M2 Ultra Mac ProはGPU PCIeカードに非対応。理由は「方向性の違い」

M2 Ultraチップを搭載したMac Pro（2023）は、PCIe gen 4に対応する6つの空き拡張スロットが用意されている。デジタル信号処理（DSP）カード、シリアルデジタルインターフェイス（SDI）入出力カード、ネットワークやストレージの増設用カードなどの拡張性に対応するが、グラフィックカードはサポートされていない。

Daring FireballのJon Gruber氏が主催するポッドキャスト「The Talk Show」のライブイベントで、Appleハードウェアエンジニアリング担当VPのJohn Ternus氏は、外部GPUに対応しない理由として、方向性の違いを指摘。「MacのAppleシリコンアーキテクチャは、ユニファイドメモリを前提とした設計になっており、外部GPUで同様の最適化を行うか不明だ」と説明しており、「追求したい方向性ではなかった」と語っている。

ユニファイドメモリ（共有メモリ）は、CPU、GPU、ニューラルエンジンでメモリを共有する仕組み。従来のIntelマシーンが必要としていた「CPUやGPUごとにメモリ領域上に作業対象データをコピーして行う」が不要となり、CPUやGPUが同時にメモリへアクセスできるため、限られたメモリ量で高いパフォーマンスを発揮できるとされている。

ユニファイドメモリアーキテクチャ = Appleより

そのためMac Pro（2023）は外部GPUに対応しないだけではなく、最大メモリ（RAM）は192GBまで。拡張に対応しない。IntelチップのMac Pro（2019）は、最大1.5TBのメモリを搭載できる仕様だった。

Appleの役員らは、「ベンチマークの数値よりも実世界のパフォーマンスのほうが大事」としている。Appleによると、Mac Pro（2023）は前世代のIntelベースのモデルよりも最大3倍高速で、ビデオトランスコードや3Dシミュレーションを最大3倍の速さで実行できるという。また内蔵されているメディアエンジンは、7枚のAfterburnerカードと同等のパフォーマンスに匹敵するそうだ。

Mac Pro（2023）は、タワー型が1,048,800円から、ラック型は1,098,800円から。6月13日より発売が予定されている。

（Source: MacRumors）