Mac Pro、”窓際族”疑惑が浮上。開発は”後回し”、Apple社内で「ほぼ見放された」状態か

AppleのハイエンドデスクトップMac Proは、現在開発が「後回し」にされており、同社内では「ほぼ見放された」状態にある可能性がある。BloombergのMark Gurman氏が11月16日に公開した最新ニュースレター「Power On」で明らかにした。Apple社内では、Mac Studioこそがプロ向けデスクトップコンピュータの現在と未来を体現するという認識が広がっているという。

Appleは現在、ハイエンドのM5 Ultraチップを開発中だが、Gurman氏によると、同社が注力しているのは「Mac Studioへの搭載のみ」とのこと。この情報から、Mac ProはM5 Ultraチップを搭載した形で2026年に大幅なアップデートを受ける可能性は低いと予測している。

Mac Proの存在意義が問われる状況に

近年、Mac Proは多くのユーザーにとって冗長な製品になりつつある。本質的には、Mac Studioよりも大型で高価格、さらにPCIe拡張スロットを備えた製品という位置づけだ。Appleが最後にMac Proをアップデートしたのは2023年6月で、M2 Ultraチップを搭載したモデルを発表している。Gurman氏の言葉遣いから察するに、この製品の将来そのものが危ぶまれている可能性がある。

Mac Proは現在EVT（技術検証試験）段階にすら入っておらず、M5 Ultraチップを搭載したMac Proの開発について具体的な情報は聞こえてこない状況だ。ただし、Gurman氏はその可能性を完全には否定していない。

当初は2025年末までの刷新が噂されていたが

実は、つい最近までMac Proの大幅刷新は2025年末まで実現するという見方が有力だった。7月上旬に報じられた情報では、Appleが2026年末までに15の新型Macモデルを開発中で、その中にはMac Pro（識別子：J704）も含まれているとされていた。プロダクト識別子の流出から、大幅なハードウェアアップグレードが予定されていることが明らかになったばかりだった。

しかし、今回のGurman氏の報告は、その観測を実質的に否定する内容だ。社内での優先度の低さ、EVT段階に入っていない開発状況、M5 Ultraの注力先がMac Studioのみという事実から、2025年末のMac Pro刷新はほぼ絶望的と見るべきだろう。

Mac Studioがプロ市場の主力に

一方で、Mac StudioはM5 MaxおよびM5 Ultraチップを搭載した新モデルが2026年中頃に登場する見通しだ。Appleは今年、M4 Ultraチップをリリースしなかったため、M4世代のMac Studioは事実上スキップされた形となった。しかし、M5世代では再びMaxチップを2枚つなげたUltra構成を復活させる計画だという。

Mac Studioはコンパクトな筐体に高性能を詰め込んだ設計で、大半のプロフェッショナルユーザーのニーズを満たしている。価格面でもMac Proより手頃で、販売実績や市場での評価も高い。こうした背景から、Appleがプロ向けデスクトップ戦略の軸足をMac Studioに移しつつあるのは自然な流れとも言える。

Mac Proの未来は不透明

Mac Proが正式に製造終了となったわけではないが、信頼性の高い情報筋からの報告によれば、社内では開発の優先度が大幅に下げられているのは間違いない。M5シリーズチップを使った今後のアップデート計画においても、Mac Proは重視されていないようだ。

PCIe拡張スロットが必要な一部のプロユーザーにとっては厳しいニュースだが、多くのクリエイティブ専門家やデベロッパーにとって、Mac Studioの性能と拡張性で十分というのが実情だ。Appleが市場の現実に合わせてリソースを再配分しているとすれば、Mac Proの時代は終わりを迎えつつあるのかもしれない。