Apple、米国投資を6000億ドルに拡大 新製造プログラムで45万人雇用を支援
全てのiPhone・Apple Watchがケンタッキー製ガラスを採用、AI処理サーバーもヒューストンで製造開始
Appleは8月6日、アメリカでの投資を今後4年間で6000億ドル(約90兆円)まで拡大すると発表した。この投資には新たな「American Manufacturing Program(AMP)」が含まれており、Apple製品のサプライチェーンと先進製造をさらにアメリカに移すことを目的としている。
同社はすでに全米50州で数千の企業と提携し、45万人以上の雇用を支えている。今回の発表により、アメリカ製造業への投資をさらに加速させ、グローバル企業がより多くの重要なコンポーネントをアメリカで製造するよう促進していく方針だ。
製造パートナー10社との新たな協力体制
新しいAMPにはCorning、Coherent、GlobalWafers America(GWA)、Applied Materials、Texas Instruments、Samsung、GlobalFoundries、Amkor、Broadcomの9社が初期パートナーとして参加する。これに加えて、7月にはMP Materialsからアメリカ製レアアース磁石を調達することも発表済みだ。
特に注目すべきは、長年のパートナーであるCorningとの協力拡大だろう。ケンタッキー州ハロッズバーグの工場に世界最大かつ最先進のスマートフォンガラス生産ラインを設置し、世界中で販売されるすべてのiPhoneとApple Watchがケンタッキー製のカバーガラスを使用することになる。
また、Coherentとはテキサス州シャーマンの施設で、Face IDなどの機能を可能にするVCSELレーザーの製造に関する複数年契約を締結した。これらのコンポーネントも世界中に出荷されるiPhoneやiPad製品に搭載される。
アメリカでエンドツーエンドの半導体サプライチェーンを構築
今回の発表で特に興味深いのは、Appleがアメリカ国内で完全な半導体サプライチェーンの構築を進めていることだ。半導体製造の全工程において、アメリカ企業とのパートナーシップを拡大している。
このサプライチェーンは2025年に190億個以上のチップをApple製品向けに生産する予定だ。その中には、アリゾナ州のTSMCが最先端プロセス技術を使って製造する数千万個のチップも含まれる。AppleはこのTSMC工場の最初かつ最大の顧客となっている。
半導体の基盤となるウェーハについては、GlobalWafers Americaとテキサス州シャーマンで協力し、アメリカの半導体製造施設で使用される先進ウェーハを初めて製造する。これらの300mmウェーハは、フェニックスのTSMCやシャーマンのTexas Instrumentsなどの工場で、世界中に出荷されるiPhoneやiPad用チップの製造に使用される。
AI処理を支える新たなサーバー製造施設
Appleは今年初め、ヒューストンに先進サーバーの製造をサポートする新工場の建設を開始した。7月には初のテストユニットが生産され、25万平方フィートの施設は2026年に量産を開始する予定だ。
これまでアメリカ外で製造されていたこれらのサーバーは、Apple Intelligenceの動作に重要な役割を果たし、Private Cloud Computeの基盤となる。このサーバーは、AIクラウドコンピューティング向けに展開された最先端のセキュリティアーキテクチャと強力なAI処理を組み合わせている。
全米各地での施設拡張と雇用創出
今回の投資計画により、Appleは今後4年間でアメリカ国内で2万人を直接雇用する予定だ。その大部分は研究開発、シリコンエンジニアリング、ソフトウェア開発、AI・機械学習に焦点を当てた職種となる。
また、8月19日にはデトロイトでApple Manufacturing Academyが開校する。このアカデミーは中小企業向けに、先進製造技術とAIの実装方法に関するコンサルテーションとコースを提供する。
さらに、ノースカロライナ州メイデンのデータセンターも拡張工事が進行中で、北米のAppleサービスユーザーをサポートする最先端施設への大幅な投資が行われている。この拡張により、Apple Intelligenceの成長もサポートする計画だ。
Tim Cook CEOは「今日、4年間で6000億ドルというアメリカへの投資を増額し、新しいAmerican Manufacturing Programを開始することを誇りに思う」とコメントしている。同氏は「これにはアメリカ全土の10社との新規および拡張作業が含まれている。彼らは世界中で販売されるApple製品で使用されるコンポーネントを製造しており、大統領のサポートに感謝している」と述べた。
注目すべきは、アメリカで製造されるApple部品やコンポーネントの約3分の2が海外の顧客に輸出されている点だ。これは、Appleのアメリカ製造投資が単なる国内市場向けではなく、グローバルな供給体制の一環であることを示している。
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