Apple創業50周年に、日本とAppleの歩みを振り返ってみた
初代Macより先に日本法人ができていた事実、Suica対応の感動、渋谷の冷たい路面で過ごした行列の夜——1人のAppleファンの記憶と記録
2026年4月1日、Appleは創業50周年を迎える。1976年にスティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアック、ロナルド・ウェインの3人がガレージで始めた会社は、半世紀を経て世界で最も影響力のあるテクノロジー企業になった。
iPhoneは知っている、AirPodsも持っている、でもAppleのことはよく知らない——そんな人にこそ知ってほしい、Appleと日本の歩みがある。意外と知られていないが、Appleにとって日本は特別な市場だ。その歴史を紐解きながら、僕自身の体験を交えて振り返ってみたい。
初代Macより先に、日本法人はできていた
Appleが日本にオフィスを開設したのは1983年。初代Macintoshの発売が1984年だから、製品が届くよりも先に日本市場への布石を打っていたことになる。
それだけではない。2003年にオープンしたApple 銀座は、米国以外で初めてのApple直営店だ。世界中のどの国よりも先に、日本が選ばれた。Appleの日本に対する本気度は、この2つの事実だけで十分に伝わると思う。
2022年のAppleの発表によると、日本のサプライヤーは約1,000社、過去5年間の支出は総額1,000億ドル以上。日東電工の偏光板やカシューのコーティングなど、日本の”匠の技”がApple製品を支えている。横浜にはテクノロジーセンターも設置されており、Appleが日本で支える雇用は100万人超だ。
Appleにとって日本は単なる「売れる市場」ではなく、一緒にものづくりをするパートナーなのだと思う。
電車の中が、iPhoneだらけになった日
「Appleが日本に浸透したな」と僕が実感したのは、年表上の出来事ではなく、日常の風景が変わった瞬間だった。
電車に乗っても、どこを見ても丸いホームボタンがついている画面を持っている人ばかり。気づけばみんなの耳からAirPodsが生えている。テクノロジーの一般化を測る僕なりの基準は、母親や妻が当たり前のように使うようになったかどうかだ。父親の影響も大いにあったものの、母親がガシガシとiPhoneを使っている姿を見ていると、iPhoneって使いやすいんだなと改めて思う。
日本は「へぇそれ使ってるの?じゃあ僕も!じゃあ私も!」という流れが顕著に出る国だと思っていて、それが結果的に世界から「異常」と言われるほど高いiPhoneシェアに繋がっているのではないかと考えている。でもこれ、悪いことではない。「この使い方が分からない」という悩みに対して、同じiPhoneを持っている近くの人からすぐに助けてもらえる。僕自身も母親のiPhoneをサポートすることは多々あるので、iPhone使いで助かっている。
Suicaが、ガラケー時代を”終わらせた”
2016年に発表されたiPhone 7のSuica対応は、かなり歴史的な瞬間だったと思う。後にTim Cook氏も日本を訪れ、実際にApple Payを体験している。京都の伏見稲荷を見学し、任天堂本社を訪問した後、新宿から原宿までJRで電車移動。世界トップ企業のCEOがわざわざ電車に乗った理由は、Apple Payを試したかったからだ。
JR改札をiPhone 7で通る瞬間はBuzzFeed Japanのカメラに捉えられ、表参道では気さくに通行人のセルフィーやiPhoneへのサインに応じていた。あのシーンは、AppleのCEOが自ら日本の日常に飛び込んだ象徴的な出来事だったと思う。
来日中のAppleCEOティム・クックがJRでApple Pay使ってる!これからBuzzFeed Japanが密着します #TimInJapan pic.twitter.com/4dceHFZkoy
— BuzzFeed Japan (@BuzzFeedJapan) October 13, 2016
僕の中では、ガラケーに初めて赤外線機能が搭載されてテレビのリモコンを操作できるようになった時と同じような感動があった。あれが1つのターニングポイントだと勝手に思っていて、「じゃあガラケーもういいや」の決定打になった人も多かったのではないだろうか。
今となってはあらゆる交通決済系も対応し、さらにコロナ禍を経てQRコード決済も大流行。PayPayもなくてはならない存在になり、世の中はぐっと変わっていった。あの改札のタッチから、すべてが始まったと言っても過言ではないと思っている。
「賞を取ったらMacにしてください」
Mac率の向上も、体感として記憶に残っている。会社員時代、僕はどうしてもMacが使いたくて、当時の上司に「僕がこの賞を受賞できたら、社内パソコンをMacにしてください」と直談判した。無事表彰され、無事Macを使わせてもらうことができた。
実はその後、その上司もMacBook Airの11インチモデルに乗り換えていた。「小さくて軽くて、家に仕事を持ち帰るときに便利」と嬉しそうに話していたのをよく覚えている。そこからどんどんと社内Mac率が上がっていき、今となってはMacは比較的ハードル低く選べる存在になった。
渋谷の冷たい路面と、ハイタッチの高揚
Apple Storeでの行列には、いくつかの思い出がある。iPhone 5sとiPhone 5cを買うために徹夜して並び、結局購入できなかったことは今でも忘れられない。午前休を取ったにもかかわらず手ぶらで諦め、午後から会社に向かった。渋谷の冷たい路面の上にひたすら座って待ったあの記憶。あれは本当に辛かった。
その数年後、Apple 表参道のグランドオープンでは全く違う体験をした。朝7時半頃に到着した時点で前に約300人、開店前には約1,000人にまで膨れ上がっていた。炎天下で2時間以上待ち、Appleが水や日傘を配ってくれた。
オープンの瞬間、青いTシャツの店員が猛ダッシュでハイタッチしに来るあの演出。思わずピョンピョン飛び跳ねながらハイタッチしてしまった。先着5,000名限定のオリジナルTシャツももらえて、Angela Ahrendts氏やSteve Cano氏などApple幹部も来店していた。渋谷の路面で味わった絶望とは真逆の、お祭りのような高揚感だった。
一方で、iPhone Xの発売日に行列を見に行ったときは、少し複雑な気持ちになった。Apple 渋谷では21時30分時点で108〜115人、Apple 表参道では22時34分時点で約300〜305人が並んでいたが、最大の特徴は日本語がほとんど聞こえなかったこと。行列のほとんどが外国人で、先頭集団の一部にはスポーツ新聞を読んで時間を潰す方々もいた。「行列ができている、という事実以外は失敗」——あの時、率直にそう感じた。

