iPhone 12 レビュー :ほぼPro

「超コンパクト」「最強カメラ」が必要なければ選ぶべきモデル

2020年の新型iPhoneは史上初となる4機種同時発表された。“標準モデル”は「iPhone 12」だ。

iPhone 12シリーズは、基本性能が飛躍的に向上した。毎年恒例のアップデートであるカメラ性能の向上、チップの高速化に加え、ディスプレイは液晶から有機ELになり、最大15Wのワイヤレス充電を可能にする「MagSafe」もサポート。iPhone 5s以来7年ぶりとなる角張ったデザインが復活した”メジャーアップデート”だ。

iPhone 12は、初の5G対応製品だ。現時点では対応エリアは限られているが、今後数年間で確実に増える。スマホの使用年数が延びている中、今購入する製品が5Gに対応していることはユーザーにとってメリットが大きい。

iPhone 12はiPhone 12 Proと同時に発売された。iPhone 11はサイズと仕様で悩む必要があったが、今年はほとんどの人がiPhone 12で十分だろう。Proに限りなく近い標準モデルiPhone 12の魅力を紹介する。

iPhone 12のデザイン

IPhone 12 review boxes 03

iPhone 12は、一部から絶大な支持を受けている角張ったデザインが復活。久しぶりの自立するiPhoneだ。近年のスマホデザインとは逆行しているが、多くの人が新しい筐体を持ちやすいと感じている。

iPhone 12は、iPhone 11より筐体が小型化した。画面やノッチのサイズは変わっていないが、ベゼルが細くなった。純正ケースを装着するとiPhone 11と同程度のサイズになるため、iPhone 11やiPhone XRから買い替えた場合、手に持ったときのコンパクトさに驚くだろう。

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iPhone 11のディスプレイ内に収まるほどのサイズ

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明らかにベゼルが細くなっている

ブラックモデルは、まっ黒なUIを採用したアプリを開くとアプリと筐体の境界線が分からなくなる。ステンレススチールフレームが目立つiPhone 12 Proシリーズにはない、iPhone 12シリーズのブラックモデルでしか体験できない美しさだ。

Dark UI on iPhone12 Black model is amazing 01

フレーム部分に使用されている「航空宇宙産業レベルのアルミニウム」は指紋が目立たないが、背面は驚くほど目立つ。代わりにグリップ感があるのでケースを付けなくてもグリップしやすい。

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画面サイズは変わらないが、一度に表示できるコンテンツ量はわずかに減る。またアプリのUIはiPhone 11 Proに切り替わっており、純正カレンダーアプリなど一部アプリは、横に傾けたときの表示がiPhone 11以前と変わる可能性がある。

ディスプレイは、ほとんどの金属より硬い「ナノセラミッククリスタル」をガラスに組み込んで作られた「セラミックシールド」を採用。Appleによると「スマートフォンの中で最も頑丈なガラス」で、耐落下性能が4倍向上しているといい、YouTuberが実施した落下テストでは無傷。代わりに背面が割れてしまった。

Touch IDの搭載は実現しなかった。新型コロナウイルスの影響でマスクを着用する機会が増え、Face IDの不便さが際立つが、マスクを外さずに使えるiPhoneの登場は来年以降に期待しよう。

iPhone 12のディスプレイ

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iPhone 12のディスプレイは、iPhone 12 Proと全く同じ有機ELディスプレイ「Super Retina XDRディスプレイ」を搭載。iPhone XRやiPhone 11は液晶ディスプレイだったが、今年はモデル問わず同じ最高峰のディスプレイ技術を採用している。2,000,000:1の高いコントラスト比に加え、画面解像度もフルHD以上になったことで、写真や動画がよりリッチに見えるだろう。

