イヤホンの「音質」ってどうやって調整しているか、知ってる?
なぜイヤホンはメーカーによってあれほど音質の差があるのだろうか。
その疑問に答えてもらうために、Makuakeで資金調達を行っている、自分自身でイヤホンを一部分解し、自分で自分好みの音にチューニングすることができる新しいイヤホン「Make」を開発しているファイナルの工場にお邪魔させていただき、なんとイヤホンの組み立てを体験させてもらった!
日頃からバシバシとキーボードを叩いてばかりの僕からすると爪先にも及ばない細かい作業を行うことは非常に大変だったが、僕もやればできる男!無事自分のイヤホンを組み立てることができたので、その様子を紹介するとともに「イヤホンってどうやって音質を調整しているの?」という疑問を解説してもらった!
自分自身でイヤホンを組み立て、「ドライバの音」を初体験
まず手元に用意されたのは、いかにも「これから細かい作業をします」と言わんばかりのセット。ピンセットなんて久しぶりに見たよ!
後々その意味が分かったが、ここにあるスポンジのようなものを後々入れて音質を調整するそうだ。よし、頑張ろう!
まず取り出したのは、今回作業するイヤホンのドライバとリアボディ、そして繋がっているケーブル。
よく耳にする「ドライバ」だが、ドライバが良ければ良いほど音が良いものだと思っていたが、さすがにそんな単純なものではないらしい。
左右を識別するために、左側のケーブルにテープを貼るところから作業が始まった。
ここから細かい作業に入る。爪先にある細い両面テープを剥がし、ケーブルの結玉に巻きつけるように貼る。なぜか僕は頑なにピンセットを使いたがらなかったため、めちゃくちゃ大変だった。神経を凝らして剥がした自分にスタンディングオーベーション。
貼り付ける時はピンセットを使った。だったら最初から使えよ、という。我ながらとてもいい感じ!
これをリアボディの中に収納し直す。この両面テープを付けることによってドライバが抜けないように固定されるらしい。ケーブルを程良い強さで引っ張りながら入れ込む。
この細かい銅線がはみ出さないよう、いい感じに回転させながら入れるのがポイント。簡単そうで意外と難しい。
ドライバがリアボディ内にしっかりとおさまるように、丁寧な作業を求められる。求められたので、応えた。実に美しい!
続いてスポンジリングと呼ばれる薄いリング状のスポンジをドライバに貼り付ける。直前の写真を見ると分かるが、僅かな凹みに合わせて貼り付けるという、またしても神経を削る作業だ。
毎回気合いを入れて作業に挑んでいるお陰なのか、割とスムーズに貼り付けることができた!
続いて、フロントボディをリアボディにねじ込む。そう、タイトなジーンズに戦うボディをねじ込むごとく……と言いたいところだが、これは回転させながらはめ込むだけなので、難しくない。
試しにこの状態で音楽を聴いてみた。確かに音は出ていたが、スカスカでシャリシャリとした音質で、低音が驚くほどなかった。電車の中で音漏れを聴いたようなパリパリとした音だった。これがドライバそのものの音らしい。
そこで、一般的なイヤホンであれば必ず用意されているイヤピースを装着して再度聴いてみると、先ほど全く聞こえなかった低音が一気に聞こえるように。ただし、今度は低音が必要以上に強調されてしまい、他の音が聞こづらくなってしまった。低音によってマスクされているような感覚で、全体的にこもった音になってしまった。
ちなみにこのイヤピースもファイナルが自社開発している。中央の筒状の部分が波状になっているため耳に入れた際に崩れづらく、音がダイレクトに流れてくることからより良い音を楽しめるようになっているんだとか。
これらの問題を解決するべく、最初に見た小さいスポンジを音導管の中に入れる。ピンセットを扱い、入れて押し込む。
その結果、このような状態に!これで完成かと思いきや、なんとここからが本番!自分好みの音をハードウェアレベルで変えるための作業に入る!
