「iPadのおかげで留年しなかった」研修医あおいさんに学ぶ勉強術。国試1カ月前にベルリン留学→一発合格
医学部は「覚えることが多すぎる」からこそ「絶対に効率重視」。研修医が明かす、GoodNotesと効率化の秘密
Apple表参道で2月12日、Today at Appleイベント「ワークショップ:研修医のあおいと一緒にiPadで楽しく効率的に学ぼう!」が開催された。現役研修医でありクリエイターとして活動するあおいさんをゲストに迎え、iPadとノートアプリ「GoodNotes」を活用した効率的な学習方法を学ぶセッションだ。
本記事では、ワークショップの様子をレポートする。あおいさんのiPad活用術は、医学生だけでなく、すべての学習者にとって参考になる内容だった。
「限界」まで追い込む研修医クリエイター
あおいさんは大阪で研修医1年目として勤務する傍ら、InstagramやTikTokで医学生向けの勉強法やライフスタイルを発信している。現在は様々な診療科を回る「ローテーション」を経験中で、特に麻酔科に興味があるという。「一人で行う業務が多く、自分に任せてもらえる範囲が広いため、勉強して頑張ろうと思える」とその理由を語った。
医師を目指したきっかけについては、「小学生の頃、親が咳をしただけで『重大な病気ではないか』と調べるほど命や病気に恐怖と興味を持った。自分や皆の家族が一人でも多く健康になれる手助けがしたいと思った」と真摯に答える一幕もあった。イベント進行を務めたAppleスタッフのKaitoさんが「SNS配信の『限界』とは?」と質問すると、あおいさんは「常にギリギリで生きていること」と回答。予定に間に合わせるために朝も小走りで移動しており、「今日もリハーサル前に髪を切りに行って小走りで会場入りした」とのエピソードに会場は笑いに包まれた。
紙からiPadへ:医学部での転機
あおいさんがiPadを使い始めたのは大学3年生の頃だ。それまでは紙のノートで勉強していたが、暗記科目が苦手で特に苦労していたという。
転機となったのは、友人から共有されたPDFをLINEで受け取り、AirDropでiPadに送ってすぐに書き込めたことだ。「今まで紙に書き写さないとダメだったのが一瞬で効率化されて、すごく感動した」と当時を振り返る。周囲の医学生がほぼ100%iPadを使っていたことも導入のきっかけとなり、自分も購入を決めたそうだ。
「紙とiPadの違い」について問われると、「自分はプリントをすぐ無くしてしまうタイプ。iPadならスキャンして保存でき、カフェ等への持ち運びもこれ1台で済む」と実用面でのメリットを強調した。医学部では膨大なPDF資料が配布されるため、iPadなら取り込むだけで済み、書き写す手間がなくなったことも大きかったという。
使用アプリについては「GoodNotesをもう活用しすぎて、ほとんど他はしていない」と断言。当初はApple純正の「ブック」アプリを使っていたが、周囲の医学生の勧めでGoodNotesに変更したところ、「機能が豊富でフォルダ分けしやすく、可愛いステッカーもあってモチベーションが上がる」と多機能さに感動したそうだ。
実は1年目に留年しているというあおいさん。しかしiPadを使い始めてからはストレートで進級・合格できたという。「iPadのおかげで留年しなかった」とも言える転機だったと振り返っていた。
あおい流「まとめノート」の極意は”効率”
ノート作成で最も大事にしていることとして、あおいさんは「効率」を挙げた。一般的な授業のまとめノートではなく、「試験の1週間前から直前の1秒前まで見るための暗記用ノート」を作成するのがあおい流だ。
最高傑作として紹介されたのは、去年の医師国家試験の時のノート。教科書等の覚えにくい部分をスクリーンショットしてiPadに貼り付け、重要箇所に色をつけるスタイルだ。色分けには独自のこだわりがあり、「『上昇・プラス』はピンク、『低下・マイナス』は水色など、色で視覚的に覚える」という工夫を凝らしている。
ワークショップ実践:留学計画ノートを作ろう
イベント後半では、「留学したい国・学びたい語学」をテーマに、参加者全員で実際にノートを作成するハンズオン形式のワークショップが行われた。
まずKaitoさんの指導で、Apple Pencilの基本操作を習得。画面タップでツールバーを表示し、図形補正機能を体験した。丸や矢印を一筆書きし、ペンを離さず2秒止めると綺麗な図形に変換される機能に、参加者からは驚きの声が上がった。
続いてあおいさんの指導で、GoodNotesの「ホワイトボード」機能(無限キャンバス)を使用。Apple Pencilの筆圧や傾き検知、Apple Pencil Proのスクイーズ(パレット表示)やバレルロール(ペン先の回転)を体験した。消しゴム機能では、ペンでぐちゃぐちゃっと塗りつぶすジェスチャーで消去できる「スクリブル」も紹介された。
素材の準備では、Apple純正の「マップ」「天気」「カレンダー」アプリから、留学先の都市情報をスクリーンショットで撮影。Apple Pencilで画面左下から中央へスワイプするだけでスクショが取れる操作性の良さも実演された。GoodNotesでは新規ノートを作成し、表紙と用紙(ドット方眼など)を選択。カスタムカラーで好みの色に設定した後、撮影した3枚のスクリーンショットを貼り付け、トリミングやサイズ調整を行う。さらに「ステッカー」機能を使ってタイトルや装飾を追加し、オリジナルのノートを完成させた。
