Apple 50周年記念、Mori Calliopeライブレポート。表参道が”Think Different”な夜になった
Apple設立50周年記念イベントでVirtual ArtistのMori Calliopeがトーク&ライブを披露。人生初のVTuberライブは、想像以上に最高だった
Apple設立50周年を記念して、2026年3月27日にApple 表参道でスペシャルイベントが開催された。主役を務めたのはhololive English -Myth- 所属のVirtual Artist、Mori Calliope。リアルのApple Storeにバーチャルアーティストが降臨し、トークとライブパフォーマンスを披露するという、前代未聞のイベントだ。
僕にとってMori Calliopeのパフォーマンスを見るのは初めてどころか、そもそもVTuberのパフォーマンス自体が人生初の体験だった。正直どんなものか想像もつかなかったが、結論から言うとめちゃくちゃ楽しかった。久しぶりに「音楽って楽しいな、ライブって楽しいな」と心から思える夜だった。
万全の予習をして挑んだ結果
僕はライブは事前にしっかり予習していったほうが楽しめるタイプの人間だ。出演が発表されてから毎日聞き込み、最新アルバム「DISASTERPIECE」はもちろん、人気曲、有名曲、ライブの定番曲までひたすら聴いて万全の状態で挑んだつもりだった。
その甲斐があったと言うべきか、事前に聞き込んでいた曲がパフォーマンスで披露されたときの嬉しさは格別だった。もともとライブに頻繁に行くタイプの人間ではないし、このぐらいの機会がないとなかなか足を運ばない。今回は撮影もしていたのでギャーギャー盛り上がりきれなかった心残りはあるが、それでもすごくワクワクした。
画面越しなのに”そこにいる”衝撃
そもそも画面越しのパフォーマンスがどういうものか、さっぱり想像できなかった。どういう感じなんだろう、という思いで会場に足を運んだのだが、目の前にリアルに”いる”。画面の中にいるのだけれど、「わ、すげえ」と素直に思えるような存在感がそこにあった。
普段Today at Appleを開催しているビデオウォールが、そのままライブ会場の大画面に変貌していた。その大画面にMori Calliopeが登場し、パフォーマンスを繰り広げ、DJ・みのさんとトークセッションを行う。完全に今まで自分が経験したことのない組み合わせだ。あの空間にあれほどの人数を収容できたことにも正直驚いた。Apple 表参道としても相当な準備をしてきたのだろうと思う。
バーチャルロックスターとしてのクールな佇まいと、トーク中に水を飲みに行く可愛らしさが同居する不思議な魅力も印象的だった。このギャップがまた良い。
ライブパフォーマンスのセットリスト
イベントのメインであるライブパフォーマンスでは、以下の4曲が披露された。
- Go-Getters
- 未来島 ~Future Island~
- Orpheus
- DONMA
「Orpheus」はオールドスクール・ヒップホップを感じさせるクールな楽曲で、Apple Storeの空間に低音が響き渡る様子は圧巻だった。「DONMA」では会場のボルテージが一気に上がり、ファンの熱気がすごかった。
以下、写真で現地の様子をお届けする。
事前に調べていた中で、Mori Calliopeの楽曲には結構言葉遣いの激しい曲が多い。代表曲にも多いので「今回演奏するのかな」と思っていたが、意外と見送ったようだ。ちょっとランゲージがアレだけどすごくかっこいい曲がたくさんあるので、いつかそういう曲が飛び交うライブに、ガチファンに囲まれながら参加してみたい。あの温度感を体験したいという気持ちが正直にある。
歌がずば抜けてうまい。ラップもかっこいい
VTuberのことを全然知らない状態で今回のパフォーマンスを見たが、そもそもVTuberというのは歌がうまく、トークもうまくないと売れない世界なのだそうだ。事前に調べた情報の通り、Mori Calliopeのトークはとても素敵だったし、何よりも歌がずば抜けてうまい。ラップもものすごくかっこいいし、韻の踏み方がめちゃくちゃかっこいい。
英語と日本語をシームレスに織り交ぜた力強い楽曲で、会場は大きく盛り上がっていた。新しい音楽の世界を生み出し、国境を越えてファンとつながるためのテクノロジーの可能性を、目の前でまざまざと見せつけられた。
赤いiPodから始まった音楽人生
トークセッションでは、Mori Calliopeの音楽ルーツが語られた。子どもの頃から音楽が大好きで、誕生日に買ってもらった赤いiPodが音楽との最初の出会いだったという。
初めてダウンロードした曲は、Outkast(アウトキャスト)の「Hey Ya!」。母親が知っている曲だからという理由で選んだが、他の曲はダウンロードせず、ひたすらこの1曲だけを聴き続けていたそうだ。
