ユーザー翻訳で海外に発信!「taskey」は言語の壁を越える小説投稿SNS
皆さんは世の中にある素晴らしい書籍の数々がどのように生まれてくるか知っているだろうか。勉強して資格を取れば小説家になれる訳ではない。原稿を出版社に持ち込み、出版に応じてもらったところから初めて書籍化が実現する。
個人が動画をアップロードしテレビ並みの影響力を持つことができる今の時代、この仕組みはどう考えても時代遅れだ。そして実は多くの才能を潰している可能性がある。
例えばほとんどの人が知っているであろう「ハリー・ポッター」シリーズ。全世界における発行部数は約4億5千万部、映画の興行収入は約7,700億円にものぼるメガヒット作品となっているが、実は作者であるJ.K.Rowling氏が子どもを寝かせながらカフェで書いた作品であるということは知っているだろうか。
完成した原稿は、エージェントを通じて12の出版社に提出されたが、
あまりに長編で、出版する会社は現れなかった。新人による子ども向け書籍の出版に取り組んでいたブルームズベリー出版社が
本書を出版することとなったのは、受け取った原稿を、
編集者が自分で読む前に8歳の子どもアリス・ニュートンに手渡して反応を見たからである。1時間後に部屋から出てきた子どもは、
「パパ、これは他のどんなものよりもずっと素敵だ!」と話した。
このような素晴らしい作品が人の目に触れることなく、埋もれているかもしれない!もっと世の中に素晴らしい作品を世界中の人に伝えたい!そのような思いから生まれたのが今回紹介する小説投稿SNS「taskey」。
「星空文庫」を筆頭に、小説投稿サイトは既に数えきれないほど存在する。「taskey」は他と一体何が違うのか。
それは、ユーザーがお気に入りの小説を翻訳することができる「ソーシャル翻訳機能」を搭載している点。クリエイターの権利を守りながら海外に作品を発信することができるという、他にはない機能が用意されているのだ!
「taskey」のサービス内容や「ソーシャル翻訳機能」の魅力について紹介する!
ユーザー同士が創作を通じて繋がる小説投稿SNS
「taskey」の概要ーーユーザー数、男女比率、デバイス比率など
まずは「taskey」の概要から。
「taskey」はウェブ型小説投稿SNS。2015年2月からベータ版として提供中。既に作家として登録されている人は10,000人以上。全員素人かと思いきや、出版歴のある人も複数名登録・作品の公開を行っているとのこと。
特徴である「ソーシャル翻訳機能」は日本語・英語・中国語(繁体字)の3ヶ国語に対応している。年内に主要言語は追加する予定となっている。
サービスが多言語対応しているため、国内ユーザーは5割に留まり、英語圏が4割、残りが中国人ユーザーとなっている。10代・20代が8割以上となっていて、6割が女性。デバイスは6割がスマホとなっているため、iOS及びAndroidアプリも絶賛開発中だ。
「taskey」の肝である「ソーシャル翻訳機能」の魅力
当たり前のことかもしれないが、どの言語においても出版できるような小説を書くというのはその言語に精通している必要がある。
素晴らしい作品があれば当然多言語対応をしたいところだが、信頼できる翻訳者を探すのは決して簡単なことではない。特に小説となると世界観を反映した翻訳をすることは極めて大事なこと。語彙力があったとしても作家と同じ世界観を共有できなければ作者の意図とはズレた内容になってしまう可能性がある。
そこで「taskey」の「ソーシャル翻訳機能」が役に立つのだ。
読者が自ら翻訳するということは、その作品が本当に好きでなければできない。好きだからこそ世界観が分かり、それを自身が持つ言語力を駆使してより多くの人にその作品の素晴らしさを共有する。このようにして「taskey」はの「ソーシャル翻訳機能」は成り立つ。
とは言え、いくら作品が気にっている読者でも翻訳の精度は気になるところ。これについてTaskey代表の沼澤健人氏は楽天が買収した動画配信サービス「Viki」に用意されているユーザー参加型字幕作成機能を例に以下のように説明している。
「最終的には翻訳をチーム化して、マネージャーを置いてクオリティコントロールしていく。だが今考えうる一番簡単な方式でやっている」
via ユーザー翻訳で日中英展開、小説投稿SNS「Taskey」がグッドスマイルカンパニーから資金調達 | TechCrunch Japan
こうして「taskey」の「ソーシャル翻訳機能」は成り立っている。翻訳された作品数は膨大ではないものの、確実に数を伸ばしているそうだ。
イラストレーターの書いたイラストが表紙に採用されることも
小説が軸となっている「taskey」ではあるが、イラストレーターが自身の制作したイラストを投稿する機能も用意されている。
そして、投稿されたイラストのうち、許可されたものについては、小説の表紙絵や挿絵として活用することができる。つまり、小説を書きたい人は書くことに集中し、自分の小説に採用したいイラストが見つかった場合はそのイラストを表紙絵や挿絵として使用することができるのだ。
これは、今まで表紙絵や挿絵を用意することのできなかった小説クリエイターにとっては朗報だろう。また、近日中にイラストレーターから小説クリエイターに対して表紙絵や挿絵の挿入提案ができる機能を実装予定だという。
追々、作家がクリエイターにイラストをお願いできるようになったらさらに夢が広がる。
つまり、「taskey」は小説だけでなくイラストを全世界に向けて配信できるプラットフォームでもある。「ソーシャル翻訳機能」同様、小説家とイラストレーターがコラボレーションできる点も他の小説投稿サイトにはない魅力だ。
「taskey」の今後に対する、代表沼澤氏の思い
気になる権利などについては、小説の著作権はクリエーターに、翻訳に関しては翻訳者に帰属し、Taskeyには非独占的に権利を保持する。書籍化などが実現する場合はそれぞれの著作権保有者と個別に契約する仕組みだ。
最後に、Taskeyの代表である沼澤氏の「taskey」に対する思いで締めたいと思う。
僕は才能がある人、特に新しいモノ(コンテンツ)を生み出せる方を心から尊敬しています。ただ、ひとくくりに「コンテンツ」といっても、小説にイラスト、マンガやアニメ、動画やゲームに至るまで、とても広い概念です。
それらをひとくくりにして、「特別な才能がないとクリエイターにはなれない」と、多くの方が考えていると思うんです。 でも実際はそんなことなくて。誰でも一度はしたことのある”妄想”だったり、”空想”であったりを、一度文字情報として表現すれば、それが「作品」となって、その人自身も「クリエイター」になれると思っています。
スマホ一台持っていればいつでも・誰でも・どこでもクリエイターになれる。そうして、多くの人がもっとライトな感覚でコンテンツを生み出すことのできる時代が来ているのではないでしょうか。
taskeyは、言語の壁を越えた創作活動を行うためのクリエイターズSNSとして、挑戦的な取り組みをしています。創作活動から”言語”という障壁を取り除くのは大変チャレンジングですが、その分、達成したときのインパクトは計り知れません。
taskeyを、すべてのクリエイターの思いを繋ぐ襷(たすき)となり、そして、クリエイターが世界の扉を開くための鍵(Key)を渡してあげられるようなサービスに育てていきたいです。
小説を書きたい人。イラストを描きたい人。該当する人は「taskey」に登録してみてはいかがだろうか。