を見ているので、その時間がないだけで驚くほど仕事が進んだ。

昨日買ったパンを食べ、僕はジムへ。僕は元々住んでいた駅にある、いわゆる大衆向けジムに通っているのだが、いつでもおじちゃんやおばちゃん達が楽しく、明るく話してくれるので本当にありがたい。昨日はハードなトレーニングのインターバルに『地面師たち』の話題で盛り上がっていた。基本的に映画が苦手だが、ちょっと見てみたいと思った。

ジムの後は鍼灸院。2週間ごとに通っているが、何かと子ども達の予定に圧迫されて先延ばしになり、1カ月ぶりの施術となった。身体がボロボロで、施術開始直後から寝落ちしてしまった。

帰宅後、明日の面会に向けた準備をしていたところに弟から連絡があり、父親のiPhoneのパスコードを突破できたとのこと。各種連絡もしやすくなり、手続きのハードルも下がるはずだ。母親は基本的に父親任せだったため、今後僕と弟で手続きを進める上でiPhone内の情報が必要になることは多々あるだろう。少しホッとした。弟グッジョブ。

親父の死後、各種手続きを誰よりも頑張っているのは紛れもなく弟だ。社会人としてはふんわりと働いているようなイメージが強かったが、「あれ、もしかして君いわゆるバリキャリ系メンズ?」と思うほどめちゃくちゃ頑張っている。身長も僕より高く、長男に間違えられても不思議ではないが、顔だけの迫力だけで言えば僕のほうが圧倒的に長男感があるので、その心配は不要だ。

そういえば書き損ねたネタがある。何日目だったか忘れたが、父親の死後間もなくして、「先月に給湯器の工事を依頼された」という業者から連絡があった。このときは、たまたま僕も弟もいた日だった。業者名を調べても情報が出てこないという、いかにも怪しい雰囲気で「これから伺います」とのことだった。

それまで「現実としてまだ受け入れられていない」と思っていた僕だが、ふと詐欺である可能性が頭をよぎった瞬間に「何だテメェこの野郎、残された遺族を騙すつもりなのか」と殺気マックスになり、玄関先で対応することにした。

「いつ依頼されました?」
「分かりません、僕依頼されてきただけなので」

無責任感がにじみ出る回答だ。せめて調べる姿勢を見せろ

内心メラメラしていたが、「父親と連絡がつかなくなったので、一旦見送ってほしい」と淡々と伝えた。さすが”依頼されてきただけ”と言っていただけあり、あっさり承諾してくれた。

話の流れで、名刺を依頼したが、持っていないと回答。業者なのに名刺ないの?後ほど会社に戻ってポストに投函すると言っていたが、結局ポストには何も投函されなかった。やる気あんの?

話しが随分と逸れてしまったが、人の弱みにつけ込んでくる奴はどこにでもいる。僕と同じような状況になった場合、くれぐれも気を付けてもらいたい。今後実家のセキュリティは強化していこうと思っている。

さて明日の面会、明後日の火葬で、生身の父親に会えるのは最後。それこそ最期のお別れだ。

準備をしているときに、ふと思い出す。こないだまで普通に一緒に実家の食卓を囲んで団らんしてたよなあ。ちょっと前にあった、子ども達の発表会に来てくれてたよなあ。

この記事を書きながら、そういえば父親が、次女の誕生日用に図書カードをポストに投函してくれたことを思い出した。我が家には監視カメラがあり、その映像をいつでもダウンロードできるので、データがなくならないうちにダウンロードしておいた。

親・身内が亡くなった後の届出・手続きのすべて (きずな出版)
価格:1,170円(掲載時)
著者:加納 敏彦(著)
出版社:PHP研究所

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更新日2024年08月25日
執筆者g.O.R.i
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