HomePod レビュー:子ども向け音楽を最高音質で
低音が必要以上にパワフルな高音質スピーカーに、素早く反応してくれるけどそこまで役に立たないSiriという微妙なコンビ
僕は音楽ストリーミングサービスとして「Apple Music」と「Spotify」どちらも契約している。
その理由は、「Apple Music」または「iTunes Music Store」にしかEテレ系の音楽がなく、長女の好みの音楽を流しているうちに「Apple Music」のリコメンド機能が長女寄りになってしまったから。そもそも「Apple Music」のリコメンド機能はいつまで経っても振るわず、自分用の音楽ストリーミングサービスとして「Spotify」を契約している。
最近は自宅でもEテレ系の音楽を流す機会が増え、これまではテレビの裏に「Echo Plus」を置いていたが、長女の聴きたい音楽が流せないことが多く、指定の音楽サービスに「Apple Music」を指定しても正しく認識されず、困っていた。
そこで、ついに何ヶ月も前に買ったまま放置していた「HomePod」が日の目を見ることに。個人的に「HomePod」は日本の家庭とライフスタイルでは圧倒的に不要だと感じていたため、購入したものの利用シーンがまるで思いつかず、必要性を感じないまま放置し続けていた。
せっかくの機会なので、「Philips Hue」のライトを中心としたHomeKit対応製品の操作や「Nature Remo」を活用した既存家電の操作をSiri経由でできるように設定した結果、思っていたよりも便利だ。ただ、必要かどうかでいうと、「基本的にはいらない」という立場には変わらない。
本記事では洗練された本体の外観やAppleらしい簡単すぎる初期設定、そして高く評価されている音質やSiriによるスマートホームデバイスの操作などの使い勝手を含めて「HomePod」をレビューする!
美しい外観、触り心地の良い本体、超簡単な初期設定
箱から開封して思ったのは、本体が思っていた以上に小さい、ということ。音のパワフルさをアピールしていたことからもっと大きいものを想像していた。同梱物もこれにいつもの説明書やステッカーのみとなっていて、相変わらず無駄がない。

本体に初めてまともに触れてみて、その心地良さには驚いた。和紙のような、厚紙のような、硬すぎず柔らかすぎず、程良いクッション性のあるスピーカーグリルとなっている。

ケーブルも見るからに頑丈だが、質感は良い。各メーカーから登場している高耐久Lightningケーブルを何倍も大きくしたような質感なので、触り心地が良いのだ。

このケーブルは(一応)本体から取り外しが可能となっていて、万が一破損した場合は修理費用は29ドルであることが分かっている。まあ基本的に設置するだけなので、壊すことは無いでしょう。

AirPodsはiPhoneに近づければ自動的にペアリング用の画面がiPhoneで表示されるのと同じように、「HomePod」も同様の仕組みが用意されている。AirPodsと違い、電源を確保する必要があるため、まずは設置したい場所に置き、ケーブルを電源に挿す。僕はテレビの横に設置したが、これが実は問題だった(理由は後述する)。

iPhoneを近づけるとこのような画面が表示され、「設定」ボタンをタップしながら進めていく。

「ホーム」アプリで部屋などを予め設定している場合、それらの部屋を設置場所の候補として表示されるようだ。

「パーソナルリクエスト」では、「HomePod」を使って近くにあるiPhoneを識別し、メッセージの読み上げや送信、通話の発信、リマインダーの作成などを行うことができるものの、記事執筆時点では日本語における声の識別には対応していないため、利用できる機能は一部制限されるようだ。

なお、このパーソナルリクエストが有効化でなければ「Nature Remo」を使った家電操作はできないことが分かった。後からでも設定は変えられるが、家電操作を前提としている場合は最初から有効化しておいても良いと思われる。
アカウントと設定は操作しているiPhoneから自動的に引き継がれる。この連携力こそがApple製品である魅力だと思う。なお、初期設定を色々と躓いた僕は11インチ型iPad Pro(2018)でも試したが、iPhoneと同様にセットアップすることができた。

すべての設定が済むと、情報を転送するのか「HomePod」を枠の中央に入れるように指示される。Apple Watchを使ったことがある人はお馴染みの操作なので言われた通りにするべし。

以上で「HomePod」の初期設定は完了。ちなみに新しいApple製品のハズレ品を当てることに定評のある僕は案の定、エラーが発生したり設定が正しく転送されなかったりと色々と問題に直面した。
主にネットワーク関係の接続不良に悩まされ、設定完了後も「HomePod」が見つからないと表示されてしまっていたので、思い切って「HomePod」の位置を変更してみたところ、まるで何事もなかったかのように動作するように。
Wi-Fi機能が内蔵されているテレビを使っているからなのか、テレビ裏に様々な電子機器を置いているからなのか、結果的に何かに干渉してしまい、ルーターがわずか数メートル先にあるのにも関わらずネットワーク接続が安定しなかったようだ。
「HomePod」の初期設定で手こずっている場合、思い切って設置する場所を変更してみるのも手かもしれない。
HomePodの音質とスマート家電との連携、子ども向け音楽再生機として
では実際に使ってみて「HomePod」はどうなのか。
音質はとにかく良い。評判通りで、低音は強すぎるぐらいだ。マンションでは出せる音量も大幅に制限されることは確実で、戸建てでも「HomePod」のポテンシャルを活かせる音量にすると、低音の聞いた楽曲だと地響きがする。それほど低音域は詰まっている。
特徴の1つである空間認識機能も確かに実感できた。これまで使っていた「Echo Plus」は「音楽が聞こえてくる」という感覚に近かったが、「HomePod」の場合だと「音楽が空間を満たす」という感覚に近いかもしれない。たった1台でこれだけの体験ができるのだから、2台目を導入してステレオサウンドを実現したら極上の体験に違いない。

