HomePodは「日本の家庭とライフスタイルでは圧倒的に不要」論
決まった空間で最高の音を楽しむより、どこでも耳元でそこそこの音が聞こえた方が生活に合うのでは?
国内メディアの先行レビューがドシドシと公開されたことから、「HomePod」の発売日が近づいてきているような雰囲気がある。一部メディアでは13日予約開始16日発売との情報があったが誤報だったことが判明し、Apple公式サイトでは「この夏、登場」のままとなっている。
買うか買わないかを考えるための猶予ができたので、この機会に僕は「HomePod」はほとんどの人にとって不要ではないかと思う理由をまとめてみた。むしろ、「HomePod」を買うぐらいなら「AirPods 2」を買った方がよりハッピーになれそうな気がしてならない。
HomePod = Apple Musicに最適化された、Siri対応の高性能スピーカー
レビュー記事を一通り読んだ結論としては、「HomePod」の正体は、Siriが快適に利用できる、Apple Musicに最適化された高性能スピーカーである、ということ。
スマートスピーカーと分類されがちだが、どちらかと言うと「スピーカー」がメインで「スマート」は後付け、という評価がされている。実際、「HomePod」はハイエンドスピーカーとして開発がスタートしたと知られているため、当然の仕上がりと言える。
スピーカーとしても制限は多い。そもそもiOSデバイスがなければセットアップもできず、BluetoothやAUX端子はなく、「AirPlay 2」でSpotifyなどを再生することができるものの、現時点では実質的にApple MusicとAirPlay専用。
これらを踏まえた上で、「HomePod」の必要性について考えていきたい。
HomePodのSiri、本当に使う?iPhoneで十分では?
「HomePod」があればSiriをもっと活用できると思っている人はいないだろうか。スマートホームデバイスを操作したり、予定を確認したり、iPhoneを探したり。
AlexaやGoogleアシスタントと比較して何かと活用できる範囲が限定的なSiriだが、できることを分かっているととても便利なのだ。「HomePod」があれば、優れた聞き取り性能で騒がしい環境の中でもしっかりと聞き取ってくれそうだ。
ただ、現時点でiPhoneでSiriを大して使っていないのであれば、「HomePod」が手元に来たところでSiriを使うようになるとは思えない。
使っていない人は、まずはiPhoneやApple Watchで「Hey Siri」を使う週間を付けてみた方が良い。「Hey Siri、今日の天気は?」と呼びかけて満足するぐらいなら「HomePod」のSiriは活用できないだろう。
Siriを使うとスマートホームデバイスとの連携もハンズフリーで行えるため我が家では積極的に活用しているが、国内におけるHomeKit対応デバイスの取り扱いは非常に少なく、その上AlexaやGoogleアシスタント対応デバイスと比べて高価という難点がある。
僕は毎日ようにSiriと会話しているが、中でも特に使い勝手の良さを実感したのは「AirPods 2」。先日、騒がしい街中で「Hey Siri、次の曲にして」「Hey Siri、1曲戻して」などの音声操作はすんなりと成功。
六本木のど真ん中で外人達がハンズフリー通話をする中、「Hey Siri」を華麗に決める純ジャパ顔の僕は最高にクールだったことは言うまでもない。
すでに「Hey Siri」に対応している製品があるなら、わざわざ「HomePod」の「Hey Siri」に頼る必要はない。むしろ、iPhoneやApple Watch、Airpodsであれば場所に縛られずに「Hey Siri」を完全にハンズフリーで利用できるので、より使い勝手が良い。
今の住環境はHomePodの音を活かせるのか?
先行レビューを見ていると、「HomePod」はスピーカーとして非常に魅力的であるようだが、多くのレビューは音量を抑えていることを指摘していた。
さらに、2台利用してステレオペアリングすることによってさらにスピーカーとしての魅力が増すとのことだったが、ただでさえ単体でパワフルな音を発することができるスピーカーを2台も活かすことができる住環境なのか、考える必要がある。
そもそも壁が薄い場合はスピーカーで音量を出すことさえも気を使う場合があり、一軒家だとしてもパワフルさゆえに音量調整にはそれなりにセーブした方が良さそう。
さらに、本体も他のスピーカーとは比べ物にならないほど重量級。「Amazon Echo」でさえ約800gだと言うのに、「HomePod」は約2.5kgもある。置く場所もそれなりに配慮する必要がある。
これらを踏まえると、「HomePod」を買ったところでそのポテンシャルを活かしきれないように思える。
そもそも今の生活に高音質スピーカー、本当に必要?
最終的に僕が問いたいのは、「高音質スピーカー、本当に必要?」、ということ。そもそも部屋に音楽を聞くための高音質スピーカー、必要としていますか?
iPhoneを近づけるだけでペアリングが完了し、部屋に置いたら自動的に音質や音のバランスを最適化してくれ、Siriで様々な操作を行うことができる、高音質なスピーカー。
ただし、セットアップにはiOSデバイスが必須、BluetoothやAUX端子などの外部端子には非対応、「AirPlay 2」を使ってSpotifyなどを再生することができるものの、現時点では実質的にApple MusicやAirPlay専用のデバイスとなっている。
これらを踏まえた上で、本当に「HomePod」は必要なのか、今一度自分の胸に問いかけてみよう。
ところでSiri、使ってなくないですか?Apple Music契約してますか?スピーカーの音質にこだわるような性格ですか?
そもそも最近、スピーカーから音を聞こうと思ったのはいつですか?
どのメディアも「HomePod」は1台より2台の方が楽しめると表現しているが、1台税別32,800円、2台で税別65,600円。超高価なスピーカーに匹敵する技術が詰め込まれていてある意味破格とも言えるが、本当にそれを必要としているのだろうか。
「HomePod」よりも利用できるサービスの柔軟性があり、海外では高音質と評判の「Sonos One」も選択肢としては良さそう。Apple MusicにもAirPlayにも対応し、価格は約1万円安い。
僕は「HomePod」の存在自体を否定するつもりも、「HomePod」のアンチキャンペーンを行いたいわけではない。ただ、飛びつく前にもっと基本的なところに立ち返った方がいいのではと思い、この記事を書いている。
高音質スピーカー、本当に必要ですか?
日本は、米国みたいにリビングルームで映画見ながら家族団らん、というスタイルはあんまり想像できない。どちらかというと食後はすぐに個々の部屋のこもって好きなように過ごす、の方が圧倒的多数ではないだろうか。もしくは同じ空間でそれぞれが別の音声のあるコンテンツを見る、とか。
そう考えると、「AirPods 2」や最近登場した「Powerbeats Pro」の方が生活に馴染みやすい気がしてならない。
これらをすべて踏まえた上で「HomePod」を試したい、買ってみたい、使ってみたい、と思う人は買いましょう!「大して使わないって分かっていても欲しい、それが信者精神だ!」という割り切って買うのは大いにあり。持っていることが大事、試すことが大事、みたいな。
ただ、少しでも「ああ確かに……いらないかも……」と思った人は改めて自分に何が必要か考えた方が良いと思う。僕は……きっと買うと思うけど、すでに全く使わない未来が見えている。「AirPods 2」があれば十分幸せなんだよなあ。
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