唯一の違いは、画面輝度。iPhone 12 Proより低い625ニトに設定されているが、晴れた日に屋外で使用していて暗いと感じることは一度もなかった。

一部噂では、iPhone 12 Proシリーズに120Hzのディスプレイの搭載が噂されていたが、実現せず。iPhone 12とiPhone 12 Proは、どちらも60Hzディスプレイだ。スペックにうるさい人でも、iPhone 12 Proをあえて見送りiPhone 12を選ぶべき理由にもなるだろう。

iPhone 12のカメラ

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iPhone 12は引き続き広角レンズと超広角レンズによる2レンズ構成。広角レンズはf/1.8からf/1.6になり、明るくなっている。暗所撮影ではこれらの恩恵は多少受けるが、レンズそのものよりA14 Bionicと最新のニューラルエンジンによる、コンピューテーショナルフォトグラフィーの進化のほうが重要だ。

進化したDeep FusionおよびスマートHDR3により、シャッターボタンを押すだけで目で見た景色を再現する写真が撮影できる。特にスマートHDR3は精度が向上し、顔や空など様々な要素をインテリジェントに識別する。設定アプリのカメラ項目にも「シーンの検出」が追加されているが、具体的に対応するシーンの種類は不明だ。

超広角レンズは画質が向上し、歪み補正がiPhone 11と比べて自然になった。手軽かつ描写性能の優れている超広角レンズの楽しさを知ってしまうと、必要以上に撮ってしまう。以下にいくつか作例を載せておく。(PhotoshopのCamera RAWで現像済み)

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超広角レンズで撮影

IPhone 12 Photo Samples 06超広角レンズで撮影

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超広角レンズで撮影

残念ながら超広角レンズは、比較的暗いレンズだ。暗い場所や屋内では広角レンズで撮影したほうがパリッと仕上がる。以下に作例を載せておく。(PhotoshopのCamera RAWで現像済み)

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超広角レンズで撮影した写真をクロップ

IPhone 12 Photo Samples 04
広角レンズで撮影

IPhone 12 Photo Samples 15
広角レンズで撮影

iPhone 12では、A14 Bionicの処理能力向上により、ナイトモードがすべてのレンズに対応した。超広角レンズの暗さを補うことができるが、広角レンズで撮影したナイトモードには敵わない。どうしても超広角レンズでナイトモードを使いたい場合、スマホ用ミニ三脚の活用がおすすめだ。


なおiPhone 12とiPhone 12 miniは同じカメラ性能、iPhone 12 ProはiPhone 12のレンズに加え、望遠レンズを搭載。iPhone 12 Pro Maxは、さらに明るいセンサーと一眼レフカメラと同等の手ブレ補正機構を持つ広角レンズを搭載。カメラ機能にこだわるのであれば、iPhone 12 Pro Maxの評価を待ってからでも遅くないだろう。

iPhone 12で5G通信

Using 5G Networks in Japan around Shibuya with iPhone12Pro 07

iPhone 12の代表的な特徴である5G対応だが、現時点では5Gのために買い換える必要性は全くない。都内でさえ恩恵を受けられるエリアは極めて限定的な上に、長時間の5G通信は驚くほどiPhone 12の電池を消耗する

エリアによって通信のばらつきも見られた。500Mbpsになる場所もあれば、4Gと変わらない30Mbpsになることもあった。アクセスポイントによって大きく変動するようだ。

Using 5G Networks in Japan around Shibuya with iPhone12Pro 02

ダウンロード速度が500MbpsであればAppleのプロモーション動画のように、Apple Musicの楽曲を次々とダウンロードできるかと思っていた。ドコモ回線の5Gでは実現できているが、僕が渋谷で計測したau回線は4Gと変わらず。YouTubeも4K/HDR画質の動画をスイスイ読み込めると思いきや、読み込みがすぐにストップした。画質を落とせばスムーズに読み込めるが、5G通信の意義が見出だせない。