……ただ、実際にその体験が自宅で必要かどうかでいうと、一切必要ない。ハッキリ言って不要だ。ゆういちろうお兄さんとあつこお姉さんの素敵な歌声を聴くために7万円近いステレオスピーカーセットはどう考えても不要だ。
元々導入した理由である子ども向け音楽はとても快適に再生できている。『いないいないばぁっ!』も『あさペラ!』も『トモダチのわお!』も無駄に重低音強めで再生される。『パプリカ』のイントロがドスドスしていてビックリした。
子ども用の音楽が部屋を埋めるような高音質で再生できるようになったのは良いことだが、長女にとっては少し音に迫力がありすぎるようで、基本的に音量は控えめに設定している。それでもこれまでBlueoothスピーカーを接続する手間や、「Echo Plus」で正しく曲が認識されないというトラブルなどから完全に解放されたことを考えると導入して良かったと思う。
さらに、今回は「HomePod」を利用したリビングルームのスマートホーム化にも着手。一部のライトは「Philips Hue」に導入済みで、HomeKit対応製品として非常にスムーズに操作できることは確認したが、今回から「Nature Remo」をリビングルームにも設置し、テレビとエアコンを操作可能に。
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Siriのために「HomePod」の導入は不要だと思っていたが、最近はiPhoneが手元になく、冬季につきApple Watchが袖に隠れてしまいSiriを呼び出すことができない、という状況が何度かあった。
そこで、「HomePod」が役に立つのだ。テレビを付けたい時、「Hey Siri、テレビをつけて」と呼びかけるとテレビが点灯し、「NHKにして」と言うとEテレを見ることができる。せっかくなので番組表の呼び出しや他のチャンネルへの移動も音声操作だけでできるようにしてみた。
地味に便利なのは、テレビを消したい時。度々発生する「リモコンどこに置いたっけ」問題をものとせず、「HomePod」に呼びかければSiriが消してくれる。自分が食卓、リモコンがソファの上にあったとしても、「HomePod」に呼びかけたらテレビタイムを強制終了してくれる。思っていたよりも便利だ。
iPhoneを家の中で紛失しがちな人向けに、「Hey Siri、iPhoneを探して」と呼びかけると「iPhoneを探す」モードが有効になり、対象のiPhoneを手に取るまで音を鳴らしづつける機能がある。
僕はApple Watchから鳴らしてしまうのであまり使う機会がなさそうだが、いざという時に役立つ時が来るかもしれない。
まとめ:あってもそれほど便利にならないApple純正の高音質スピーカー
「HomePod」は、スピーカーとしては素晴らしい製品だが、やはり日本の家庭においてはオーバースペックと言わざるを得ない。ここまでの大音量と重低音を出せるスピーカーのポテンシャルを活かせる住環境を所有する人は非常に限られていると感じる。
もしより低価格で音の迫力ももう少し控えめ、さらにコンパクトになった「HomePod mini」のような製品が登場したら、日本では「HomePod」よりはまだ受け入れられそうな気がする。
スマートスピーカーとしては、良くも悪くもSiri。できることが限られ、連携できる機能も少なく、ショートカットアプリが投入されたは良いものの、アプリケーションを1つ挟む関係でレスポンスはワンテンポ遅いのは気になるところで、「常に頑張っている」感が出ている。
ただ、実際は大規模なスマートホーム化を進めるわけでもないので、この程度の機能でもそれほど困っていない。できることは限られているが、「HomePod」の「Hey Siri」はレスポンスも早く処理能力が高いため、これまでSiriに頼んでいたことを自分のiPhoneではなく無駄に「HomePod」に頼みたくなる。
では「HomePod」は「買い」かどうかでいうと、必要性を感じていないのであれば買わなくていいと思う。3万円もあれば「iPad (第7世代)」や「Apple Watch Series 3」を買うことができ、「HomePod」を買うよりも間違いなく良い買い物になると思う。
スマートホームデバイスの操作もiPhoneやApple Watchがあれば十分。目に見える範囲に「Hey Siri」で反応するデバイスさえあれば「HomePod」と同じようなハンズフリー操作はいくらでも可能である。
僕のように子どもにEテレ系の音楽を音声操作だけでいつでも流せるようにしたい人、「Apple Music」がメインの音楽ストリーミングサービスとして使っている人、パワフルな低音が響く次世代スピーカーが欲しい人であれば、もしかしたら購入を検討してみても良いかもしれない。

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