当メディアのリンクにはアフィリエイト広告が含まれています

DREAME工場見学で衝撃「15秒で1台完成」の製造ライン、箱詰め後もランダム破壊テストで品質担保

中国本社で見た最先端製造現場:0.5%以下の故障率を実現する徹底した品質管理体制とは

Dreame Factory in China 04

今回、Dreame Technologyより中国本土にある本社ツアーに招待していただいた。2泊3日の日程の中で、すでに日本で販売開始しているX1 Air/X1 Slimや今後クラウドファンディングを開始予定のAqua10 Ultra Rollerなどを製造する工場を見学させてもらった。

僕にとって、生まれて初めて「工場」というものに足を踏み入れた。僕らの身のまわりのものの多くは中国で製造されていることは周知の事実。実際にどのような場所で、どのような人達が、どのような雰囲気で、どのように製造しているのか、実際に見ることができることに物凄く興奮していた。

15秒で1台が完成する驚異の組み立てライン

最初に僕らはオレンジ色の作業着を着るように言われた。これすらも興奮した。本当の工場に入るんだ、と。

中に入ると、青色の作業着を着た従業員がラインに並んでいた。ライン上にはそれぞれの持ち場に扇風機が置いてあり、シンプルなものから可愛いものまで、幅広く用意されていた。

DREAMEの組み立てラインは、アルファベットの「U」の形をしている。骨組みからスタートし、組み立て、箱詰め準備までを一列のラインで完結する仕組みだ。組み立て速度は驚異的である。最速で15秒、遅くとも1分以内に1台が完成する。

スタートアップ時点ではフレームしかない状態から、心臓や血液に例えられる内臓部品がライン上で次々と取り付けられていく。スタッフが行う主な作業は、完成品の部品を取り付け、部品のチェック、装着場所が正しいかの確認だ。配線の整理は組み立ての最終段階で行われ、スタッフにとっては「達成感がある」工程だという。

僕は中国語が全く分からないため、皆さんがどのような話をしていたのかは分からないが、特に「すごいウェルカム」という印象も受けなければ「あっち行け」という印象もない。「どこの誰だろうね」という雰囲気は感じたが、それは当たり前のことだろう。ただ来客は決して珍しいことではないようで、僕らのあとにも別の集団が工場見学をしにきていた。

Inside the DreameTechnology Factory 20

画像認識による徹底的な初期チェック

組み立ての最初のチェックポイントでは、写真を撮って異常の有無を全てチェックする。人間でいう健康診断やレントゲン撮影の段階に相当する工程だ。

画像認識によって、部品の位置、配線が正しいか、部品の動作状況などが全て確認される。異常がなければ青の表示で次の工程へ。不合格の場合は赤の表示となり、問題があった部署まで戻されてチェックが続けられる。

全ての掃除機には固有のナンバーが付与されており、問題箇所がすぐに特定できる仕組みになっている。NGが出た際は、どの部署に問題があるのか、異常コードがスクリーンに表示されるため、スタッフは即座に対応できる。

200以上の機能を2分半でテスト

組み立て終了後、製品はテストステーションに送られる。ここでは200以上の機能を約2分半でテストすることが可能だ。

テスト項目には、センサーの動作、水の入り具合、モーターのゴミ吸収能力などが含まれる。テストデータはスクリーンに表示され、通過は青、不合格は赤の文字で表示される。複数の機能を同時にテストすることで、時間的な効率化を図っているという。

Inside the DreameTechnology Factory 03

ハードウェアチェック後、製品は実際の場所で走行し、最終機能テストを行う。テストエリアには3段階の棚が設置されており、障害物認識や回避、ステーションへの帰還などの動作を確認する。最終機能テストエリアが別部屋で、異音を検知したらすぐに気づけるようになっているという仕組みには驚いた。もちろん人間の五感に頼っているという意味ではなく、「機械が見落とす」という限りなく低い可能性の中でもしっかりとミスやエラーに気づけるようにその状況にしている、ということであり、プロ意識の高さに感動した。

箱詰め後も続く厳格な品質管理

Dreame Technologyの品質管理で最も驚いたのは、箱詰め後の抜き打ち再テストだ。抜き打ちテストの存在には度肝を抜かれた。抜き打ちテストの頻度の高さもそうだが、10個の箱の中から毎回2個を取り出し、中身を全て破壊して最初からやり直すという徹底ぶりである。

