【レビュー】「ShiftCam 2.0 for iPhone X」ーー広角・マクロ・魚眼・望遠に対応した交換レンズ一体型ケース
結局僕らは写真を撮る時、iPhoneを取り出してしまう。iPhoneでも十分綺麗な写真を手軽に撮ることができるからだ。
僕は取材などではない限り、飲食店で一眼レフカメラを取り出すことも避けるようになった。なんとなく周りの視線が痛々しいというか、ご飯のためにいちいちカメラを構えるのに抵抗が出てきたのかもしれない。
ただ、だからと言ってiPhoneの画質に満足しているというわけではない。交換レンズが利用できないため、iPhone本体では撮影できる画角や焦点距離には限界がある。
そこで役立つのが外付けレンズだが、撮影するたびに外付けレンズを取り出して装着するのは面倒だ。大体、使いたい時に限って外付けレンズはカバンの中なので結局使わなくなる。
今回紹介するのは、スライド式の交換レンズを搭載したレンズ一体型ケース「ShiftCam 2.0 for iPhone X」。このケースを装着していれば、必要な時に10倍マクロ、20倍マクロ、広角、2倍望遠、魚眼の5種類のレンズを切り替えることができるのだ!
1台サンプルとして提供していただき、色々な被写体を撮影して使い込んできたので、その実力を紹介する!
6つのレンズ(実質5つ)がスライドして切り替え可能に
過去に僕はクリップ型レンズを使っていたこともあったが、クリップ型レンズの欠点は装着方法によって必ずしもベストな位置に取り付けられず、結果的に歪んだ写真や曇った写真になってしまうリスクがあるということ。
そもそも欲しい時に手元にない、使いたい時に装着するのが面倒、という問題もあったが、失敗するリスクがあるならそもそも取り付けない方が結果的に失敗が少ないということになり、自然と使わなくなった。
「ShiftCam 2.0 for iPhone X」の場合はケースとレンズが一体化されているので、その点は心配不要。6つのレンズ(3×2)を切り替える際にも、切り替わったタイミングでカチッとハマるようになっているので、万が一ズレていてもすぐに気づく。
ケースにレールのようなものが用意され、その上に着脱可能なレンズユニットを取り付ける仕組みになっている。
レンズユニットを装着し、一番右までずらすとiPhone本体のレンズが露出し、使用することができる。標準搭載の画角で撮影したい時やポートレートモードなどを活用したい場合はレンズを使わずにそのままのレンズを使用した方が良い。
6つのレンズを搭載するが、同じ望遠レンズが2つ用意されている謎
それでは早速搭載されている交換レンズを紹介する!
まずこの状態にすると標準レンズは「広角」、望遠レンズは「望遠」になる。広角レンズの画角は120度となっていて、望遠レンズの倍率は2倍。
1つスライドすると、標準レンズは「魚眼」、望遠レンズは「望遠」になる。望遠レンズ側の「望遠」は先程の「望遠」と全く同じレンズ。同じレンズを搭載するとは、非常に残念な仕様だ。
さらにスライドすると、標準レンズは「10倍マクロ」、望遠レンズは「20倍マクロ」になる。
インカメラ用の広角レンズも同梱
ShiftCam 2.0 for iPhone Xにはインカメラ用の広角レンズも同梱されている。外向きレンズユニットを外し、こチラの内向きカメラ用レンズユニットを取り付けるだけ。自撮りをする人にとっては重宝しそうだ。
取り付け自体は大変ではないが、やはりこれもレンズを持ち運ばないといけないため、僕は使う機会が今のところほとんどない。これを「Osmo Mobile 2」に装着した状態で使えば使い勝手が良さそうなので、機会を見つけて試してみたいと思う。
レンズカバーもあるが、装着するのが面倒になる上に厚さが増す
ShiftCam 2.0 for iPhone Xにはレンズカバーも用意されている。レンズユニットの上にマグネットで装着する仕組みとなっていて、使い勝手は悪くないが、いちいち着脱をするのが面倒になるため、僕は外して使っている。
ただでさえレンズユニットがあるだけでも出っ張るのに、カバーを付けるとなると相当な存在感になる。
真横から見るとこの通り。ポケットなどに入れる時にも邪魔に感じるようになるため、外した状態で持ち運ぶことをオススメする。
机の上などに置くと相当な傾斜が付くが、「iPhone X」においては「Face ID」の兼ね合いもあるので意外とこの傾斜が良かったりする場合もある。
また、出っ張りがあることによって指を引っ掛ける場所ができ、iPhoneが持ちやすくなったのは意外な副産物だった。
ケース本体としての実力はまずまず、サイドボタンが押しづらい
交換式レンズユニットが特徴ではあるが、ケースと一体化している以上、ケースとしての実力も見なければならない。
外観としてはレンズが多く搭載されている不格好さに目をつむれば男が好みそうな、シックでクールなデザインだ。
装着した状態でも「Apple Pay」やワイヤレス充電は問題なく利用することができる。ワイヤレス充電に関しては充電器によって浮きすぎてしまう場合もあるが、少なくとも僕は特に不便していない。
スピーカーグリルとLightningポートは広く開けられている。
音量ボタンは比較的押しやすく、使い勝手が良い。クリック感もしっかりとある。
問題はサイドボタン。押す位置によってクリック感が無くなる場合があり、押しているのか押していないのか分からなくなることが多々あった。
ストラップホールとしっかりとしたストラップも用意されている。僕は器用さ不足のため、ストラップをうまくストラップホールに通すことができず、挫折した。
続いてShiftCam 2.0 for iPhone Xを使った作例を紹介する!
