【レビュー】WANDRD FERNWEH:大容量アウトドア・カメラバッグ
50リットルは普段使いにはオーバーサイズだが、カメラ機材+αが確実に収まるサイズに安心感あり
お気に入りのカメラバッグ「PRVKE 31」のメーカーが発表した、アウトドア向けのカメラバッグ「WANDRD FERNWEH」が手元に届いた。アウトドアとは縁のない生活をしているが、カメラ機材以外に多くの荷物を必要に応じて放り込める構造に魅力を感じ、Kickstarterで支援した。
普段使いには確実に大きすぎる50リットルという大容量で、カメラキューブを入れた状態で2.87kgもある重量級のカメラバッグだが、いざ使ってみると買ったばかりのcompagnon Element Backpackを上回る使い勝手の良さを実感した。
カメラ機材を背負ってアウトドアで過ごす機会が多い人、 f-stop TilopaやShimoda Action X50などの購入を検討している人は、WANDRD FERNWEHを候補に入れても良いだろう。
WANDRD FERNWEHのデザイン・機能
WANDRD FERNWEHは、MYSTERY RANCH 3Day Assault CLにカメラバッグを加えて大容量化したようなバックパックだ。主な特徴や機能は、以下のとおり。
- 複数の方向からアクセスできるメインコンパートメント
- バッグを肩に掛けたままカメラが取り出せるサイドポケット
- PC用ポケット
- 専用のハイドレーションポケット
- 複数のアタッチメントポイント
- 止水ファスナー
- 上下左右に持ち手
- 取外し可能なヒップベルト
- 調整可能な6点ハーネスシステム
中身は、1つの巨大なメインポケットを上下で分けて使用し、外側にハイドレーション専用のポケットが用意されている、という構造だ。メインポケットは、上、表、裏の3方向からアクセスできる仕組みで、スペースが不足する場合、バッグ外側にある複数のアタッチメントポイントと専用ストラップで取り付けることが可能だ。
本体は縦長のデザイン。167cmの僕が背負うと背中全体を覆うほどのサイズだ。中にはアルミフレームが入っており、630デニールのナイロン素材により型くずれしづらい。
サイドアクセス:肩にかけたままカメラが取り出せる
最も使用頻度が高いポケットは、カメラを素早くアクセスできるサイドポケットだ。compagnon Element Backpackと違い、サイドポケットがバックパックの左側にあるため、左肩に掛けながら右手で自然とグリップできる構造が素晴らしい。
すべてのファスナーはリング型プルがついているため、引っ張りやすい。
荷物が重い場合は片肩に掛けたまま荷物を取り出すのは大変だが、僕の経験上では10kg以下であれば全く問題ない。ただし周囲にぶつからないよう、注意が必要だ。
サイドポケットは、WANDRDの提供するカメラキューブと連携する仕組み。既製品はすべて互換性があるとメーカーは謳っているが、僕が試したところWANDRD PRVKE 31用のカメラバッグはサイズが一回り小さく、フィットが甘い。使えないことはないが、WANDRD FERNWEH用に用意された「Essential Deep」の購入がおすすめだが、PeakDesignのカメラキューブ(ミディアム)でも使えることが分かった。
サイドポケットの蓋にはカメラ用バッテリーを入れておく場所が用意。
メインポケット:カメラ機材をすべて見渡せる
メインポケットは、背中側(裏側)にあるU字型のファスナーを開くことでアクセスできる。ショルダーストラップと干渉しやすく開けやすいとは言い難いが、機材を見渡すことができる。
背中側が開くことで、バックパックを背負う部分を汚さずに済む。
このメインポケットは反対側(表側)からもアクセスできるが、カメラキューブを入れている場合、カメラキューブの底面にアクセスすることになる。僕はこの部分に資料やファイルなどを入れるスペースにしている。
また表側からは、カメラキューブの上にあるバケットシステムの中身にアクセスできるファスナーが用意されている。
バケットシステム:上部からアクセス可能な深いポケット
バケットシステムとは、カメラキューブの上にある取り外し可能なポケットを意味する。名前の通り、あれこれ荷物をバケツのように放り込める。
分厚いパーカーなどあらゆる荷物を収納する十分なスペースがある。この構造こそ、僕がWANDRD FERNWEHを気に入っている最大の理由だ。
compagnon Element Backpackのロールトップは、大きい荷物を入れると支える構造がないため安定しないことが分かった。縦長の荷物を収納できないという欠点もある。一方WANDRD FERNWEHは、バケットシステムによりカメラ機材の上に一般的なバックパック程度の荷物を入れられる。これはものすごく便利なのだ。
さらにバケットシステムの蓋には表側に1つの大型ポケット、内側に比較的広いメッシュポケットが用意されている。バッグの上部にあるポケットは、最もアクセスがしやすい。MYSTERY RANCH 3Day Assault CLで愛用していたポケット配置のため、ケーブル、タオル、ヘッドホンなど、アクセスする機会が多い小物を入れておくことができる。
