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Dreame幹部が語る「畳対応」の本気度:ユーザーの声を1カ月で製品化する驚異の開発体制

20万回転モーター、3年保証、水量調節技術で挑む日本市場攻略の全貌

Interviewing leaders of Dreame Technology 01

中国の掃除ロボットメーカーDreame Technologyは、日本市場を「全世界にとって非常に重要な市場」と位置づけている。同社のロボット掃除機・開発チームマネージャーMeng Ji(モン・カ)氏と、日本・韓国・オーストラリア経営戦略マネージャーであるMaggie Dai氏へのインタビューで明らかになったのは、日本のユーザーが製品の品質と細部に求める高い要求が、極致を追求するDreameの製品特性と高度に合致しているという点だ。

日本市場を重視する背景には、単なるビジネス戦略以上の意味がある。日本のユーザーが持つ厳しい目は、Dreameにとって製品をさらに進化させるための最高の試金石なのだ。

ユーザーの声を1カ月で製品化する開発体制

Dreameの開発スピードは驚異的だ。ソフトウェアで対応可能な機能であれば1カ月以内にOTAアップデートで実装し、小さな機能改善や部品追加なら3〜6カ月以内に対応する。全く新しいプラットフォームや大規模な要求でも、8〜12カ月以内に製品化できる体制を整えている。

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エリアマネージャーのMaggie Dai氏(写真中央)

この迅速な開発を支えているのが、各地域で展開されているVOC(Voice of Customer)プログラムだ。集中したフィードバックや不満点が見られた場合、開発チーム、セールスチーム、エリア担当者が共同で即座に問題解決に動く。実際、韓国で木製床での騒音問題が発生した際には、1カ月でOTAによる騒音低減を実現し、3カ月以内にはゴム素材や金型の設計変更まで完了させた。

日本市場に特化した4つの最適化

Dreameは日本のユーザーニーズに対応するため、製品の最適化を徹底している。特に注目するべき点は以下の4つだ。

静音性の追求

日本市場攻略の最重要課題の1つが静音性だ。日本のユーザーは騒音に対して特に敏感で、製品の動作音だけでなく、モップ洗浄時の音も含めて最高の静音性を実現することを長期的な開発方向としている。

臭い・衛生対策の徹底

日本のユーザーが高い要求を持つ臭気対策にも徹底して対応している。汚水タンクに銀イオン放出モジュールを搭載するなどの工夫を施し、清潔さを保つ仕組みを構築している。

清掃能力の強化

清掃能力への要求の高さに応えるため、特に床面のモップ掛け能力を強化したRローラー製品を日本市場向けに投入した。戦略的な製品展開だ。

海外メーカーが苦手とする「畳問題」に挑む

インタビューで最も興味深かったのが、畳への対応だ。ロボット掃除機は基本的に海外メーカーが多く、畳部屋という日本独自の環境に対応する製品が少ない。そこで僕から「Dreameの製品は畳に対応できるのか、最新モデルで水量調整は可能なのか」と質問したところ、驚くべき回答が返ってきた。

Interviewing leaders of Dreame Technology 02

Dreameは日本市場特有の小型住宅に対応した製品開発を進めており、特に畳の清掃という難題に本気で取り組んでいる。畳は大量の水を使用できないという制約があるため、次世代のローラー製品では水量調節技術を開発中だという。この技術により、内蔵機構で水量を制御し、汚染度の高いエリアでは水を増やし、水量をあまり必要としないエリアでは非常に少ない水での清掃を可能にする。アプリを通じてユーザーが3〜4段階で水量を手動調節することもできる予定だ。

3つの核心技術が生み出す圧倒的な性能

Dreameの全製品に共通する3つの核となる技術が、競合他社に対する優位性を生み出している。

毎分20万回転のモーター技術

モーター技術は、Dreame製品の心臓部だ。自社開発の毎分20万回転のモーターを搭載しており、この高速回転が強力な吸引力を実現している。

Motor Photo at dreame factory 01
毎分20万回転のモーター

しかしDreameはこれを限界とは考えておらず、スタート地点と位置づけている。今後の課題は、20万回転を超えることと、高速回転しながら騒音をコントロールすることだ。実用性を伴わない高回転数は意味がないという姿勢が、日本市場重視の戦略とも合致している。

