是枝裕和監督が明かす「iPhone 16 Proで映画撮影」の舞台裏。従来の撮影現場の”圧”から解放された俳優たち
Shot on iPhone短編映画『ラストシーン』トークセッションで語られた、プロの映画制作を変えるiPhoneの可能性
是枝裕和監督がiPhone 16 Proで全編撮影した短編映画『ラストシーン』のプレミア試写会が開催された。監督とキャスト(仲野太賀さん、福地桃子さん、黒田大輔さん、リリー・フランキーさん)によるトークセッションの内容から、特に注目すべきポイントをまとめた。
iPhone 16 Proでの撮影に対する反応
是枝監督はiPhoneでの全編撮影という企画を聞いた際、撮影監督の瀧本幹也氏なら面白がって撮ってくれるだろうと考え、「よし、やってみよう」と決断したという。瀧本氏は機材に職人的なこだわりを持つ方で、iPhone 16の機能を存分に活用する姿が印象的だったようだ。
俳優陣からは、従来の撮影現場との違いについて興味深いコメントが寄せられた。仲野太賀さんは、通常の撮影で感じる大型機材や多人数からの「圧」や「プレッシャー」がほとんどなく、リラックスした状態で演技に集中できたと語った。福地桃子さんも同様に、カメラとの距離感が良い状態で撮影できたことを強調している。
iPhone 16 Proの技術がもたらした変化
今回の撮影では、iPhoneのコンパクトさと機動力が大きなアドバンテージとなった。特に、狭い観覧車のゴンドラ内での撮影や、夕暮れのわずかな時間を狙ったクライマックスシーンなど、従来の機材では実現が難しかったシチュエーションでの撮影が可能になった。
技術面では、特に以下の機能が効果的に活用された:
- アクションモード:是枝監督は、メイキング映像で竹本氏が手持ちで走っているシーンの驚異的な安定性に衝撃を受けたという。仲野さんと福地さんが速いスピードで走るシーンも、ブレなく撮影されている。
- シネマティックモード:冒頭シーンでの使い方が美しく、手前のボケとフォーカスの移動がスムーズに表現された。
- その他、スローモーションや5倍ズームなども効果的に使用された。
映画のテーマと技術の融合
映画のテーマは「未来に何が残って、何が消えるのか」だ。テクノロジーが急速に発展する中で、当たり前だったものや景色、人との触れ合いなどが失われるかもしれないという漠然とした不安がある。iPhoneという最新技術を用いて、失われゆくものの「尊さ」を再確認できた点は興味深い。
作品内では、仲野太賀さんのリアルな老けメイク(古典的な特殊メイク)と、リリー・フランキーさんのロボット役(グリーンバック撮影からのCG処理)が同じカットで共存している。これは「新しいものと古いものが共存している奇跡のカット」と表現された。
映画制作の民主化
リリー・フランキーさんは、かつて映画制作には莫大な費用がかかったことに触れ、iPhoneのように高品質な映像が撮れるツールの普及により、10代でも100歳でも映画監督になれる可能性が広がったと語った。テクノロジーがクリエイティブな表現のハードルを下げる可能性を示唆している。
印象的なエピソード
クライマックスとなる観覧車での別れのシーンが撮影初日だったという。iPhoneでの短編映画撮影自体が初めての経験で緊張感もあったが、iPhoneの「圧を感じない」特性が良い距離感を作り出した。この初日に役者の見事な演技が見られたことで、監督は前半を軽やかに撮れる手応えを感じたという。
リリーさんのロボット役については、昭和のロボットと未来のロボットの動きをどう表現するか苦心したとのこと。是枝監督は脚本を考える際に、リリーさんの役を特別に考えることが多いと明かした。
まとめ
今回のトークセッションでは、iPhone 16 Proが単なる小型カメラではなく、撮影現場における俳優への心理的影響、従来の撮影手法では困難だったシチュエーションを可能にする機動力とコンパクトさ、各種機能の高い実用性など、映画制作のプロセスそのものに大きな変化をもたらす可能性が多角的に語られた。
最新テクノロジーであるiPhoneと、映画のテーマや古典的な表現手法が融合することで生まれた新しい表現の形は、スマートフォンがプロフェッショナルなクリエイティブツールとして進化し、表現の可能性を広げていることを示す好例と言えるだろう。
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