【レビュー】Belkin SOUNDFORAM Freedom:探すアプリ対応の完全ワイヤレスイヤホン
サードパーティとして初の探すアプリ対応ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスイヤホンとしての実力を検証
Belkinから、完全ワイヤレスイヤホン「Belkin SOUNDFORAM Freedom」が登場した。サードパーティ製イヤホンとして、探すアプリに唯一対応している製品だ。(2021年6月時点)
探すアプリ対応のほか、Qualcomm aptXコーデックの対応、PEEK+TPUの二層構造ドライバ搭載、36時間連続使用(イヤホン単体で8時間 + 充電ケースで28時間)、IPX5準拠の耐水性能が特徴。価格は9,979円となっており、AirPods Proより2万円も安く購入できる。
メーカーよりレビュー用としてサンプルを提供してもらったので、紹介する。
AirPodsに似た形状、快適な装着感
Belkin SOUNDFORAM Freedomは、ホワイトとブラックの2色展開。充電用ケースは、イヤホンとマグネットで取り付け充電される仕組み。接続は安定しており、充電ケースに入っておきながら充電できていなかった、ということはなかった。
イヤホンはAirPodsと似た形状だ。操作は柄の部分ではなく、ハウジング部分のタップで行う。
フィット感は良好。標準で搭載されているイヤーチップのサイズ感が最適だった。なお僕の耳は、AirPodsは抜け落ちず、AirPods Proは快適にフィットする。
長時間の使用でも圧迫感はなく、多少の汗をかいても装着感は変わらず快適だった。耳の中に汗が滴るほどの汗をかく機会がなかったため検証できていないが、IPX5相当の防水性能があればジムで使用しても問題ないだろう。
低音が強めでパンチある音、遅延なし、操作性は慣れが必要
AirPods Proを聞き慣れていると、Belkin SOUNDFORAM Freedomはパンチがある。低音が強調されることで音のバランスが不自然であるような印象を受けるが、楽曲によっては低音強調の音質がかえって快適に聞こえる場合がある。空間オーディオなどの恩恵は受けられないが、いわゆるヒットチャートの上位を占める楽曲は心地良い。
残念だったのは、曲によって度々音割れが起きていたこと。
優里「ドライフラワー」の、ラスサビで歌っている「声も顔も不器用なとこも」は音が割れてしまうことを確認。AirPods 2、AirPods Pro、AirPods Maxでは音割れはなかった。なお音楽ストリーミングサービスをSpotifyからApple Musicに変更しても同じだった。YouTubeのミュージックビデオは問題なかった。
操作性にもやや難がある。左側のイヤピースを一度タップすると音量が下がり、右側をタップすると音量が上がる仕組みになっているのだが、イヤホンを耳に押し込むと必ずどちらかの操作をしてしまう。操作するたびにワンテンポ遅れて聞こえる操作音も不愉快だ。
驚いた点としては、遅延の無さ。ミュージックビデオでも、格闘技でも、お笑いでも、YouTuberの作り上げられたモーニングルーティンでも、ズレを感じずに再生される。ゲームは確認できなかったが、カジュアルゲームであれば違和感なくプレイできそうだ。
探すアプリに対応、ストーキングアイテムとして要注意
注目機能の探すアプリ対応を試す。AirPods ProなどはiPhoneとペアリングするだけで自動的に探すアプリに追加されるが、Belkin SOUNDFORAM Freedomは別々に操作する必要がある。iPhoneとのペアリングも、Bluetooth設定よりデバイスを選択する必要がある。
Belkin SOUNDFORAM Freedomが近くにあればすぐに認識する。「接続」をタップし、新しい持ち物として登録する。
持ち物には名前、および地図上で確認しやすくするための絵文字を登録する。
僕はベルキンからベルの絵文字を使用。Apple IDに登録を完了すれば、紛失時におけるマップで経路表示、サウンドの再生、紛失モードなどが利用できる。
妻にBelkin SOUNDFORAM Freedomを預けてみたところ、iPhoneを持参していたことで位置情報が3〜5分置きに更新された。紛失した場合に探しやすい点は魅力だが、AirTagと同様に他人が持っていれば簡単に追跡できてしまう。
友人にBelkin SOUNDFORAM Freedomを貸したことで、意図せず帰宅経路や自宅の住所を公開してしまう恐れがある。正確な位置情報を常時確認できるストーキングツールとして、悪意のある使い方ができることは明記しておきたい。
Belkin SOUNDFORAM Freedom レビュー:探すアプリ対応はサブ機能
Belkinは、Belkin SOUNDFORAM Freedomのサードパーティ製品初となる探すアプリ対応をアピールしているが、無くさなければ全く役に立たない機能だ。探すアプリ上で検索できるのはケースのみ。よくありがちな「片方のイヤホンが見つからない」という問題には対処できない。
またAppleのストーキング対策が不十分であるため、対応することでかえって余計なリスクを生み出しているようにも思える。
完全ワイヤレスイヤホンとしては、音質や遅延の少なさは良かったが操作性は馴染めそうにない。音割れはイヤホンとして致命的だが、すべての楽曲で起きるわけではない。低音が強調されたサウンドをケーブルレスで楽しみたい人にとって、Belkin SOUNDFORAM Freedomの購入を検討してもいいだろう。