人間のように動作するアルゴリズム

アルゴリズムは、製品の頭脳にあたる。このアルゴリズムと障害物回避技術を組み合わせることで、機械が人間のように動作し、スマート化を実現している。

正確な障害物回避技術

障害物回避技術は、アルゴリズムと合わせて製品のスマート性を高める重要な要素だ。正確なルート計画と障害物回避により、ユーザーの手間を最小限に抑えている。

Aqua10 Ultra Roller Dreame Flagship Robot Vacuum in China 13

ユーザー志向が生む独自機能

ペット機能や100℃の熱水殺菌機能など、Dreameのユニークな機能の多くは、ユーザーからのフィードバックと要望を出発点としている。1つの要望に対して、R&Dチームは10〜20種類の開発案を検討し、チーム内および市場検証を経て、最も最適な案を選択する仕組みだ。

この徹底したユーザー志向の開発姿勢が、Dreameの製品開発の速さと品質の高さを両立させている。

グローバル人材が支える開発力

Dreameの成功を支えているのは、製品だけではない。人材戦略も重要な推進要因だ。

創業初日から海外チームを構築し、全世界市場を志向してきた。製品開発の初期段階から各国の消費者ニーズを取り入れるため、海外チーム設立にあたっては、その地域のトップ企業(日本であればパナソニック、日立、ダイソン)から、新しいものを作りたいという志を持つ人材を積極的に採用している。また、現地企業の安定的な成長ルーティンを理解している人材も求めている。

従業員規模は約14,000人で、平均年齢は30代後半と比較的若い。会社の文化は若者の創造力を奨励しており、各国籍の社員が集まっているが、良い製品を消費者に提供したいという共通の目標を持っている。

日本市場攻略の切り札

Dreameは特に清掃能力において、他社に絶対に負けないという自信を持っている。最新製品は30,000Paの吸引力や、毛髪が絡まないブラシ機構などで業界をリードしている。

アフターサービスにも力を入れており、2023年1月から全ての新製品に対してメーカー3年保証を付けている。これは通常1年の他社メーカーと比較して非常に長い保証期間だ。日本の顧客の要求に応えるための施策であり、製品への自信の表れでもある。

短期・中期・長期の製品展開ロードマップ

今後の展開として、短期(1〜2年)ではロボット掃除機、スティック型掃除機、水拭き掃除機など、地面清掃領域の製品ラインナップを拡大する。中期(2〜3年)では大型家電、除湿製品、空気清浄機などの製品を日本市場に導入し、消費者ニーズのテストを行う予定だ。長期(3〜5年)では、中国市場における新エネルギーや自動車領域での技術的優位性を活用し、関連製品やモジュールを日本市場へ展開する計画だ。

グローバルリスクへの備え

Dreameは、米国の関税問題などの政治環境を事前に予測し、生産拠点の移転を前もって行った。現在、製造工場の一部は中国国内だけでなく、マレーシアやベトナムにも設置されており、関税リスクを軽減している。この先を見据えた経営判断が、グローバル展開を支えている。

「夢」を追求する企業文化

社名「Dreame」は、CEOが清華大学時代に設立した「天空工場」クラブでの経験に由来する。CEOの元々の夢は飛行機を作って空を飛ぶことだったが、その夢を実体のある企業へと引き継ぎ、ロマン主義的色彩を持って、夢の実現を目指す文化を社員にも奨励している。

日本の消費者へのメッセージ

研究チームマネージャーからは「Dreameというブランドをより知って、使っていただき、良い声でも悪い声でもどんどん聞かせてほしい。生活や製品に対する期待を教えてください。私たちが実現するのを手伝います」とのメッセージが送られた。

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開発チームマネージャーMeng Ji氏(写真左)

エリアマネージャーからは「皆様一人ひとりの夢を叶えるために、Dreameは存在しています」という言葉で締めくくられた。日本市場への徹底したこだわり、ユーザーの声を即座に製品に反映する開発体制、3つの核心技術による圧倒的な性能、そしてグローバルな人材による創造力。Dreameは、日本のユーザーが求める品質と細部へのこだわりに真正面から応えようとしている。

静音性、衛生対策、畳対応など、日本市場特有のニーズに対する製品最適化は、単なるローカライゼーションを超えた、日本市場への本気度の表れだ。VOCプログラムによる迅速な開発体制により、ユーザーの声が1カ月から数カ月で製品に反映される仕組みは、他社には真似できない強みとなっている。

3年保証という長期保証と、清掃能力における絶対的な自信。Dreameは日本市場において、単なる中国メーカーではなく、日本のユーザーに寄り添い、共に製品を進化させるパートナーとしての地位を確立しようとしている。

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更新日2025年11月08日
執筆者g.O.R.i
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