大容量カメラバッグ「WANDRD FERNWEH」の良いところ、イマイチなところ
気に入ったところも多々あるが、「これはないだろ!」という点もちらほら すでにメーカーにフィードバック済み
僕がメインで使用しているバックパックは「WANDRD FERNWEH」。最大50リットル相当の荷物を収納できるカメラバッグだ。
購入してから約2ヶ月が経ち、たかが近くの公園に子供を連れて行くときでも背負って出掛けている。改めて気に入っている点が明確になったが、同時に不満も出てきた。
本記事ではWANDRD FERNWEH購入後2カ月で気づいた、良いところとイマイチなところを紹介する。大容量カメラバッグを探している人は参考にしてもらいたい。
WANDRD FERNWEHの良いところ・気に入っているところ
まずは気に入っているところをピックアップする。
背負ったときの見た目が格好良い
WANDRD FERNWEHの見た目が圧倒的に好みだ。上の方にある程度のボリュームがあり、下のほうが少しシュッとした逆三角形デザインが気に入っている。
通常はバックパックの下半分にカメラ機材が入れてあり、上半分にはほとんど荷物を入れていない。一般的には荷物が入っていない状態だと型崩れするが、WANDRD FERNWEHは形を保ってくれる。背負いたくなる見た目は重要だ。
カメラ機材を入れていても、上部に荷物がたっぷり入る
カメラユニットの上にあるスペースは、通常のバックパックに相当する容量があるだろう。A4サイズの書類やファイルが収まる高さだ。
通常は着替え、アウター、ジム用具を入れている。外出時は子どもたちのアウターやお菓子袋などを持ち運ぶ。
バックパック上部のポケットが超便利
バックパックは、小物のアクセスしやすさが需要。頻繁に取り出すアイテムは上部ポケットに入れることで、すぐに取り出せる。
上部ポケットは、MYSTERY RANCH 3Day Assault CLで最も気に入っていた構造の1つ。WANDRD FERNWEHが採用してくれたことで、普段用のバックパックとして使いやすくなった。鍵ホルダーが用意され、鍵を見失うこともない。
上部ポケットの裏側には、メッシュポケットが用意されている。アイテムの使用頻度によって使い分けることで、欲しい物が取り出しやすい。
ただし上部ポケットに重いものを入れると、型崩れが起きやすくなる。僕はなるべく軽い荷物を入れるように心がけている。
ハーネスシステムが最高
ショルダーパッド、バックパネル、背面パッド、ヒップベルトから成るハーネスシステムのフィット感は、僕にとって史上最高。多くのアドベンチャーフォトグラファーに支持されている、競合製品のShimoda Action X50も購入し試したが、結果的にWANDRD FERNWEHのほうが優れているという結論に至った。
ショルダーストラップは分厚く、肩を程よくグリップする。背面パネルにはアルミフレームが入っており、荷物を背中全体に分散し、大部分の重さをヒップベルトで支える。背面パッドにもクッション性があり、背中と密着したときのフィット感は抜群だ。
ハンドルが上下左右にあって持ちやすい
Shimoda Action X50を取り寄せて実感したWANDRD FERNWEHの意外な強みは、左右上下に持ち手があること。カメラ機材は背面側からアクセスすることが多く、背中部分を空に向けた状態に置くことが多い(上記写真)。左右上下にハンドルがあることで、バックパックを開いたまま簡単に持ち上げられるのだ。
上下のハンドル
左右のハンドル
Peak Designキャプチャの位置が意外と良い
カメラから手を離したいとき、Peak Design Captureがあると便利だ。メーカーは肩への取り付けを想定しているが、僕はショルダーストラップの腰に近い位置に付けている。ショルダーストラップが分厚く仕方なくこの取り付けたが、結果的に良かった。
Shimoda Action X50は肩に取り付けられるが、肩への食い込みが気になり、背負心地に影響があった。肩のほうが重さを感じづらく、カメラの安全性も高いが、僕は痛みに耐えられなかった。
ウェビングが多く、必要に応じてアレコレ吊るせる
バックパックのウェビングは、登山用、本格的、大袈裟、日常生活に不要と見られがちだが、バックパックから取り出す手間を省きたいものを常時ぶら下げておくには最適な仕組みだ。
僕はPeak Designのアンカーリングを取り付け、PeakDesign Cuffを設置。隣にZIP POCKET TENTEを適当なカラビナ風フックで取り付け、ティッシュを入れている。特にティッシュは常日頃から大活躍している。
ヒップベルトのポケット
WANDRD FERNWEHのヒップベルトは、フィット感だけではなく機能性にも優れている。一方はファスナー付きポケット、もう一方は伸縮性のあるポケットが用意されている。
ファスナー付きポケットは広さがあり、メガネ拭き、目薬、リップクリーム、AirPods Proを収納しているが、まだ余裕がある。単体ならiPhone 12 Proもケース付きで収まる。
ファスナー付きポケットは、Matador Nanodry Towl Smallを入れている。ハンドドライヤーや紙タオルもない場合、手を拭き取るために常備している。
WANDRD FERNWEHのイマイチなところ
