Google Pixel 10シリーズ、Watch 4、Buds 2a正式発表ーーマイボイス通訳が「ワシやないかい!」レベル
実機体験レポート:AI通話翻訳の衝撃クオリティとPixel Watch最長40時間駆動、しかしハードは"s系"印象も
Googleが待望の秋の新製品としてGoogle Pixel 10シリーズ、Pixel Watch 4、Pixel Buds 2aを発表した。新開発のGoogle Tensor G5プロセッサを搭載し、AI機能に重点を置いた製品群となっている。
今回、発表会で先行して実機を少しばかり触ることができたので、実際の使用感も交えながら各製品の詳細を紹介していきたい。
Google Pixel 10シリーズ
今回のPixel 10シリーズは4モデル展開となり、それぞれ異なるニーズに対応している。全モデル共通でGoogle Tensor G5プロセッサを搭載し、TSMCの最新3nmプロセスによって機械学習性能が従来比で2桁の向上を実現した。業界トップクラスの7年間のソフトウェアサポートとセキュリティアップデートも全モデルで保証されている。
革新的なAI機能
マイボイス通訳は、Pixel 10シリーズの目玉機能といっても過言ではない。実際に体験してみた感想だが、想像の10倍凄かった。僕が英語を話し、カズチャンネルのカズさんが日本語で話すという体験をしたが、自動的に翻訳される僕の英語の日本語版が、まさに僕でしかなかったのだ。「ワシやないかい!」と叫ぶほどのクオリティで、僕のことをよく知ってくれている他の参加者も僕の声にそっくりだと言っていた。
実際にマイボイス翻訳を使っている様子を、YouTubeチャンネル「ぱぱのひとりごと」に撮影してもらったので、是非ご覧いただきたい。
海外旅行でのホテル予約変更や、レストランでの細かいオーダーなど、これまで言語の壁で躊躇していたシーンでの活用が期待できる。現在は日本語から英語への翻訳に対応しており、Google Pixel同士でなくても他のスマートフォンや固定電話との通話でも利用可能だ。
マジックサジェストは、Tensor G5とGeminiを活用したリアルタイム処理機能だ。例えば、レストランの予約について友人からメッセージが届くと、Gmailの予約確認メールを参照して自動的に返信候補を提示してくれる。アプリ間の移動を簡素化し、よりスムーズな操作体験を実現している。
カメラ機能の大幅進化
カメラコーチはなかなか面白い機能だと思った。実際にシャッターチャンスというときに、わざわざカメラコーチに従って手間暇かけて撮影するかというと、この機能のターゲットである「写真にあんまり詳しくない人」が使う機会はあまりないような気もする。ただ、「写真にあんまり詳しくないけど、良い写真を撮りたい」というニーズは間違いなくあるはずだ。
「このシーンでは絶対に最高の写真を撮りたい」という人が活用することで「おお……結構良いじゃん……」という満足感が得られるような機能だと思うので、結構面白いと思った。とはいえ、シャッターチャンスを逃しそうな仕組みなので、ユーザー自身が指定したシーンをもとに、カメラの向き以外はすべて自動でやってくれたほうが使われる確率が上がる気がする。
オートベストテイクは、子ども達の集合写真を撮るときに物凄く便利そうだ。僕は娘達が友達と遊ぶときに写真を撮っているが、写真の選定がいつも大変なのである。集合写真撮影時に数秒間で最大150枚の画像を解析し、写っている一人ひとりが最高の表情をしている瞬間を自動抽出してくれる機能は、まさに求めていたものだ。
Pixel 10 Proシリーズの100倍ズームについても実際に試してみたが、想像以上に凄かった。仕上がりはやや人工的な感じはするものの、十分使えるレベルに仕上がることには感動した。何よりも100倍ズームという、理解し難いほどのズームレンジだ。いざというときに役に立ちそうだが、同時に悪意を持った使われ方もされそうで心配ではある。
NotebookLMとの深い連携
情報整理アプリNotebookLMがPixel 10シリーズにプリインストールされる点も見逃せない。YouTube動画、PDFファイル、ウェブサイト、コピーしたテキストなどを情報源として活用し、会話や文章を生成してくれる。Pixelのレコーダーアプリやスクリーンショットアプリからシームレスに情報を取り込める仕様は実用的だ。
会議の文字起こしやインタビュー記録を基にした議事録作成、メール作成、アクションリストの洗い出しが格段に簡単になる。音声概要生成機能では、アップロードしたソースを元にラジオ番組のような形式で音声サマリーを作成することも可能だ。
新しいワイヤレス充電エコシステム
全Pixel 10シリーズには、新しいワイヤレス充電規格Qi2が搭載されており、マグネットで装着可能なアクセサリのエコシステム「Pixel SNAP」をサポートする。この対応は素晴らしいと感じた。Appleで言うところの「MagSafe」が「Pixel SNAP」に該当し、この手の製品は充電だけではなくスマホスタンド、スマホリング、スマホウォレットなど、無限の可能性を広げてくれる。
Pixelシリーズも採用することで興味を持つユーザー数が増え、関連アクセサリが増えるはずだ。各社によって採用する名称が異なることによってわかりづらさはあるものの、ラインアップの拡充には期待したい。
4つのモデルラインナップ
Pixel 10(128,900円から)は、サテン仕上げの金属フレームと4色のカラーオプションが特徴的だ。5倍望遠レンズで光学10倍相当の画質と最大20倍超解像ズームに対応。ピーク輝度3200ニトのActuaディスプレイと30時間以上のバッテリー持続時間、30W急速充電を搭載している。