フィルターによって自分好みの音にカスタマイズ
先ほど神経を凝らして組み立てたイヤホンだが、ここで再度分解することに。フロントボディを外し、ドライバを取り出し、結玉が見える状態に。最初の最初まで戻ってきてしまったのだ。
ここからこれらのフィルターを入れ、俗に言う「音のチューニング」を行うとのこと。僕が!音のチューニングを!自分でやる!カッコイイ!今まで以上に細かい作業が増えるらしく、気合いを入れる必要あり!
ところで、最近はアプリや音楽プレイヤー側でイコライザ機能などが用意されている。それらとフィルターで音を調整するのでは何が違うのか、とメーカーの担当者に聞いてみたところ、「イコライザは最後のスパイス」だという。
本質的に「自分好みの音」を調整するのであれば、フィルターによって空気の流れを調整することが好ましいようだ。なるほど!
それでは早速作業に取り掛かろう!まずはフロントボディにフィルターを取り付ける。またしてもピンセット登場。音導管にフィルターが平になるように置く。
しっかりと覆うようにこのフィルターを貼り付ける専用の工具で押して固定する。この工具、なんとこの瞬間しか使わず、これもこのような組立体験用に自社開発しているしているとのこと。ちなみにフィルターもすべて自社開発しているらしい。凄すぎ!
この位置にフィルターを配置することにより主として高い音を減衰させるとのこと。フィルターに厚みがあればあるほど高い周波数がカットされるそうだ。
続いてドライバ開口部にまた別のフィルターを取り付ける。見て分かると思うが、ピンセット先にあるものすごく細かいこのフィルターを「え?本当にここに貼り付けるの?」と言いたくなるほど小さい場所に貼るのだ。
貼り付け完了後はこちら。ちなみに片方失敗し、ファイナルの方に直していただくことに。
上記で貼り付けたフィルターの位置はドライバの背面開口部。振動板の動きをコントロールする用途で貼り付け、フィルターが厚ければ厚いほど中音域から低音域の音を減衰させることができるとのこと。
ここは最も音の変化が大きく、「よりクリアな音にしたい」という時に調整する場所だそう。
そして結果的に仕上がった僕が組み立てイヤホンがこちら!名付けるならば「ファイナル製イヤホンgori.meモデル」だろうか!(最高級のドヤ顔で
この記事を書きながら作ったヘッドホンで音楽を流しているのだが、実に音が良い。まさか自分が組み立てたなんて想像できないほど満足度の高い音だ。
もちろん、さすがに40万円のヘッドホンには及ばないが、バランスの取れた心地よい音質でとても気に入っている。
Makuakeで支援すれば自分好みの音にカスタマイズできるイヤホンが手に入る!
上記はファイナルの工場にて僕が特別に体験させてもらったが、実は皆さんにも同じような体験をすることができる。
現在、ファイナルは「自分だけの音を見つける」をコンセプトとした新しいイヤホン「Make」をMakuakeで資金調達を行っている。
これは、延べ5,000人を動員してきた人気イベント「イヤホン組立体験会」の経験に基づいて企画された、自分で音をカスタマイズできるイヤホンのクラウドファンディング。「Make1」「Make2」「Make3」という3種類のイヤホンが用意され、本体を一部分解して自分好みの音にカスタマイズできる仕組みになっている。
これらのイヤホンはいずれも本体のネジを2カ所開け、音を調整するフィルターを交換することが可能。フィルターを交換する箇所は複数あり、フィルターは密度の異なる複数の種類を用意。その組み合わせによって「Make1」は77通り、「Make2」および「Make3」は847通り以上の音を作ることができる。
もちろん、今までの経験と音響工学の学問的成果をベースとしてそれぞれのイヤホンは開発されている。デフォルトのまま手を加えなくても、普遍的に多くの人が満足できるようなチューニングが施されている。
実際に僕もこれらのプロトタイプを視聴させてもらったが、圧倒的ワイヤレスヘッドホン派の僕が「やっぱり有線は良いな」と思える音質だった。耳への収まりもよく、付け心地は快適だった。
好みの音にハードウェアレベルでチューニングできるイヤホンは聞いたことがない。技術第一で音をロジカルに追求するオーディオメーカーがベースを開発し、あとは自分好みに調整できるというのは、極めて稀だ。ワイヤレスの流れが来ているが、あえての有線というのもありだ。
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