Amazon新型AI「Alexa+」発表。プライム会員は無料で利用可能に
ChatGPTのような会話能力と直感的なスマートホーム操作を実現、3月下旬から順次提供開始
Amazonが生成AIを搭載した次世代デジタルアシスタント「Alexa+」を発表した。大規模言語モデルやエージェント機能を統合したこの新サービスは、デジタルアシスタントの概念を根本から変える可能性を秘めている。
Amazonによれば、Alexa+はより賢く、よりパーソナライズされ、ユーザーへの提案も積極的に行うという。ユーザーとの対話が増えるほど体験が向上する学習型設計で、より人間らしいパーソナリティを持ったアシスタントへと進化している。
ChatGPTのような会話能力と直感的なスマートホーム操作を実現
新しいAlexa+は、言い回しに関わらずユーザーの意図を正確に理解できるようになり、会話体験が格段にスムーズになる。SpotifyやApple Musicなどの音楽サービスやスマートホームデバイスとの連携ももちろん健在だ。
最も注目すべき進化は、コンテキスト理解能力の向上だろう。「寒い」と言えば温度を上げ、「明るすぎる」と言えば照明を暗くするなど、明示的な指示なしでもユーザーの意図を汲み取って行動できるようになった。1つのリクエストで複数のスマートデバイスを同時制御することも可能になっている。
現行Alexaの全機能を強化、ChatGPTライクな高度な会話も可能に
Alexa+は基本的に現行Alexaの全機能を大幅に強化したバージョンと言える。例えば音楽再生だけでなく、アーティストについての深い会話ができるようになった。映画やドラマの再生中に、キャラクターやサウンドトラックについての質問をしたり、特定のシーンに直接ジャンプしたりすることも可能だ。
ChatGPTのような複雑な質問への回答能力も獲得し、ユーザーとの対話の幅が大きく広がっている。Amazonが公開した「Alexa+でできること50選」の一部を紹介する:
- あらゆるトピックの探索や完全な会話、リアルタイムニュースの取得
- 常連客番号やレシピなど重要情報の記憶機能
- ユーザーの食事制限やアレルギー情報を記憶し、推奨時に自動考慮
- 文書、メモ、写真などからの詳細情報抽出
- カレンダー管理やメールからのイベント自動作成
- 書籍、映画、ポッドキャストなどのパーソナライズされた推奨
- 「毎朝7時にコーヒーメーカーをオン、照明をゆっくり点灯、穏やかな音楽再生」などの音声だけでのルーティン設定
- 音声による買い物リスト作成と食料品注文
- 予定している購入品のお得情報の自動監視
- テイクアウト注文、配車予約、レストラン予約の音声操作
- 食事プランの提案や「中レア」など直感的な調理タイマー設定
- 特定のAmazonデバイスへのアナウンス送信
- AIによる画像生成
3月下旬から提供開始、プライム会員なら追加料金なしで利用可能
Amazonは、プライム会員向けにAlexa+を追加料金なしで提供する太っ腹な方針を打ち出した。非会員の場合は月額19.99ドル(約3,000円)での提供となる。
サービスの早期アクセスは3月下旬から順次開始され、Echo Show 8、10、15、または21を所有する家庭が最初の対象となる。日本での提供開始時期は明らかにされていないが、グローバル展開の一環として近い将来提供される可能性が高い。
スマートスピーカー市場で苦戦していたAmazonだが、この大幅な機能強化によって巻き返しを図る狙いだろう。特にプライム会員への無料提供は、エコシステムへのロックイン効果を高める戦略と見られる。