Using 5G Networks in Japan around Shibuya with iPhone12Pro 03

ウェブの読み込みも違いは全く感じられなかった。日本は4G/LTEの通信網が充実しているあまり、現状では5Gのメリットよりデメリットのほうが目立つ。4Gと5Gの通信切り替えは気付かないほどスムーズだ。ユーザー自身が何かを意識する必要はないが、電池持ちが気になるようであれば無効化してしまっても不便しないだろう。

iPhone 12への買い替えに伴い、5Gの料金プランに変更する必要がある。毎月の支払いは増えたが、通信量を気にせず通信可能になった点は良い。元を取るために積極的に外出しなければ!

iPhone 12の電池持ちとMagSafe

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iPhoneの電池持ちは長ければ長いほうが良い。iPhone 12はiPhone 11と比較して電池持ちが極端に減っているような印象は受けないが、5G通信が多ければ短くなる。とある調べによると、5Gは4Gと比べて電池持ちが20%減ったと報告している。

iPhoneを充電する方法として、従来のワイヤレス充電とLightning to USB-Cケーブルを使用した有線接続に加え、MagSafeが利用可能になった。MagSafeは、最大15Wの出力が可能なQiベースのマグネット式ワイヤレス充電規格。マグネットを使用することで位置合わせが容易になり、「充電器の置いたのに充電されていない」という問題を解決した。

実装にあたってiPhone本体にマグネットが内蔵されており、充電だけではなくiPhoneに貼り付くマグネット式アクセサリー市場が生まれた。今後はiPhoneが宙に浮く充電器やレザーウォレットのようなiPhoneの外側に取り付けるアクセサリーが増えるだろう。

iPhone 12内のNFCチップと連動し、装着されているアクセサリーを識別する機能は、実にAppleらしい。例えば青色の純正シリコーンケースを装着すれば、同色のリングが画面上に表示される。

Charging iPhone12Pro with MagSafe 01

MagSafe非対応のケースを装着した状態でMagSafe充電器は使用できる。磁力は低下するが、出力は変わらない。ただしレザー素材には跡がついてしまうと、Appleは忠告している。

MagSafeは、新しいアクセサリージャンルとして高いポテンシャルを持っているが、唯一販売されているMagSafe充電器には、電源アダプタが用意されていない。Appleは2030年までに全世界で「温暖化ガス排出量ネットゼロ」を実現するため、iPhone 12のパッケージを小型化。電源アダプタやイヤホンを同梱しなくなった。

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MagSafe充電器はUSB-C端子を搭載

MagSafeは特定の電源プロファイルを使用しており、既存のサードパーティ製品はもとより、MacBook Pro用などの電源アダプタでも最大出力に届かない。記事執筆時点では20W USB-C電源アダプタ以外利用できず、ユーザー自身は結局購入しなければならない。

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小型化されたiPhone 12のパッケージ

Appleのエコに対する取り組みは素晴らしいが、MagSafeおよびLightning経由の急速充電に必要とする電源アダプタの規格を勝手に変えておきながら同梱しない、という姿勢には若干モヤッとする。

iPhone 12 レビュー:進化した標準モデル、Proモデルとの差は最小限に

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iPhone 12は、iPhone 11と比べてハードウェアの基本仕様が大幅に引き上がられた。iPhone 12 Proとの境界線が薄れている。

iPhone 11シリーズは、本体が大きいが基本仕様が抑えられ価格が手頃、本体が小さいが基本性能が高くて高価、という難しい選択肢から選ぶ必要があった。iPhone 12は、iPhone 12 Proとディスプレイと本体サイズは同じ。チップのメモリ量はiPhone 12 Proのほうが多いが、一般的に意識する必要はない。

A14 Bionicは2020年10月時点において「スマートフォン史上最速のチップ」だが、すでに高性能なA13 Bionicを内蔵したiPhone 11との違いは体感しづらい。それでもAppleが毎年チップ開発に膨大なリソースを当てているのは、ユーザーが少しでも長くiPhoneを使って欲しいから。数年後、iPhone 12で性能不足を感じることはあまりないだろう。

iPhone 11を購入した人は急いで買い換える必要性は薄いが、iPhone XSiPhone XR以前の機種を持っている人は、十分に買い換える価値がある。2年契約を更新するタイミングで選びべきモデルとして、iPhone 12は非常に魅力的だ。

