「Moto 360」と比べると際立つApple Watchのイマイチさ、そして今後への期待感

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なぜ僕らはスマートウォッチをするべきなのか。
発表したくてウズウズしていたTim Cook氏がようやく発表した「Apple Watch」。僕にはその魅力が伝わらなかった。なぜなら、僕はあのプレゼンの中でApple Watchをするべき理由が見当たらないからだ。今あるガジェットでも十分代用可能にも思えた。
期待を裏切られたような気持ちでムシャクシャしていたらGizmagにApple Watchと「Moto 360」を様々な角度から比較している記事を発見した。
内容に触発され、書き始めた時はApple Watchを酷評する気満々だったものの、書けば書くほどApple Watchに対する期待感が増してきた。現状のApple Watchには様々な問題があるが、Appleはその先にもっと大きなものを見据えている、という結論に至った。
「Moto 360」と比較することによって分かったApple Watchのイマイチさと、その先にあるAppleの目指すApple Watchの未来についてまとめてみたので、続きからどうぞ!
Apple Watchにある2つの物理ボタンがよく分からない

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Apple Watchは2つあるが、「Moto 360」は1つ。個人的にはこの2つのボタンの使い分けがイマイチよく分からない。
iPhoneの良さはボタン1つで残りは触れば分かる、というシンプルさ。僕の理解では、「デジタル・クラウン」はiPodのようなクリックホイールとして位置づけられ、画面上のタッチはサブ的な位置づけだと思うのだが、だとすればもう1つの押すだけのボタンは何に使うのだろうか。
ステージ上では全ての説明をする時間がない、とTim Cook氏は言っていたが、説明を受ければすぐに分かるような仕組みであることを祈る。
専用の充電器が必須という不便さ

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個人的にはApple Watchに関しては専用充電器という存在が最も残念だった。
Apple WatchはiPhoneを持ち運ぶことが必須だ。そのため、例えば旅行の際にはiPhone用の充電グッズ一式に加え、Apple Watch用の充電器を持ち運ばないといけないということだ。
さらに今回からiPhoneは物理的に大きくなった。持つことによって得られる何かを僕がまだ理解していないからかもしれないが、今の状態だと単純に荷物が増えたという印象しかない。
1日しか電池が持たないのは不便極まりない

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今のところ、Apple Watchの電池持ちは1日程度になると言われている。充電器が必須であることもあり、せっかくの高性能さを全て台無しにする事実だと思う。
生活防水程度では本格的なフィットネスに使えない

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「Moto 360」は完全防水であることに対し、Apple Watchは生活防水程度。
この事実は個人的にも疑問に思うところがある。プレゼンの中ではフィットネスを推している部分があり、確かに便利そうではあったが、生活防水程度であればトライアスロン選手や水泳選手は付けられない。水泳選手はそもそも時計をしないと言われてしまえばそれまでだが、トライアスロン選手は確実に自身の時間や運動量、ペースなどを知るために時計をしているはず。Apple Watchの持つフィットネス機能が防水仕様のせいで利用できないのは勿体ない。
間違いなく「Moto 360」よりは考え抜かれた素晴らしいフィットネス機能やサービスが用意されているはずなので、その良さをハードウェアで台無しにするのは残念だ。
ディスプレイが「Moto 360」よりも断然小さいし、狭い

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「Moto 360」の表示領域を100%とした時、42mmモデルは62%、38mmモデルは46%程度の広さとなっている。大きければいいとは思わないが、見比べてみてもApple Watchのベゼルは大きく、無駄が多いように見える。
もちろん、「Moto 360」は一部画面が表示されないという格好悪さもある。このようにしたのは苦渋の決断だったようだが、やはり少し気になる。
「Moto 360」よりも100ドルも高い

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Apple Watchは決して安いデバイスではない。「Moto 360」が250ドルからなのに対し、Apple Watchは下位モデルが350ドルから。最近ではEditionシリーズが1,200ドル(13万円)もするかもしれないという噂もある。
時計という観点であれば350ドルは劇的に高いわけではないが、電池が1日も持たないデバイスに350ドルを払うかというと疑問が残る。フィットネス用途で買ったとしても、今あるウェアラブルデバイスでも十分その役割を果たすことができる。
Appleはこれから「スマートウォッチ市場」作り上げる
こうして比べて見るとApple Watchがイマイチだと思わずに入られない要素も多いが、逆にユーザーにとって魅力的に思える要素もある。
例えば、Apple Watchは恐らくリストバンドだけで1つの大きな市場を築くことができるのではないかと思う。「Moto 360」と違い、ユーザーには膨大なバリエーションが用意されている。
選択肢を与えずに “あるべき姿” を提示してきたAppleとしては不思議ではあるが、「最もパーソナルなデバイスを用意した」とTim Cook氏が明言していたように、リストバンドやフェイスを自由にカスタマイズできるのはガジェット好きなギークだけではなく、スマートウォッチに興味関心を抱く普通の人にも魅力的に映るだろう。

AppleはApple Watchでウェアラブルデバイス市場に進むべき方向性を提示したように思える。専用のアプリストア、デベロッパーとの連携、リストバンドを始めとする関連アクセサリー。今までどこを耕せばいいか分からなかった、畑の耕すべき場所を教えてくれたのではないだろうか。
AppleはiPhoneを投入してスマートフォン市場を作り上げた。初代iPhoneは今のiPhoneと比べたら見た目も性能もガラクタのようなものだ。その点、Apple Watchも同じ。ファーストリリースで耕すべき場所を定め、向こう数年で耕していくのだろう。
Apple Watchを投入することによってスマートウォッチ市場を作り上げることを目論んでいるに違いない。
酷評する気満々で書き始めたこの記事だが、今はApple Watchに期待したいという気持ちの方が大きい。現状のままでは350ドルも支払って買いたいとは思えないが、2〜3年後にはAppleにとって重要な事業領域になっていることは間違いないだろう。
Apple Watchの使い方は自分次第

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最後に、冒頭で投げかけた「なぜ僕らはスマートウォッチをするべきなのか」。この質問をTim Cook氏に聞いたとしたら、僕はこのような答えが帰ってくると思う。
「それは自分次第だ。」
Appleは無限の可能性を秘めたデバイスを世に送り出すことによって、人々にそのデバイスの使い道を編み出している。これまで公開されたイベントの冒頭で流れるプロモーションムービーでは生活の中でApple製品を使っている人達が取り上げられることが多い。
Apple Watchでも同じことを目指しているのだろう。数年後、スマートウォッチをしているのが当たり前の世の中になっていてもおかしくない。
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