iPhone Airの失敗を見た中国ブランド、超薄型スマホ開発を相次ぎ中止か

iPhone Airの販売不振が業界全体のトレンドに影響を与えている。中国の主要スマートフォンメーカーは、自社の超薄型スマホの開発計画を相次いで中止または凍結した。

iPhone Airは発売直後から苦戦

iPhone Airは2025年9月の発売直後から販売不振が報じられており、Appleサプライチェーンでは出荷量や生産台数の大幅な削減が進められている。DigiTimesによると、サプライヤーのFoxconnはiPhone Air向け生産ラインをすべて解体し、Luxshareも10月末で生産を停止した。

以前の報道では、日経アジアが「生産台数は”ほぼ生産終了”に相当するレベルまで縮小された」と伝えている。KeyBanc Capital Marketsの投資家向け調査では「iPhone Airの需要は事実上存在しない」との厳しい評価が下されており、配送予定日の遅延も一度も発生していない状況だ。

中国ブランドが続々と計画を凍結

iPhone Airの市場での失速を受け、MacRumorsによると、Xiaomi、Oppo、Vivoなどの中国ブランドは超薄型モデルの開発を見直している。Xiaomiは「真のAirモデル」と位置付けていた製品を計画していたとされ、VivoもミドルレンジのSシリーズで薄型化を目指していたが、いずれも開発を中止した模様だ。

関係者の話として、これらのブランドはAirモデル向けに調達していた部材やeSIMソリューションを他の製品に転用したケースもあるという。各社はまだ正式なコメントを発表していないが、iPhone Airの不振を見て方向転換を決断したとみられる。

薄型化が引き起こしたトレードオフ

iPhone Airは2017年のiPhone X以来となる大幅なデザイン刷新を果たし、注目を集めることを期待されていた。しかし超薄型の5.6mmボディを実現するため、バッテリー容量の削減とシングルカメラ構成という大きな妥協を強いられた。

999ドルという価格設定も消費者にとって魅力的ではなかった。わずか100ドル追加すれば、トリプルレンズカメラシステムと大幅に優れたバッテリー持続時間を備える1,099ドルのiPhone 17 Proが手に入るためだ。以前の報道では、iPhone 17シリーズ全体は好調なものの、超薄型モデルだけが苦戦していることが明らかになっている。

AppleとSamsungが同時に市場撤退

消費者の反応が芳しくなかったことから、Appleは第2世代iPhone Airの発売を延期したとThe Informationが報じている。ただし将来的にデュアルカメラの搭載とバッテリー性能の改善を目指して再設計を進めているとの情報もあり、超薄型モデルが完全に消滅するわけではなさそうだ。

同様に、Samsungも超薄型スマホ「Galaxy S25 Edge」で苦戦を強いられており、販売不振を理由にGalaxy S26 Edgeの開発を中止し、Galaxy S25 Edgeの生産も停止したと伝えられている。Galaxy S25 Edgeの販売台数は8月時点で131万台にとどまり、標準モデルのGalaxy S25が828万台を記録したのとは対照的だった。