Twitterからサードパーティに対するリスペクトが感じられない
Twitterが自滅しているようにしか見えない。
「User Streams API」を8月16日に廃止された結果、ハイエンドユーザーに人気のTwitterアプリ「Tweetbot 4 for Twitter」は最新のアップデートでストリーミング含む一部機能の廃止を余儀なくされ、プッシュ通知も一部提供を終了せざるを得ない状況に。
案の定海外では「#BreakingMyTwitter」が盛り上がっているようで、Twitterの決断によってこれまで愛用していたサードパーティのTwitterクライアントが一斉に使えなくなっていることに対して不満を爆発させている。
このことについて、TwitterのシニアディレクターRob Johnson氏はTwitterとしての見解を発表。TechCrunchが従業員に充てられたメールの文面を公開し、その後公式ブログでも説明している。
それを読んでいると、Twitterは今回の決断を納得感のある説明をしているようには読み取れず、むしろ自ら自分の首を絞めているようにさえ見える。
何よりも、Twitterからサードパーティに対するリスペクトが全く感じられない。とても残念な気持ちになった。
Twitterはサードパーティアプリを何回も潰してきた
TechCrunchも本文内で指摘しているが、Twitterは従業員に宛てられた文面の中で「なぜTwitter純正アプリよりもサードパーティアプリを好むのかを理解する必要がある」と述べている。
これには声を出して笑った。これまで何回もサービスを買収しては潰してきたTwitterが、今回サードパーティアプリを自分たちの都合で潰して「理解する必要がある」と語っているのは最高にファニーだ。理解する前に潰してどうする。
Twitterは頻繁にサービスを使うユーザーを理解できていない
振り返ってみよう。「TweetDeck」は2011年5月に買収されたが、その2年後の2013年4月20日にはiPhoneアプリおよびAndroidアプリのサービスを終了して潰した。
Mac版のTwitter公式アプリは2018年2月に終了。終了理由を「一環したTwitter体験を提供するため」とし、ウェブ版を利用するよう、案内していた。
なぜ僕らがTwitter純正アプリよりもサードパーティアプリを好むのか。それは、恐らくTwitterがサードパーティアプリの提供するユーザー体験の魅力が全く理解できていないからだろう。
Twitter自身も自分たちの強みを見失っているようにさえ見える。個人的にはTwitter最大の魅力はリアルタイム性だが、Twitterは徐々にFacebook化しているように感じる。
その確固たる例として、タイムライン表示を時系列順ではなくアルゴリズム型に切り替えたことが挙げられる(オプトアウトすることも可能)。Macアプリを廃止し、ウェブを強要しているのもFacebookと同じだ。
一方、サードパーティアプリの大多数は時系列順にツイートが並ぶようになっている。なぜならTwitterはリアルタイム性が強みだから。
僕らはブラックボックス化されたTwitterのアルゴリズムに翻弄されたくない。時間という絶対的な基準に基づき、新しいツイートから順番に見たいのだ。
「サードパーティが多大な影響を与えた」としつつも、APIを廃止し切り捨てた
Twitterは、サードパーティがTwitterのサービスに多大な影響を与えてきた、と説明している。
TwitterのMac用アプリおよびiPhone用アプリはサードパーティ製だった。Twitterのミュート機能や、今やTwitterアプリに関わらず大多数のアプリが標準のUIとして導入している下に引っ張って更新する機能もサードパーティ製アプリがきっかけだった。
それにも関わらず、今回、サードパーティアプリが純正アプリと同等の機能が利用できないような状態にまで追い込んだ。サードパーティに対するリスペクトが微塵も感じられない。
サードパーティアプリの機能が「User Streams API」に依存していることを分かっておきながら、「1%未満の月間アクティブアプリで利用されているにとどまる」ことを理由として、廃止した。
一部の開発者の皆さんがお気づきのように、ストリーミング連携もしくはタイムラインデータに関する機能は廃止します。実際、こちらは1%未満の月間アクティブアプリで利用されているにとどまるため、本決定に至りました。
加えて、「その1%のためにこれらのAPIを置き換えるために投資するのは現実的ではない」と説明し、提供し続けることに対する金銭的な負担があることを示唆している。
では、なぜTwitterはその投資に必要な資金をAPIを必要としている1%から現実的な形で集めることを考えなかったのか。
例えば、APIを引き続き提供する代わりにTwitterのサードパーティクライアントにも広告の配信を義務付ければいい。または、APIの利用料をサードパーティアプリに請求し、サードパーティアプリがユーザーにその分を請求すれば良い。
「Account Activity API」は「User Streams API」の代わりになっているとは言い難く、導入費用も現実離れしている。よって、Twitterは「サードパーティアプリを”潰す”ことが目的ではない」と語っているものの、「User Streams API」に依存していたサードパーティアプリは実質”潰された”と言っても過言ではない。
Twitterの純正アプリが改善されることを期待するしかない
Twitterの「なぜTwitter純正アプリよりもサードパーティアプリを好むのかを理解する必要がある」という言葉は、本当に信用できるのだろうか。すでに切り捨てしまった今、とても理解しようとしているようには見えない。
ハードユーザーとライトユーザーはサービスの使い方が異なる。ライトユーザー向けのクライアントとして純正サービスを提供し続ければよかったものの、Twitterは強制的にハードユーザーの足場を破壊し、ライトユーザーと同じ環境を強要している。
Twitterはサードパーティに対するリスペクトもなく、ユーザーのことを考えてられていない。
僕は「Tweetbot 4 for Twitter」を愛用している。サービスの使い勝手が悪化したのは残念だが、これが現実。Twitter公式アプリの通知を有効化してこの状況に慣れるようにしよう。