AirPods Maxのロスレスオーディオ対応、Appleの「究極」謳い文句に矛盾……?
公式サポートドキュメントでは「AACとロスレスの違いはほぼ区別がつかない」と明記。本当の価値はミュージシャン向け機能か
Appleは本日、USB-Cポートを搭載した新型AirPods Maxが来月のファームウェアアップデートでロスレスオーディオと超低遅延オーディオに対応することを発表した。このアップデートはiOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS 15.4のリリースと同時に提供される予定だ。
AppleのマーケティングチーフであるGreg Joswiak氏はTwitterへの投稿で、ロスレスオーディオと超低遅延オーディオをAirPods Maxにとっての「究極の」オーディオアップグレードと表現し、「驚異的なサウンド品質」を約束している。
Next month AirPods Max are leveling up with lossless audio and ultra-low latency audio—bringing you mind-blowing sound quality. 🎧
Whether you’re a music creator or music lover, this is the ultimate audio upgrade! 🔥 pic.twitter.com/F7xh4u1hgC
— Greg Joswiak (@gregjoz) March 24, 2025
「究極」と謳うAppleの主張に疑問符
しかし興味深いことに、Appleの公式サポートドキュメントには矛盾する記述が見られる。同ドキュメントによれば、すでに採用されているAACコーデックは「オリジナルのスタジオ録音とほぼ区別がつかない」音質を提供しているとされている。さらに「AACとロスレスオーディオの違いはほぼ区別がつかない」とも明記されているのだ。
We developed our own implementation of AAC (Advanced Audio Codec) that delivers audio that’s virtually indistinguishable from the original studio recording.
via Apple Support
While the difference between AAC and lossless audio is virtually indistinguishable, we’re offering Apple Music subscribers the option to access music in lossless audio compression.
via Apple Support
つまり、Appleの公式見解によれば、ロスレスオーディオはAACと比較して大きな改善をもたらさないということになる。そのような機能を「究極」のアップグレードと呼ぶのは、過剰なマーケティングではないか、と一部で指摘されている。
オーディオ圧縮の仕組み
オーディオファイルは通常、ファイルサイズを小さくするために圧縮される。MP3やApple独自のAdvanced Audio Codec(AAC)のような規格では、一部のデータが失われる。一方、Apple Lossless Audio Codec(ALAC)のような「ロスレス(無損失)圧縮」規格は、オリジナルのデータをすべて保持する。
Apple Musicのカタログ全体(1億曲以上)は、AACとALACの両方でエンコードされている。低遅延性についても、直接的に音質を向上させるものではない。
ミュージシャン向けの機能としての価値
言葉のチョイスには賛否両論あるかもしれないが、ロスレスオーディオの音質向上はすべての人が知覚できるわけではないものの、超低遅延と組み合わせることで別のメリットが生まれる。Appleの発表によれば、これら2つのアップグレードを組み合わせることで、USB-C搭載のAirPods Maxは、ヘッドトラッキング機能付きパーソナライズド空間オーディオで作曲とミキシングの両方を行える唯一のヘッドホンになるという。
このことから、新機能はオーディオ制作に関わるプロフェッショナルやミュージシャンにとって特に価値があるものと考えられる。一般消費者にとっては、Joswiak氏が主張するほどの「究極」のアップグレードとは言い難いかもしれない。
それよりもiPad4の後にiPad airが出て「か、軽い!薄い!」体験したときみたいな、ニューairpods max待っとりますー