旅先で最も多用した広角レンズ
ShiftCam 2.0 for iPhone Xの中でも最も多用したのが広角レンズ。
以下は御殿場アウトレットで撮影した写真だが、同じ場所からレンズを切り替えただけで「iPhone X」に搭載されているレンズで撮った写真(Before)よりもShiftCam 2.0 for iPhone Xの広角レンズで撮影した写真(After)のほうがより広い範囲を撮影できることが分かるだろうか。
どうしても外側が歪んでしまうものの、このような風景写真を撮る上では広角レンズは大いに役立った。以下、ディズニーシーや山中湖で撮影した写真をいくつか載せておく。
我が家の犬を被写体に各レンズの違いを紹介
続いて以下の標準レンズで撮影した写真を広角、魚眼、10倍マクロ、20倍マクロで撮影した写真を載せておく。モデルは、我が家の犬。
魚眼レンズの使い所がなかなか思いつかなかったのだが、ふと犬の肉球を撮影してみると可愛すぎてテンションが上がってしまったので、すべてのレンズの被写体を犬のに肉球にしてみた。
広角 → 10倍マクロ → 20倍マクロ
広角レンズだけでも普段撮影できない画角で写真を撮ることができるので十分楽しいが、特に楽しかったのはマクロレンズ。iPhoneでは絶対に寄れないような近さで写真を撮ることができるようになる。
これを10倍マクロに切り替えるとここまで寄ってピントを合わせることができる。
さらに20倍マクロに切り替えると、ここまで寄ることができる。
「ShiftCam 2.0」で楽しむマクロの世界
マクロレンズで撮影するのは非常に難しく、背景がボケすぎてしまう問題や被写体に近すぎて光量が足りなくなる問題などを考慮しなければならないのだが、それを踏まえた上でも楽しい。
例えば、ここでは「Magic Keyboard」を撮影しているが、見ての通り、iPhoneとの距離は非常に近い。
横から見るとこのような至近距離で「Command」キーを撮影しているのだ。
その結果がこちら。少々ピントが甘くなってしまうが、iPhone単体では撮影できない写真を撮ることができる。
他の作例は下記からどうぞ!あまりにもピントがシビアすぎるので使うシーンは限られているが、日常生活にはない視点をiPhoneのカメラで切り取ることができるのは、非常に面白い。
ケースとしての使い勝手は惜しいが、レンズが便利すぎる
僕は気分によってiPhoneケースを変更することが多かったが、「ShiftCam 2.0 for iPhone X」に変えてからは、気分的に別のケースを使いたかったとしてもこのケースを装着したままにすることが圧倒的に増えた。
限られたボタンの中でも最も押す頻度が高いサイドボタンの押し心地にムラがあるため、ケースとしての評価は何とも言い難いが、スライド式の交換レンズがあまりにも便利すぎるため、手放せなくなってしまった。
「ShiftCam 2.0 for iPhone X」は、見た目云々よりもiPhoneでより良い写真を撮りたい、という人にとっては是非ともオススメしたいケース。確実にカメラとしてのiPhoneが楽しくなるアイテムだと思うので、気になる人は購入を検討してみるべし!
なお、今回紹介したのは「ShiftCam 2.0 トラベルセット」というもので、「ShiftCam 2.0」の標準的な構成。この標準構成にさらに外付けレンズを追加するプロパッケージシリーズ(プロマクロレンズ、プロ望遠レンズ、プロ広角レンズなども用意されているので、より本格的な写真を撮影したい人はあわせてチェックしてみるべし!