AirPods Max 2の新機能、実は”3年前のAirPods Pro”にあったものばかりだった
H1→H2チップへの変更が進化の正体。デザイン、ドライバー、バッテリー、Smart Caseはすべて据え置き

AirPods Maxシリーズ初の本格アップグレードとなるAirPods Max 2が発表された。初代モデルの登場から約5年半、待ちに待った新モデルだ。
僕自身、昨夜の発表には大興奮だった。「ついにAirPods Maxが進化する!」と期待に胸を膨らませていたのだが、いざ発表内容を確認してみると……「ん?何が変わったんだ?」というのが率直な感想だった。デザインは同じ、バッテリー駆動時間も同じ、カラバリも同じ。正直、劇的な進化を感じたとは言い難い。
そこで本記事では、AirPods Max 2が実際にどう進化しているのか、そして「本当に変わったのか」を整理して紹介したい。
進化の正体は「H2チップ」
AirPods Max 2の新機能をひとつひとつ見ていくと、そのほとんどがH1チップからH2チップへの変更によって実現されたものだと気づく。これはAirPods Proの世代交代と同じ構図だ。
AirPods Pro(第1世代)はH1チップを搭載しており、AirPods Pro(第2世代)でH2チップに更新された。その際に追加された機能が、適応型環境音除去、2倍強力になったアクティブノイズキャンセリング、パーソナライズされた空間オーディオなどだった。さらにiOS 17のアップデートでアダプティブオーディオ、会話感知、パーソナライズされた音量といった機能も加わっている。いずれもH2チップがあってこそ動作する機能だ。
つまり、今回AirPods Max 2に「追加」されたように見える新機能の大半は、AirPods Proでは2022年〜2023年の時点で既に利用できていたものばかりなのだ。以下がH2チップ搭載によって「追加」された主な機能になる。
- アダプティブオーディオ:ノイズキャンセリングと外部音取り込みを環境に応じて自動調整
- 会話感知:近くの人と話し始めるとコンテンツの音量を下げ、背景ノイズを低減
- パーソナライズされた音量:周囲の環境と音量の好みに基づいて自動調整
- 声の分離:通話中に周囲のノイズを遮断し、自分の声を優先
- ライブ翻訳:Apple Intelligenceを活用したリアルタイム翻訳
- Siriインタラクション:うなずきや首振りでSiriに応答
- 「Siri」だけで起動:「Hey Siri」ではなく「Siri」と呼びかけるだけで起動可能
- 1.5倍のアクティブノイズキャンセリング
- 改良された外部音取り込みモード
見方を変えれば、AirPods Max 2は「H1チップをH2チップに置き換えた」モデルであり、新しいハードウェアの革新というよりは、AirPods Proが既に到達していた機能レベルにようやく追いついたという方が正確だろう。
それでも歓迎すべき進化はある
とはいえ、ユーザーが実際に体感できる改善がないわけではない。
まずBluetooth 5.3への対応。従来のBluetooth 5.0から更新されたことで、ワイヤレス接続時のレイテンシーが低減されている。音楽を聴くだけなら大きな差を感じにくいかもしれないが、動画視聴時の音ズレ軽減や接続安定性の向上は、日常使いで地味に効いてくるはずだ。
そして1.5倍に強化されたアクティブノイズキャンセリング。これは個人的にかなり期待しているポイントだ。実は僕自身、AirPods Pro 3のノイズキャンセリングがAirPods Maxを上回ると感じた場面が何度もあり、オーバーイヤー型なのにインイヤー型に負ける場面があることにモヤモヤしていた。H2チップによってその差が埋まるのであれば、AirPods Max 2を選ぶ理由がより明確になる。
「Siri」と呼びかけるだけでSiriを起動できる機能は、現時点では使う人と使わない人で評価が分かれるだろう。ただし、今後Apple IntelligenceによってSiriがさらに賢くなれば、この機能の恩恵は一気に拡大する可能性がある。ハンズフリーでAIアシスタントを呼び出せる環境が整っていること自体が、将来的な価値につながるはずだ。
変わっていない部分も把握しておくべき
進化の一方で、変わっていない部分も多い。外観デザインは初代モデルと同一で、アルミニウム製イヤーカップ、ステンレススチール製ヘッドバンドフレーム、伸縮アーム、ニットメッシュキャノピーの構造はすべて据え置きだ。サイズや重量も変わっていない。
長期使用でキャノピーの生地が伸びるという声があったにもかかわらず、素材の改良は行われていない。さらに、発売当初から批判の多かったSmart Caseも刷新されなかった。ヘッドバンドが露出するデザインや保護性の低さは、5年以上にわたって指摘され続けてきた課題だが、Appleは変更しないという判断を下したようだ。
音響面では、カスタム40mmダイナミックドライバーは従来と共通。音質改善は新しい高ダイナミックレンジアンプとデジタル信号処理によるもので、スピーカーユニット自体は再設計されていない。バッテリー駆動時間もアクティブノイズキャンセリングと空間オーディオ有効時で約20時間のまま変わらず。カラーは2024年のUSB-Cモデルと同じスターライト、ミッドナイト、ブルー、パープル、オレンジの5色だ。
AirPods Max 2は「正当な進化」か
AirPods Max 2は、89,800園で2026年4月に発売される(3月25日に注文受付開始)。H2チップ搭載による数々の新機能追加は確かに歓迎すべきアップデートだが、冷静に見ればその多くは「AirPods Proでは既に使えていた機能の横展開」だ。
5年越しのアップデートとしてはやや物足りなさが残るのも事実。ただし、ノイズキャンセリングの強化やBluetooth 5.3対応など、実用面での改善は着実にある。初代AirPods MaxやUSB-Cモデルからの買い替えを検討しているなら、発売後のレビューを待ちつつ、Amazonなどでのセール価格も視野に入れておくのが賢い選択だろう。
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