ちなみに「Hey Ya!」は2003年にリリースされた楽曲で、ヒップホップの枠を超えてファンク、ロック、ポップの要素を融合させた革新的なサウンドが世界的メガヒットとなった。ジャンルの壁を壊した名曲が原点にあるアーティストが、バーチャルの世界からジャンルの壁を壊し続けている。なんだかエモい話だ。
GarageBandで3時間。iPadが生んだ新曲
2026年2月6日に世界同時リリースされた最新アルバム「DISASTERPIECE」の制作秘話も明かされた。以前は自身の歌声に集中するために作曲を控えていたが、シンガーとしてのレベルアップを経て作曲に再挑戦したという。
先輩のアドバイスを受け、AppleのGarageBandを使用。iPadを使って直感的に作曲を行い、新曲「Ningen Dakara」のデモはわずか3時間で作り上げた。GarageBandはAppleが無料で提供するDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)で、iPhoneやiPadがあれば誰でも本格的な音楽制作を始められる。初心者からプロまで直感的に使えるツールで、上位版のLogic Proへシームレスに移行できる点も強みだ。
手元のiPadで、3時間で、曲が生まれる。Appleが長年目指してきた「テクノロジーによる創造性の民主化」を体現するエピソードだった。
目指すのは「バーチャルロックスター」
自身のアイデンティティについて、Mori Calliopeは「バーチャルエンターテイナーではなく、バーチャルロックスターを目指し、現状を突破していきたい」と語った。世界中の人が自分の曲を聴いてくれているデータを見たときは「夢を見ているみたい」と振り返りつつ、「誰も見たことがないような方法で、みんなが自由にコラボレーションできる世界を作りたい」という明確なビジョンを掲げた。
さらに、本物の3Dホログラムとしてステージに立ち、バーチャルアーティストが現実の世界に当たり前にいる未来を目指しているという。実際、ロンドンではABBAのデジタルアバターによる常設公演「ABBA Voyage」が1億ポンド以上の収益を上げるなど、バーチャルパフォーマンスの商業的可能性はすでに証明されつつある。裸眼3D技術やライトフィールドディスプレイも進化しており、Mori Calliopeが語る「リアルの世界に当たり前にいる未来」は、決して夢物語ではなくなってきている。
バーチャルアーティストは「Think Different」そのものだ
Appleの「Think Different」について問われたMori Calliopeの言葉が印象的だった。「バーチャルアーティスト自体がすでにThink Differentな存在。デジタルの体であっても人間の心がある。現状はまだ珍しい存在だが、そこから抜け出すことこそがロックな精神だ」。
「Think Different」はAppleが1997年に展開した伝説的な広告キャンペーンだ。倒産寸前だったAppleに復帰したスティーブ・ジョブズが、「自分たちが何者であるか」を世界に示すために打ち出した。アインシュタイン、ガンジー、ジョン・レノンなど歴史を変えた人物を起用し、「クレイジーな人たちに乾杯を。はみ出し者、反逆者、トラブルメーカー」というメッセージは広告史に刻まれている。
あれから約30年。倒産寸前だったAppleは世界で最も価値のある企業へと成長し、その50周年を祝う舞台には「デジタルの体に人間の心を持つ」バーチャルアーティストが立っていた。これ以上に「Think Different」な光景は、なかなかないのではないだろうか。
日本ならではの”祝い方”だった
Apple設立50周年という節目をどう祝うか。そこに日本ならではの良さが出ていたように思う。僕は失礼ながら今回初めてMori Calliopeを知ったが、世界から見た日本、そして世界で活躍する日本発のクリエイターを取り上げてパフォーマンスを行うこの企画は、振り返ってみるととても日本の良さが出ている。
このイベントをきっかけに、いろいろなVTuberを調べてみたいと思った。ライブ自体も本当に久しぶりだったし、とにかく最高に楽しい夜だった。刺激的な時間をありがとうございました。
Mori Calliopeとは
Mori Calliopeは、COVER株式会社が運営する「ホロライブプロダクション」のhololive English -Myth- に所属するVirtual Artist。2020年9月にデビューし、「死神の一番弟子」という設定を持つ。ラップ・ヒップホップを軸にロックやポップスまで幅広い楽曲を手がけ、2022年にUniversal Music EMI Recordsからメジャーデビューを果たした。
YouTubeチャンネル登録者数は200万人を超え、Spotifyでは164カ国以上にリスナーを持つ。英語と日本語を自在に行き来するバイリンガルスタイルが最大の特徴で、世界中のリスナーはApple Musicで最新アルバム「DISASTERPIECE」を含む楽曲を体験できる。
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