SiriよりChatGPTのほうが25%正確との調査。それでもAppleがAIにおいて勝算がある理由
Apple Intelligenceの現状と課題
Appleは、3年ぶりのiPad miniのアップデートで、AI機能を前面に押し出したマーケティング戦略を採用している。これは、AI技術で遅れをとっているという現状を打破するための、Appleの戦略的な動きと言えるだろう。
新型iPad miniは、8GBのメモリとiPhone 15 Proと同じA17 Proチップを搭載し、新しいAIプラットフォーム「Apple Intelligence」に対応する。しかし、Apple IntelligenceはiPad miniの発売(10月23日)から約5日後まで利用できない。
さらに、最初のApple Intelligenceの機能は、通知の要約などに限られる。主要な機能は12月から3月にかけて順次提供される予定で、文章の校正機能、画像生成機能のImage Playground、コンテクストを認識可能なSiriなどが含まれる。
それでもAppleはAIにおける覇権を握る戦いを制覇する可能性を秘めている、とAppleに詳しいBloombergの名物記者Mark Gurman氏が最新ニュースレターで指摘している。その理由を解説する。
AppleのAI戦略の現状と課題
AppleのAI技術は、Google、OpenAI、Metaなどの競合と比較して約2年の遅れをとっているとの指摘がある。Apple社内の調査でも、OpenAIのChatGPTはAppleのSiriよりも精度が25%高く、30%多くの質問に回答できることが明らかになっている。
それでもAppleに勝算が見込める理由は2つある。1つ目は、豊富な資金と強力なブランド力。純正のマップアプリは大幅な遅れを取りつつも、着実に改良されてきた。現在は2年遅れだとしても、Appleが追いつく可能性はある。
2つ目は、ハードウェアとソフトウェアの統合力。Apple Intelligenceの発表時点では限られたデバイスのみが対応製品だったが、今月発表見込みの新型M4 Mac、年明け発表が噂されるiPad Air、iPad、iPhone SE 4などの製品を筆頭に、2026年までほぼすべてのディスプレイ付きApple製品はサポートすることで、AI戦略が加速するとの予想だ。
現時点では、Apple Intelligenceは競合他社のAIプラットフォームと比較して、機能面で見劣りするのは否めない。しかし、同時にユーザーのAIに対する関心は現状、それほど高くない。
「AIよりもカメラの進化のほうが引きが良い」とMark Gurman氏は指摘する。Appleもこれを分かった上で、iPhone 16シリーズでカメラ機能を強化し、カメラ専用ボタンまで実装したのかもしれない。
ユーザーは遅かれ早かれAIベースの機能を「最新機種にある当たり前の機能」として求めるだろう。Appleが現状、AIで遅れを取っていることには変わりない。真の競争力を獲得するには、さらなる技術革新とサービス拡充が必要だ。