悩むポイントがあるとすれば、iPhone 12 miniiPhone 12 Pro Maxの発売が控えていること。悩んでいる人はiPhone 12シリーズの選び方を参考にしてもらいたいが、iPhone 12 miniは、初代iPhone SEのような「手に馴染む握り心地」が魅力。機能はiPhone 12と全く同じだ。iPhone 12 Pro Maxはシリーズ最高峰のカメラ機能を搭載。iPhone 12 Proよりもさらに優れた描写性能が手に入る。

いずれも魅力的な機種だが、最終的にiPhone 12を買ったとしたも十分満足するだろう。

iPhone 12
9.0/10
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カテゴリiPhone 12
更新日2020年11月03日
コメント(13件)

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  1. jaco

    goriさん、こんにちは!以前、iPhone11の購入を考えていたのですが、タイミング的にもうすぐiPhone12が出るという時期だったので、待った方がいいということで、待っていました。全ての発表が終わって待っていて良かったと思いました。
    でも、実際に購入する段階で新しい悩みが。
    1. 12と12miniどちらにするか?(コスパを考えるとminiだけど、サイズ的に小さすぎるような?)
    2.MagSafeアクセサリーは一緒に購入すべきなのか?(そもそも必要なのか?)
    3.通信会社をどうするか?(実質5Gエリアはほぼないし、現在は楽天のMVNOに加入しているのですが、UN-LIMITって実際どうなのか?他のMVNOの方がいいのか?)
    などです。

    1. g.O.R.i

      遅くなりました!12と12 miniは性能が全く同じなので、実際に触ってみて決めるのがベストだと思います!明日の朝からApple Storeで展示されますよ!

      MagSafeは正直あってもなくてもいいですw 急いで買う必要はないですね。急速充電が必要なのであれば、20W以上の出力を持つUSB-Cアダプタを購入しましょう。

      運営会社は正直良くわかりません!w 僕はauですが、最近なんとなくワイモバの回線を増やそうかなって思ったりしてます。

  2. 通りすがりのねこ

    作例になっている写真のセンスが素敵すぎる。
    結局はシャッター押す側の能力が問われる。。。

    1. g.O.R.i

      ありがとうございます😊

  3. 通りすがりの読者

    撮影はどのアプリでされたのでしょうか?
    自分のiPhone12とは全然違く綺麗に見えて、私も是非試してみたいです!

    1. g.O.R.i

      撮影は普通のカメラアプリですよ!撮影後、現像しました!

      1. 通りすがりの読者

        ありがとうございます!
        LightroomでDNG撮影する等でなく、純正カメラアプリということでしょうか?
        色々と現像(補正?)してあげるとかなり綺麗になるのですね、大変勉強になりました

        1. g.O.R.i

          そうです、ただの純正アプリ撮影で、PhotoshopのCamera RAWで現像しました笑。スマホとかで楽しむ分には十分ですね!

  4. xPluss

    12 Pro グラファイトにほぼ決まってましたが
    12 ブラックもいいな…

    1. g.O.R.i

      12ブラック、マジでメッチャ良いですよw このまっ黒さが良いんですよw

      1. 通りすがりの読者

        Pro Maxのグラファイトにしようと思ってたらフレームの塗装ハゲ騒動でちょっと悩んでます
        シルバーのフレームって塗装されてるんでしたっけ?

  5. 通りすがりの読者

    Lightroomだとプロファイルがないと出ます。Adobe camera RAWでの現像では問題ないんでしょうか。
    超広角ではRAWファイルじゃないと思ってましたがRAWからの現像ですか?

    1. g.O.R.i

      プロファイルはまだ用意されていないので、できる範囲での現像作業を行いました!

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