特に参加者から歓声が上がったのが、Appleの「メモ」アプリのMath Notes機能だ。手書きで「1ページ1.4時間 × 30ページ =」と書くと、自動で「42時間」と答えが表示される。さらに「42 ÷ 8日 =」と書くと、1日あたりの勉強時間「5.25時間」が算出される。この計算結果を元に、GoodNotesに戻ってカレンダーの画像の上に「5h」「6h」など日々の目標勉強時間を書き込み、具体的な学習計画を立てる。デジタルとアナログの良さを融合させた実践的な手法に、参加者は熱心にメモを取っていた。
質疑応答では、参加者からあおいさんへ実践的な質問が多数寄せられた。「ノートを取り始めるタイミングは?」との質問には、「最初からは取らない。まず問題集を3回解き、それでも覚えられない部分だけを最後にまとめる」と回答。効率を重視する姿勢が一貫している。苦手科目の克服法については、「鉄緑会のテキストや問題集を解き、分からないところは先生に質問する。苦手な分、人の倍努力して得意にするしかない」と努力の重要性を強調した。
国試直前のベルリン留学と1日14時間勉強の秘密
イベント終了後、集中力の源泉や、驚きのエピソードについてあおいさんに詳しくお話しを伺うことができた。
「1日14時間勉強」という驚異的な集中力の保ち方について尋ねると、独自の工夫が明らかになった。スマホにはゲームが入っていて依存しがちなため、iPadは「勉強専用(通知オフ)」に設定。さらに自分を追い込むために、あえて「16時間分の計画」を立てて結果14時間やる、という手法を取っているという。「時間を計測してタイムアタック形式で問題を解く。昨日10問に1時間かかったけど、今日はそれより早いタイムで解くぞ、みたいな。自分と競争している感じ」と、ゲーム感覚で勉強を継続する工夫も語られた。
最も驚かされたのは、医師国家試験の1カ月前までベルリンに留学していたというエピソードだ。「素人の方じゃなくても全員が驚かれた。おかしい行動」と自ら認めつつ、「行ける時はもう全部行きたいという気持ち」と直感に従った判断だったという。「1カ月が最低ライン。本当にギリギリ受かったと思うが、だらだら3カ月勉強している人が1日5時間なら、私が1カ月14時間やるのと変わらない」との持論を展開。「精神がある程度強い方だったらおすすめだが、私はもう肌荒れしながらやっていたので、あまりおすすめしたくない」と笑いながら振り返った。
デバイス選びについても貴重なアドバイスがあった。最初はWindows PCを買ったが、iPhone(スマホ)とのデータ連携が面倒でMacに買い替えた経験から、「学生には最初からiPadやMacを勧める」という。現在使用しているのは11インチiPad。持ち運びやすさと、医療現場での使いやすさ(白衣のポケットなど)を考慮したサイズだという。
あおいさんの勉強法:Instagramで公開される「限界」の記録
あおいさんのInstagramアカウントでは、実際の勉強風景や具体的な勉強法が数多く公開されている。国家試験に向けて勉強している様子を見ると、相当限界まで勉強していることが分かる。試験17日前の動画では、8時30分に起床し、昼まで勉強、22時に「おかわり」してからさらに勉強を続けており、膨大な時間を費やして勉強に没頭している様子が伺える。
別の投稿では、勉強を両立する方法を解説している。あおいさんによると、医学部は「覚えることが多すぎる」からこそ「絶対に効率重視」だという。具体的には3つのポイントがある。
- 進度で区切る:「何時まで勉強」と時間で区切るのではなく、「問題数など勉強の進度で区切る」
- 計画を立てる:カレンダーに書き込むことで予定を管理。可視化することで「焦るから効率アップ」と焦りをポジティブに捉えている。万が一計画が狂った場合は「少しずつ修正」と前向きに対応
- 問題ファースト型:いきなり問題を解き、分からない部分を教科書などで調べて理解するスタイル。「一番よく出るキーワードから順番に覚えることができる」という点で効率的
復習のタイミングについては、エビングハウスの忘却曲線を根拠として「1日以内」が理想としながらも、「普通に厳しい」との理由から「6日以内にするようにしています」と現実的な目標を設定。「せっかく勉強したことを忘れるのは、自分の努力と時間を無駄にするということ」という言葉は、学生に限らず学ぶ全ての人にとって貴重な指針となるだろう。
医学生の「標準装備」となったiPadとGoodNotes
約90分のワークショップは大いに盛り上がりを見せた。特に印象的だったのは、あおいさんの人柄の良さと「現役研修医」としての頭のキレの良さだ。質疑応答では「一般人」でありながらも、メディアからの質問にバシバシと的確に答えており、「ただ者ではない」感が漂っていた。
医学の専門知識と効率的な学習法、そしてAppleデバイスを使いこなす技術力。これらを融合させた独自のスタイルは、医学生だけでなく、資格試験を目指す全ての学習者にとって参考になる内容だった。iPadとGoodNotesという組み合わせは、もはや医学生の「標準装備」となりつつある。紙からデジタルへの移行は単なるツールの変更ではなく、学習の効率化と人生の質の向上につながる。
あおいさんの「限界」まで追い込みながらも、留学や自己実現を諦めないライフスタイルは、デジタルツールの可能性を最大限に引き出した好例と言えるだろう。Apple Storeでは今後も様々なToday at Appleイベントが開催される予定だ。興味がある方はApple公式サイトをチェックしてみてはいかがだろうか。
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