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Falcam F38クイックリリースカメラクリップV2の致命的な落下事故。110万円機材を守れなかった理由

カチッと音がしても落下の恐怖。便利なカメラクリップのリスクと対策を聞いてくれ

Problem with Falcam capture clip 05

取材帰りの出来事だった。時間ギリギリまで撮影を続けていた僕は、完全に気が抜けていた。

EOS R5 Mark IIにRF 24-105mm F2.8 L IS USM Zを取り付けたまま、いつものようにショルダーストラップのFalcam F38 クイックリリースカメラクリップ V2に固定した。「カチッ」という音を確認し、安心してエスカレーターに立った瞬間——突然、カメラとレンズが落下した。定価合計1,149,500円の機材が、エスカレーターの段に無情にも打ち付けられた。

カメラ本体は無事だったが、レンズが歪でしまった。ただし、オートフォーカスなども動作しているため、もしかしたらレンズの外側で衝撃を吸収し、レンズとしてはなんとか持ち堪えてくれたのかもしれない。

Problem with Falcam capture clip 04
無いはずの隙間がある。絞りも変えられない

「ああ、やっちまったな……」という妙な冷静さ

友人たちと一緒だったが、幸い誰にもケガはなかった。僕は焦りやショックよりも「ああ、やっちまったな……」という妙に冷静な感情が支配していた。頭をよぎったのは「修理費用、いくらだろうな……」という現実的な思考ばかり。

本当に、周りに誰もケガがなくてよかった。この組み合わせ、実は2kg以上もある。肩の高さとはいえ、人に当たったらしっかりとケガをさせてしまっただろう。

実はシンガポール旅行でも同じことが起きていた

今思えば、兆候はあった。先日のシンガポール旅行でも、全く同じことが起きていたのだ。

僕は基本的に「カチッ」という音を頼りに固定を判断している。しっかりと押し込んだはずが、突然肩から外れて落下。幸いにもすぐに気付いてキャッチできたが、なぜ落下したのか、その時はよくわからなかった。とりあえず旅行中は、利用する度に追加のロック機構を活用し、入念にチェックしながら使っていた。

しかし取材時は、完全に気が抜けていた。「カチッ」という音は確実に聞こえていたが、追加のロックは付けなかった。そして、あの惨劇が起きた。

便利すぎるF38システムの魅力と落とし穴

以前はPeak Designのキャプチャークリップを愛用していたが、あまりにも便利すぎるF38システムの沼にハマってしまい、キャプチャークリップ含めてすべて変更していた。この手の製品は本当に便利だ。

  • ストラップを使わずにサクッとホルダーに固定できる
  • 子どもと外出する際のハンズフリー機能
  • 都度カバンに入れる必要がない
  • 撮影時のストラップの煩わしさから解放される

最高なのだ。しかし「想定したとおり固定できない」となれば話は別だ。

原因究明:自分のミスか、製品の問題か

大前提として自分自身の装着ミスを最初に疑ったが、1週間で2回も起きるということは、製品に何か問題が起きている可能性も同時に疑うことにした。まず考えられるのが、カチッと鳴っていたのにも関わらず、実際にはハマっていなかった、という問題。

Falcam F38 クイックリリースカメラクリップ V2は、カメラのクイックリリースプレートが奥にあるレバーを押し込むことで、手前にあるツメが起き上がりクイックリリースプレートを挟み固定する仕組み。実際に検証してみると、本来は左右にあるレールに沿わせながら奥のレバーを押すことが想定されているが、左右のレールを通らなくても簡単に奥のレバーを押すことができることを確認した。

Problem with Falcam capture clip 01
左右のレールを通さずに奥のレバーを押せてしまう

しかし、もしこの状態だとしたら、それまでの移動で固定できずに落下しているはずだ。特にカメラとレンズが2kgもあるため、しっかりと固定されていなければ早々に外れて落下していただろう。

恐ろしい事実:「カチッ」と音がしても固定されない場合がある

そこで「固定されていたのに落下した」という仮説のもと、さらに触ってみた。すると恐ろしい事実が判明した——「カチッ」と音がしてもツメがしっかりと上がりきらない時があることがわかったのだ。

Problem with Falcam capture clip 07
「カチッ」と鳴ってツメは上がっているが、重さで落ちてしまう

その際、手前に重量が掛かるとキャプチャークリップから外れてしまい落下する、という流れ。まさにこれが今回の落下原因だったのではないだろうか。僕は現時点では「固定されていたのに落下した」ということを最も疑っている。

このことについてツイートしたところ、同じ問題に直面していた方が細かく分析してくれていた。まさに彼のツイートのとおり、カメラの重さに引っ張られてツメから外れたのだ。僕も全く同じ状況だったと確信している。

余談:Peak Designが優秀だった理由

実はFalcamに乗り換える前は、何年もPeak Designを使ってきた。逆になぜPeak Designのキャプチャークリップは大丈夫だったのか。実はPeak Designは仕組みが根本的に異なる。

内側にあるツメがプレートに引っ掛かる仕組みとなっており、奥のレバーを押し込むことによって作動するのではない。よって、何かしらの誤動作で奥のレバーが勝手に押されてしまう、という動作ミスは起こり得ない。さすが元祖カメラクリップというだけあって、よくできている。

今後の対策と新たな選択肢

F38シリーズの製品は引き続き使いたいが、Falcam F38 クイックリリースカメラクリップ V2はもう怖くて使えない。使うとしても追加のロックなしでは絶対に使わない、という自分ルールを設けていきたい。

代わりにF38でも使えるPGYTECH BEETLE カメラ クリップ V2も購入した。しかしこれも仕組みとしては同じ。落下や装着ミスのリスクを回避できるのかは、正直未知数だ。

結論:便利さの裏に潜むリスク

今回の落下原因は「カメラとレンズの組み合わせで、本来固定されるはずのツメが正しく固定されなかった」と考えている。全く同じ状況を再現して検証する方法はないが、自宅での検証では、この可能性が最も高いと感じている。

Problem with Falcam capture clip 09

便利な製品ほど、その便利さに慣れてしまい、リスクを見落としがちになる。今回の件は、改めて機材管理の重要性を痛感させられた出来事だった。

この記事を通じてFalcam F38 クイックリリースカメラクリップ V2を使っている人は当然のこと、他のカメラクリップ製品を使っている人は今一度動作確認をしてもらいたい。どんなに信頼している製品でも、定期的な点検と複数の安全策を講じることをおすすめする。110万円の機材が一瞬で危険にさらされる現実を、身をもって体験した僕からの切実なアドバイスだ。

なお、FALCAM製カメラケージについては、プレートそのものが壊れる、外れるといった状況はあり得ないため、今回の落下原因ではないことを付け加えておく。

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更新日2025年08月17日
執筆者g.O.R.i
コメント(2件)

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  1. 通りすがりの読者(コメントID:706171)

    まあ、損害額が大きかったからショックが大きいだけで、日常生活でこういうのは結構いろいろ起こっているんですよね。クレジットカードとかの持ち物保険やら旅行保険でカバーされるといいですね。

  2. とも(コメントID:706169)

    私も以前同じ物を使用していたのですが、少し不安になりストラップはピークデザインのアンカーリンクスに戻しました。
    F38のようにワンタッチで脱着できないですが安心感にには代えられないと思います。
    そして三脚の雲台も普通のアルカスイス互換のクランプに戻しました。

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