楽天モバイルは『サブ回線』でこそ輝く。月2.7万円の楽天市場利用で実質無料になる理由
通信障害への「保険」として最適、ただしSPUエントリーと0570有料には要注意
最近、周囲のガジェット好きの間で「デュアルSIM運用」の話題が増えてきた。きっかけは2024年夏の大規模通信障害。その時、僕の友人の1人は完全に「財布を失った状態」になり、キャッシュレス決済が一切使えず困り果てていた。シングルSIM運用のリスクを痛感した瞬間だった。
そこで僕自身も色々と調べてみた結果、楽天モバイルは「メイン回線」ではなく「サブ回線」として使うのが最適解という結論に至った。しかも2025年9月に発売されたiPhone 17やiPhone Airは物理SIMトレイを廃止し、eSIM専用端末になったことで、サブ回線の導入障壁が劇的に下がっている。オンラインで契約すれば即座に開通する時代だ。
プラチナバンドの「現実」と「ハイブリッド構成」
2024年6月から商用サービスが始まった楽天モバイルのプラチナバンド(700MHz帯)について、正直に語っておきたい。プラチナバンドは「爆速通信」のためのものではない。楽天モバイルに割り当てられた帯域幅は3MHz×2と非常に狭く、物理的に超高速通信は不可能だ。
しかし、僕が調べて分かったのは、プラチナバンドの真価は「速度」ではなく「繋がりやすさ」にあるということだ。700MHz帯という低い周波数は、建物の裏側や屋内、地下深くまで電波が回り込む「回折性」に優れている。サブ回線の最大の目的が「圏外にならないこと」であるならば、速度は遅くても決済QRコードが表示できる程度で十分。確実につながる700MHz帯の存在は、命綱としての価値が極めて高い。
さらに、楽天自社回線が苦手な場所(地下、ビル奥)では、即座にauのプラチナバンド(ローミング)を掴む「楽天自社プラチナバンド+auローミング」というハイブリッド構成になっている。ユーザーからすれば、掴んでいるのが楽天だろうがauだろうが関係ない。「常に繋がっている」という事実が重要だ。
この回線を「タダ」で維持する方法
ここからが本題だ。僕がサブ回線として楽天モバイルを選んだ最大の理由は、SPU(スーパーポイントアッププログラム)による実質無料化だった。楽天モバイル契約者のSPU倍率は+4倍で、ポイント付与上限は月間2,000ポイント。
少し計算してみよう。楽天モバイルの最安プラン(3GBまで)は月額1,078円。この金額を回収するには、楽天市場で月約27,000円の買い物をすれば十分だ。ふるさと納税、日用品、ガジェット……月2.7万円くらい楽天で使う人なら、契約しているだけでプラスになる計算だ。
さらに本気で楽天市場を使う人なら、月5万円の買い物で上限2,000ポイントに到達する。この場合、通信費を払ってもなお黒字になる。ただし月5万円以上買い物をしても、それ以上のポイントアップはないため、注意が必要だ。
【最重要】毎月のエントリーを絶対に忘れるな
ここからが最も重要な話だ。2025年2月1日から、SPUは「契約していれば自動適用」ではなく「毎月の事前エントリー制」に変更されている。これを知らずに契約すると、ポイントが一切増えない。
楽天市場のアプリやウェブサイトから、毎月「エントリー」ボタンを押さないとポイント倍率が上がらない仕組みだ。エントリー前の買い物も同月内なら遡及されるが、月をまたぐと無効になる。「契約したのにポイントが増えない」という致命的なミスを防ぐため、必ずスマホのカレンダーに「毎月1日:楽天SPUエントリー」とリマインダーを設定してほしい。
僕自身、最初の月はこれを知らずにエントリーを忘れ、数百ポイントを逃した。それ以来、毎月1日の朝にアラームが鳴るようにしている。
Rakuten Linkという「ほぼ無料の電話ボックス」
もう1つ見逃せないのが、Rakuten Linkという専用アプリだ。このアプリ経由なら、国内の固定電話・携帯電話への通話が基本的に無料になる。お店への予約、サポートセンターへの問い合わせ。これらをLinkアプリ経由にするだけで、通話料は0円だ。