続いてWANDRD FERNWEHを使って感じている不満を載せておく。これらはすべてWANDRD本社にフィードバックをしており、「今後の製品開発に活かしたい」として受け取ってもらっている。バックパックに人一番こだわりの強い1人のユーザーとして、意見に耳を傾けてもらえることは非常にありがたい。
背面アクセスのファスナーが開けにくい
最も致命的な欠点は、背面ファスナーが開けにくいこと。
WANDRD FERNWEHは、身長(胴体の長さ)に合わせてショルダーストラップの取り付け位置を調整できる。僕は想定身長の中でも低い部類に入るため、最も低い位置に取り付けているが、この位置は背面ファスナーに必ず干渉する。
ファスナーはリング付きで持ちやすいが、ファスナーがショルダーストラップに当たってしまう。ショルダーストラップを引き上げながら回すことで多少解消できるが、使い勝手は良くない。
胸ストラップの使い勝手が史上最悪
WANDRD FERNWEHのハーネスシステムは気に入っているポイントの1つだが、胸ストラップの機能と構造は最悪だ。従来のバックル型からクリップ型に変更されており、使い勝手は胸ストラップ史上最悪。使い度にストレスが溜まる。Shimoda Action X50を試すきっかけになったと言っても過言ではない。
この構造は、バックルが胸の中央に位置する不快感を解消することが目的とされているが、着脱がしづらくて発狂しそうだ。取り付けるのも一苦労だが、外すには小さいストラップを引き上げる必要がある。素手ならまだしも、アウトドアを想定したバックパックがグローブ付きでの操作を無視した構造にしたことは配慮不足と言わざるを得ない。
さらにクリップ型のため、胸ストラップの位置は固定されている。気分によって上下で細かく調整できず、位置を変更するには予め決まった場所に挿し込み、着脱を繰り返さなければならない。胸ストラップを常用していた僕にとっては最悪の機能だ。せめて中央にバックルがある胸ストラップを追加販売してほしい。
ショルダーストラップが外に開くため、ロードリフターの効果がやや甘い
ショルダーストラップの肩位置は、これまで使用してきたバックパックと比べて幅が狭い。背負うと外側に開いた状態で背負うことになり、場合によっては荷物がうまく身体の近くの寄せられない場合がある。
幸いにも頑丈なヒップベルトとアルミフレームにより、ほとんどの重さを腰で背負うことができるため、背負心地への影響は少ない。
必要以上に汚れが付きやすい
WANDRD FERNWEHは、驚くほどすぐに汚れる。拭き取れば済むが、気になる点ではある。
前面アクセスの存在価値がない
WANDRD FERNWEHは、あらゆる場所からバックパック内部にアクセスできる点が魅力だが、前面側のポケットは存在価値が全くない。
カメラ機材へアクセスするには、WANDRD FERNWEHの前面を床に置き、背面ポケットを開いて取り出す。前面ポケットにアクセスする場合、背面側を地面に置くことになり、体に密着する背負う面が汚れる。
仮にアクセスできたとしても、カメラユニットの裏側になり、ポケットとして意味がない。あっても困らないが、無くても良かったと思う。
専用のカメラキューブを使わないと使い勝手が悪い
僕はWANDRD FERNWEHをクラウドファンディングで支援し、購入した。カメラキューブはWANDRD PRVKE 31で使用していたWANDRD Essential Camera Cubeとも互換性があると記載されていたため購入しなかったが、サイドアクセスをフルに活かすのであれば、専用モデルを購入したほうが良い。サイズが全く異なるのだ。
専用モデルは、WANDRD Essential Camera Cube Deep。サイドアクセスのサイズを比較すると、全く別物であることが分かる。アクセスのしやすさも格段に良くなった。
カメラキューブの高さも異なる。WANDRD Essential Camera CubeではRF15-35mm F2.8 L IS USMがはみ出てしまう。
ところがWANDRD Essential Camera Cube Deepはジャストサイズ。確かに旧カメラキューブでも互換性はあるが、「バックパックのポテンシャルを活かせる製品」が存在しているのであれば教えてほしかった。
ハイドレーション用ポケットの用途が限られる
WANDRD FERNWEHの前面ポケットは、ハイドレーションを収納するための専用ポケット。ハイドレーションを持ち運ぶことはないため活用する方法を模索しているが、未だに見つかっていない。書類は入りそうで入らず、マチも意外とない。用途に困っている。
現在はカメラストラップや大きめのタオルを入れており、必要に応じてアウターなども入れることがあるが、可能であればもう少し活かしたい。大きいドリンクボトルなどはありかもしれない。
不満はあるが、非常に満足している
WANDRD FERNWEHの購入時は、バックパック全体の重さが不満だった。しかし公称値では数百グラム軽いShimoda Action X50と比べたところ、違いは誤差の範囲内。50リットルクラスとなれば2kg台後半になってしまうことは仕方ないようだ。
だとすれば身体との相性、重さをしっかりと支える構造、デザイン、機能性が自分にとって最もマッチする製品を選ぶべきだ。細かい不満点はあるが、WANDRD FERNWEHは今のニーズを最も満たしてくれるカメラバッグだ。今後もガツガツ使っていきたい。