Pixel 10 Pro(174,900円から)とPixel 10 Pro XL(129,900円から)は、プロレベルのカメラシステムを搭載したフラグシップモデルだ。50MP広角カメラは光学手ぶれ補正の範囲が2倍に拡大され、48MP望遠カメラでは最大100倍のズーム性能を達成。42MPの自撮りカメラは103度の広視野角を実現し、16GBの大容量RAMも搭載している。
Pixel 10 Pro Fold(267,500円から)については正直なところ、情報が少ない。発売もまだ先だということもあるが、正直なところ、Galaxy Z Fold7のような感動は無かった。革新的なギアレスヒンジやIP68防水対応など技術的な進歩は評価できるものの、折りたたみスマホであの薄さを見てしまった今、他のデバイスは余程決定的な差別化ポイントがない限り、感動が薄れてしまう気がしてならない。
Pixel Watch 4
Pixel Watch 4は、Pixel Watchシリーズ史上最大級のアップデートを遂げた。41mmモデルが52,800円から、45mmモデルが59,800円からという価格設定で、10月9日の発売予定となっている。
バッテリー性能の劇的向上
最も注目すべきは、小型モデルで最長30時間、大型モデルで最長40時間というバッテリー駆動時間だ。バッテリーセーバーモードでは最長2〜3日の駆動が可能となっている。充電速度も25%高速化され、15分以内で0から50%まで充電できる仕様は実用的だ。
ディスプレイの大幅改良
ベゼルを106%縮小し、画面領域を10%拡大した新しいドーム型Actua 360ディスプレイを採用。ピーク輝度3200ニトという50%の向上により、直射日光下でも最適な視認性を実現している。Material 3 Expressive UIにより、通知もより豊かで分かりやすい表示となった。
健康管理機能の進化
Fitbitのセンシング技術とGoogleのAIを組み合わせ、激しい運動中でも正確な心拍数トラッキングを実現。次世代の皮膚温センサーとデュアル周波数GPSも搭載し、睡眠トラッカーの精度も大幅に向上している。
日本で初めて心電図(ECG)機能を搭載した点は特筆に値する。手首の上でわずか30秒で心拍リズムを評価でき、心臓の動態や不規則性の確認に役立つ機能だ。
Geminiとの直接連携
最も革新的なのは、Geminiがプリインストールされている点だろう。腕を上げるだけでGeminiを起動できる「腕を上げて話す」機能により、両手が塞がっている状況でも音声でスマートに操作できる。ウォーキング中にプレイリストを再生したり、Googleカレンダーに予定を追加したりといった操作が可能だ。
Pixel Buds 2a
Google Pixel Buds 2aは、23,800円という価格でAシリーズとして初のアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した注目モデルだ。10月9日の発売予定となっている。
コンパクトなデザインとフィット感
Aシリーズとしては最も小さく軽いイヤホンながら、ひねって調節するスタビライザーにより快適で安定したフィット感を実現している。充電ケースも過去最小サイズで、ポケットや小さなバッグにも簡単に収まる設計だ。IP54の防滴防水性能も備え、ワークアウトや急な雨の時にも安心して使用できる。
優秀なバッテリー性能とAI機能
センサーAIチップの搭載により、ノイズキャンセリングオフ時でPixel Buds Aシリーズの2倍のバッテリー駆動時間を達成している。Geminiによるハンズフリーサポートに加え、マルチポイント機能、Fast Pair、Find Hub機能など充実した機能を提供する。
Find Hub機能では、イヤホンの正確な位置を地図上で確認でき、近くにある場合はイヤホンを鳴らしてより早く見つけることが可能だ。なお、昨年発表されたPixel Buds Pro 2には新カラー「ムーンストーン」(36,800円)が追加され、8月28日から発売される。
発売情報とキャンペーン
予約受付は8月21日から開始され、発売スケジュールは以下の通りだ:
- 8月28日発売:Pixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL、Pixel Buds Pro 2(ムーンストーン)
- 10月9日発売:Pixel 10 Pro Fold、Pixel Watch 4、Pixel Buds 2a
Google Storeでは対象のPixelまたはiPhoneの下取りとGoogle Storeクレジットを利用することで、Pixel 10 ProとPixel 10 Pro XLのいずれかを49,800円から購入できる特別キャンペーンを実施している。Pixel Watch 3の下取りで最大25,800円の払い戻しが受けられるキャンペーンや、予約で「Google Pixelスマートフォン&ウォッチスタンド」が当たる抽選キャンペーンも用意されている。
Pixel 10シリーズ、Pixel Watch 4、Pixel Buds 2aは、AIとハードウェアの融合が生み出す次世代デバイス体験を提案している。特に言語の壁を取り払う通話翻訳機能と、ウェアラブルデバイスでのGemini連携は、日常生活を大きく変える可能性を秘めた革新的な機能だ。
一方で、ハードウェアとしては”メジャーアップデート”と言えるほどの劇的な進化はなく、iPhoneでいうところの「s系アップデート」、つまりどちらかというとマイナーアップデートと感じるような内容であるとの印象を受けた。
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