基地局なんて不要?端末から端末へ通話を伝送するBatPhone
「これだけみんながケータイを持っているのだから、ケータイが基地局になれば圏外なんてなくなるのではないか」という提案を大学在学中にしたことがある。
その時、どういう結論に至ったか全く覚えていないが、そのアイディアを実現した研究がWirelessWire Newsで取り上げられていたので紹介する。
スマートフォン自身がVoIPの通話を中継する「BatPhone」の可能性
洪水など自然災害が発生した際に、近くに携帯電話会社の基地局がなくても、スマートフォンからスマートフォンへ通話を伝送できるということで、洪水被害の続くオーストラリアの赤十字などが強い関心を示しているという。しかも、特別なハードウェアは必要なく、既存のスマートフォンなどで動作するプログラムとして開発されたそうだ。
(途中略)
もちろん、災害発生時でなくても動作するから、屋内など3GやLTEのカバレッジの及ばない場所でも利用できる。リレー可能なスマートフォンの中の1台だけでも基地局からの電波を受信できる場所にあってくれれば、その端末をゲートウェイとして、3Gネットワーク経由でVoIP経由の通話が可能になる。
これを開発したオーストラリアのFlinders大学のPaul Gardner-Stephen博士はこれを無償で提供することを決めているそうだ。既にAndroid端末での実験は成功しているようなので、後は各端末メーカーが搭載を決めてくれれば技術の普及が一気に現実的になる。
ただ、当然、懸念点もある。第三者が自分の端末を介して通話をするという、自分に関係の無い通話を手助けすることは、人によっては抵抗があるかもしれない。ただ、概念としてはFONと同じようなものだと思うので、心配するほどでもないのかもしれない(FONについては、そもそも仕組みを知らずに使っている人も多いかもしれないが)。
なにはともあれ、スマートフォンの普及が爆発的に増える今日、地下や圏外の多い日本では大歓迎される技術になるのではないだろうか。