Cydia Store終了に寄せて、Jailbreakの思い出を語る
iPhoneに「Jailbreak(脱獄)する」という行為自体があったことを知らないiPhoneユーザーもいるかもしれない。
簡単に言えばAppleが利用を許可していないまたは開放していないOSの機能を解放することによって正規のiOSでは利用できないアプリや機能を利用可能にするという、いわばiPhone(iOS)ハックの一種だった。もちろん、保証対象外になる行為だ。
JailbreakされたiPhoneは「Cydia」と呼ばれる脱獄専用のApp Storeがあり、「Cydia Store」と呼ばれる有料App Storeも用意されていた。それらから脱獄アプリや機能をダウンロードできる仕組みだったのだが、その創設者であるJay Freeman氏、通称Saurik氏がRedditで「Cydia Store」を正式にサービスを終了することを発表した。
iPhoneとJailbreak、僕とJailbreak
世の中を変えたiPhoneと、そのiPhoneをハックするJailbreakという行為。僕個人としては、JailbreakがなければiOSは今のような進化を遂げることはなかったと思う。
Jailbreakのコミュニティが考案した機能が次のiOSメジャーアップデートで搭載されている、ということは少なくなかった。例えば初期のiPhoneはコピペができなかったが、Jailbreakで提供されていたコピペ機能がほぼそのままiOSに実装された。
テザリング機能やマルチタスク機能も当初iPhoneにはなかった機能で、特に初期のマルチタスク機能の見せ方(画面下部にアプリのスクリーンショットが表示されるUI)はJailbreakで提供されていたマルチタスク機能そのままだった。
システム設定の中の項目にすばやくアクセスできるようにしたい、というニーズに応える機能もコントロールセンターとして提供され、画面録画機能、QRコードのスキャン機能、通知からの返信機能、純正アプリの非表示、フォルダ機能などもJailbreak発祥……と言うと大袈裟かもしれないが、iOSに実装されるはるか前には存在していた。
かつては通知センターを立体的に見せるために通知センターを下ろすと背景がぼかすためのハックが存在してたのだ。今考えると本当にぶっ飛んでいる。
アプリのデザインテーマを変えるのも、流行ったなあ。
ウィジェットとかも懐かしい。当時のAndroidにありiPhoneになったのが魅力的で、HTC風の時計ウィジェットや天気ウィジェット、ミュージックアプリ用ウィジェットなどが次々とリリースされていた時代だった。
なぜ、僕がこれほどJailbreakについて熱くなっているかというと、何を隠そう、僕はもともとJailbreakに関する記事を大量に書いていたからだ。数年前、大人の事情ですべて削除し1つも残っていないが、初期のiPhoneを使っていた僕は「JailbreakなくしてiPhoneにあらず」と言い切るぐらいにはJailbreakラブだった。
いや、本当に。コピペとマルチタスク、テザリングができるだけでも神だと思っていたが、それ以上に自由にあれこれUIをカスタマイズできるのが最高に楽しかった。
当時はJailbreakに関するブログもそれなりにあり、彼らよりも先にい新しいアプリや機能を紹介できるように必死に書いていた気がする。懐かしい。
今はそのような情報は取り扱わない(というよりは取り扱えない)ので書いていないが、今でもその頃得た経験値は何かしら今の生活に生きているはず。
ここ数年間、Jailbreakからはすっかりと離れてしまい、最新の情報を追っていなかったが、iOSは着実と進化を遂げ、当時は必要不可欠だと思っていたJailbreakも不要になった。
そもそもJailbreakはAppleが抑えられなかったセキュリティホールを突いて閉ざされた機能を解放する行為。安全性を考えるとJailbreakしなくていいのであればしない方が良いのである。
今、僕はiPhoneには最新のiOSが動いている。動作も快適で、特に日々のストレスになるような機能不足は感じていない。
Jailbreak、ありがとう。Cydia、ありがとう。