再チェックモデルに問題が見つかった場合、そのラインの前後12個ずつ、合計36個全てをやり直さなければならない。万が一見つかったときに前後の製品もやり直すという徹底ぶりには驚きを隠せない。もちろんチェックするのは機械と人間の合わせ技だが、インセンティブや罰則、そしてチェック体制を組み合わせることで、絶対に不具合のある製品を出荷しない仕組みを構築できていることに感動した。本当に凄い。

それも「ハイエンドモデルだからもうちょっとちゃんとチェックしよう」というのではなく、全てのモデルで統一して行うという姿勢が素晴らしい。この厳しい体制は、ハイエンドモデルも低価格モデルも全て同一の基準で適用される。問題がなかった製品は、そのまま梱包ラインに戻され、販売される。

全体の故障率は0.5%以下にコントロールされている。これまでに20万台以上が出荷されているが、この低い故障率を維持し続けているという。

インセンティブとペナルティで品質を担保

Dreame Technologyは品質管理を徹底するため、インセンティブとペナルティの仕組みを導入している。走行テスト中に問題を発見したスタッフには高額なボーナスが支払われる一方、組み立て側でミスがあった場合は大きな罰を受ける。

システムによって担当者が把握できるようになっており、エラーが発生するとシステム上にマークが表示される。人間が常に監視する必要はなく、効率的な品質管理が実現されている。

24時間稼働、2000人が支える生産体制

工場は24時間稼働しており、昼番と夜番の両方のシフトがある。この工場エリア全体で約2000人の雇用があり、昼500人、夜500人、その他エンジニアなどが働いている。

Inside the DreameTechnology Factory 06

現場の作業員は主に派遣社員がメインで、エンジニアは正社員だが一部は本社に在籍している。新人のトレーニング期間は合計1週間。最初の3日間は自分でテストを行い、残りの4日間は先輩や指導員の指導を受けながら、実践を通じて全てを習得する。

この工場は、他社と比べるとだいぶ綺麗だそう。確かに工場内は綺麗だった。トイレも多数あり、男女でしっかりと別れていた。トイレの綺麗さは、自分が通っていた地元公立中学校のトイレと同じぐらい、という表現が最も近いと思う。

なぜ人間が多数必要なのか

ロボット掃除機の製造で、なぜこれほど多くの人間が必要なのか。理由は、DREAMEの製品ラインナップが多く、一つのラインで複数の製品を製造しているためだ。

Inside the DreameTechnology Factory 02

機械は固定的なプログラムであり、1時間以内に別の製品に切り替えるという指示に対応できない。しかしスタッフがいれば、30分以内に全ての製品に切り替えることが可能だという。機械は設置面積が大きく、場所的な要求が厳しいため、人間のように柔軟な作業の調整が困難だ。

生産ラインは改良されており、現在のDreame Technologyの出荷スピードは他のメーカーよりも圧倒的に速い。生産状況は看板にリアルタイムで表示され、本部にもデータが送信され、常時チェックされている。

12月までに新工場へ移転予定

現在の工場は、元々Dreame Technologyが借りていた場所だが、現在は完全に所有している。しかしこのエリアは面積が狭く、設置できる機械の数が限られているという課題がある。

Dreame Technologyは今年12月までに、新しい広大なエリアへ工場を移転する予定だ。新しい工場は、現在の複数の工場(Dreame Technology全体で5つほどある)をまとめて収容できるほど広大だという。移転により、機密性の確保や生産効率の向上が期待されている。

Dreame Technologyは掃除機だけでなく、クーラー、洗濯機、換気扇なども製造している。工場見学を通じて、今回の取材でも改めて見させてもらった「Aqua10 Ultra Roller」のような最先端ロボット掃除機が出来上がる仕組を見ることができた。そしてに何よりも1台が組み立つまでの脅威的なスピード、そしてその圧倒的な早さの中でも様々な時短テクニックと不具合検知システムが大量に組み込まれており「絶対に初期不良のある製品を送り出さない」という仕組み作りには心底感動した。

もっと読む

12本の記事を表示する
関連キーワード
公開情報
更新日2025年10月29日
執筆者g.O.R.i
コメント(0件)

コメントは承認後に表示されます。良識のあるコメントを心がけ、攻撃的な表現や他人が傷つく発言は避けましょう。なお、コメント投稿時に「利用規約」に同意したとみなします。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「家電製品」新着記事
トレンド検索