ただし注意点がある。0570(ナビダイヤル)や188(消費者ホットライン)、#ダイヤル(#7119救急相談など)は、Rakuten Link経由でも有料になる。これは技術的な制約(相互接続ルール)によるもので、企業の問い合わせ窓口が0570のみの場合は、通話料が発生することを覚悟する必要がある。
とはいえ、大半の通話は無料になるため、「電話番号維持費」として考えても月額1,078円の価値は十分にあると僕は感じている。
僕が考えるデュアルSIMの組み合わせ
実際にどう組み合わせるのが良いか、いくつかパターンを考えてみた。
【パターンA】docomo/ahamo(メイン)× 楽天モバイル(サブ)
- 対象:仕事で絶対に圏外になれない人
- メリット:通信品質最強のドコモ網をメインにしつつ、万が一の大規模障害時のバックアップとして楽天(au網含む)を持つ。日本でこれ以上の冗長構成は考えにくい
【パターンB】povo 2.0(メイン)× 楽天モバイル(サブ)
- 対象:固定費を極限まで削りたい人
- 運用:普段は楽天モバイル(3GBまで1,078円)で通信し、足りない時や繋がりにくい時だけpovoをトッピングする
- メリット:povoの基本料は0円なので、楽天の1,078円だけで2回線を維持できる。ただしpovoは毎月のトッピング購入という「管理コスト」が発生する点に注意
【パターンC】LINEMO/UQ(メイン)× 楽天モバイル(サブ)
- 対象:高品質な通信を安く使いたい人
- メリット:サブブランド(3GB/990円など)をメインにし、楽天は「通話専用」+「楽天市場SPUアップ用」として割り切る。合計2,000円程度で、高品質通信とカケホ(Link)が手に入る
2025年11月に進化した「最強家族割」
調べてみて驚いたのが、2025年11月18日から「最強家族プログラム」が「最強家族割」に名称変更され、恒久的な割引制度として位置づけられたことだ。「プログラム」という名称は期間限定のニュアンスがあったが、「割」に変更されたことで、将来にわたって継続される制度であることが明確になった。
離れて暮らす親戚や、事実婚パートナー、同性パートナーともグループを組めるという柔軟性も魅力的だ。名字が異なっていても問題ない。他社の家族割引(同一住所や同一姓が厳格に求められるケース)と比べて、圧倒的に柔軟だ。1グループにつき最大20回線まで登録可能なので、家族が多い人ほどメリットが大きい。
サブ回線契約でも、グループに入れば月額110円引き。つまり3GBまでの利用なら実質968円(税込)で維持できる計算だ。心理的な壁である「1,000円」を切る価格設定は、サブ回線として非常に魅力的だと思う。
iPhoneでのデュアルSIM設定
設定自体は驚くほど簡単だった。iPhoneの「設定」→「モバイル通信」から、デフォルトの音声回線とモバイルデータ通信を個別に設定できる。データ通信はメイン回線、音声通話は楽天モバイル(Rakuten Link用)に設定すれば使い勝手が良いだろう。
特に2025年9月発売のiPhone 17やiPhone Airは物理SIMトレイが廃止され、完全にeSIM専用端末になった。契約後すぐに開通するため、「やべ、メイン回線が圏外だ」と思った時でも即座に切り替えられる。この安心感は、一度体験すると手放せなくなる。
サブ回線という「保険」の価値
楽天モバイルを「メイン回線」にする勇気は、まだなくてもいいと僕は思う。しかし、「サブ回線」として持たない理由は、少なくとも僕には見つからなかった。iPhoneのeSIMスロットが空いているなら、それは「ポイント還元」と「無料通話」と「安心」を放棄しているのと同じことだと感じる。
事務手数料0円、即日開通。ただしSPUのエントリーだけは毎月絶対に忘れずに。これさえクリアすれば、次の楽天市場の買い物からポイント4倍の恩恵を受けられる。2025年冬の今、デュアルSIM運用を始めるには絶好のタイミングだと思う。
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