「脳波でコントロール」する技術が切り開く、医療分野の新しいステージ
はじめまして!今回、寄稿させていただきましたRyotaと申します。ロンドンのオフィスで働き始め3年目になります。メインの仕事はITと関係ありませんが、趣味としてPCやスマートフォンに興味があり、フリーの時間にライターとしても働いています。皆さんに少しでも関連情報をご提供出来たら嬉しいです。
脳波でアンドロイドタブレット端末などをコントロールする技術をSamsungが開発した、というニュースが4月下旬、IT系メディアを駆け巡りました(元ネタは恐らくこちらの記事)。
しかし実は、毎年3月テキサス州オースティンで開催される「インターネットのパリコレ」ことSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)の2013年開催において、このジャンルに興味深い出展が多数あったことをご存じでしょうか。今回は特に興味深かったものを2つ紹介します。
The Muse
こちらはBluetooth経由でデスクトップPCやMacに接続するヘッドバンド型のコントローラー。200ドルというお手頃価格で年内出荷を予定しています。頭で考えたとおりに、ゲーム内の自分キャラ(アバター)が動くというタイプのコントロールが可能だそう。
Zen Tunes
音楽を聴くとき専用ヘッドセットを装着すると、脳波をプログラムが判断して、自動的におすすめ音楽リストを提案してくれるというコンセプト。リラックスしたい/集中したい、など自分の心の状態をコントロールするために音楽を聴くケースはたしかにありますから、製品化すれば(まだステータスは「開発中」な模様)話題を呼びそうです。
現在、最も注目されているのは?
冒頭で紹介したSamsungの話題しかり、上記The Muse、Zen Tunesしかり、こうした「脳波でコントロールする」話題を見ていると、もっぱら次世代エンターテイメントのための技術開発が進んでいるような印象を受けますが、実は最も注目されているのは医療分野です。
例えばALS(筋萎縮性側索硬化症)。筋肉を動かす神経に障害が生じ、脳が「手足を動かせ」という命令を発しても体が反応できなくなる難病ですが、患者は明晰な知覚や感覚を持っていることは知られています。ただ、それを伝える手段がない。
そこで「脳波でコントロール」する技術の出番なのです!
例えば頭で思っただけのことがBluetooth経由でパソコンに伝わり、テキストに変換されて意志疎通が可能になるかもしれない。脳神経医学を専攻する学者たちが「患者たちの世界を変える」技術として期待している、というのも納得ですよね。
ゲーム分野で実用レベルに「脳波でコントロール」技術が進んでいるという報道は、同時に医療が新しいステージにたどり着きつつある、という意味でもあるわけですね。
(via Fast Company)