バケットシステムのファスナーは止水仕様ではないが、上に浸水を防ぐヒダがついている。効果は十分ありそうだが、ファスナーの開け閉めはやりづらい。
ハイドレーションポケット:用途は自由
ハイドレーション用のポケットは、カメラ機材に影響するリスクを回避するため、バックパックの外側に独立している。
ハイドレーションを持ち運ぶことはない僕は、ハンドサニタイザーや携帯石鹸など、万が一漏れたら困るアイテムを入れている。薄い上着も入ることを確認した。
ノートPCポケット:16インチ型MacBook Proも入る
MacBook Proを必ず持ち運んでいる僕は、ノートPCポケットが欠かせない。WANDRD FERNWEHは、カメラ機材へアクセスする背面ポケットの蓋にPC収納用スリーブが用意されている。
固定する面テープは広い。16インチ型MacBook Proは少しはみ出るが問題なく収まる。
ペットボトル、三脚用ポケット:大容量で縦長
サイドポケットとは反対側(右側)には、ファスナー式の縦長ポケットがある。三脚またはドリンクを収納することを想定しており、JOBY ゴリラポッド 3K PROは余裕を持って収まる。
車のドリンクホルダーには収まらないSTANLEYの0.47Lボトルでも、問題なく持ち運ぶことができる。
ポケット内に収まらなかったとしても、左右にあるコンプレッションストラップを使用すれば一脚、三脚、スキー板など、長いアイテムを取り付けて運ぶことができる。
パスポート用隠しポケット
WANDRDは、旅行を想定したバックパックブランドだ。WANDRD PRVKE 31にもあったように、背面にパスポートを収納する隠しポケットがある。普段は現金などを入れておくといざというときに役立つかもしれない。
WANDRD FERNWEHのハーネスシステム、背負心地
WANDRD FERNWEHは非常に重いバックパックだが、その重さを全く感じさせないほど快適な背負い心地が魅力だ。本体にはアルミ製のフレームが入っており、肩および腰に重荷が分散しやすい構造になっている。
ショルダーストラップは非常に分厚く、肩のラインに沿うようなデザインになっている。チェストストラップは従来のバクル型ではなくクリップ型を採用。好みは分かれそうだが、僕は苦手だ。
ショルダーストラップの位置は3段階から調整でき、身長に合わせて変更する。アルミフレームが入っているからこそ、ロードリフターが背負心地に与えるインパクトは大きい。
バックパネルのクッション性は、購入したバックパック史上最も高い。最大限空気の流れを確保できるような構造を採用している。
ヒップベルトはバックパネルと変わらないクッション性を持つ。着脱可能だが、外さずに使うことを強くおすすめする。
ヒップベルトによる負荷の分散だけではなく、用意されているポケットの使い勝手が良い。僕はAirPods Pro、メガネ拭き、リップクリーム、目薬を入れている。
左右のハンドルは広めに取ってあり、キャリーバッグに通して使うこともできる。
WANDRD FERNWEHが意識しているであろう競合製品
WANDRD FERNWEHが意識している競合製品は、同じ50リットル容量のf-stop TilopaとShimoda Action X50だろう。
特にf-stop Tilopaとは構造が非常に似ている。強くインスパイアを受けながら、欠点を解消した作りになっている印象を受ける。ハーネスシステムはWANDRD FERNWEHのほうが本格的だが、そのお陰でf-stop Tilopaのほうが軽く仕上がっている。
Shimoda Action X50も似た要素を多数持つ。ノートPCポケットの位置、大型のドリンクホルダーポケット、サイドアクセスポケットは同じような構造だ。ショルダーストラップに大型のポケットが用意されており、バックパックを下ろさずに使用しやすそうだ。
WANDRD FERNWEHまとめ:大は小を兼ねる
WANDRD FERNWEHがあることで、何かと荷物がかさばる冬場の移動は、すべて背負えるようになった。常に両手が塞がっていない状態を保ちたい僕としては、大容量バックパックが性に合っているようだ。
より使い勝手を良くするために、Peak Designのキャプチャーを左側のショルダーストラップに取り付けている。本来であれば肩に近い位置に取り付けたいが、ストラップがあまりにも分厚いため、この位置になった。
本体の素材は頑丈だが、汚れが目立ちやすい。なお底面にはテントやヨガマットのような大物を固定できるストラップもある。雨よけカバー用ポケットはあるが、カバーそのものは同梱されていない。
WANDRD FERNWEHは到着が待ちきれずに、配送センターまで自ら迎えに行ってまで受け取ったバックパックだ。使い始めた直後は50リットルという大容量に怯んでしまったが、背負心地と使い勝手の良さに惹かれてすっかり気に入った。
アクティブに過ごせる世の中に戻った暁には、WANDRD FERNWEHを背負って旅をしカメラの腕を磨きたいと思う。
かもしれないですねwww
いつのまにか足腰の筋肉が鍛えられてそうですね!