iPhone X発売日前日のApple表参道

iPhone X発売日前日のApple表参道

iPhone X発売日前日のApple表参道
行列文化も時代とともに変わる。でも仲間とワイワイしながら待つ時間は、やっぱりプライスレスだと思う。
フリック入力を考えた人は天才だ
日本語入力、正確に言うとフリック入力は本当に凄い発明だ。あれを考えた人は天才だと思っている。
フリック入力があったからこそ、英語のジェスチャー入力が誕生したと考えると、「タッチデバイスでも高速かつ正確に文字を入力できる」という仕組みを生み出した功績は計り知れない。日本発のイノベーションが、グローバルなモバイル体験に影響を与えた。Appleと日本の関係は、一方通行ではないのだ。
50年目の今、次の50年へ
2026年4月1日、Appleは創業50周年を迎える。Appleは「Think Different」を体現してきた50年間を振り返る記念イベント「Thinking Different for 50 Years」を世界各地で展開中だ。Tim Cook氏は「ほかとは異なる発想を貫く精神は、いつもAppleの中心にありました」と語っている。
日本でも動きは加速している。Apple Intelligenceの日本語対応は2025年4月に開始済み。新たなApple Storeの計画も進んでいる。50年前のガレージから始まったAppleは、日本の日常風景を確実に変えてきた。
電車の中の丸いホームボタン、耳から生えたAirPods、改札でかざすiPhone、カフェで開くMacBook。日本の日常には、もうAppleが当たり前のように溶け込んでいる。
次の50年、Appleと日本はどんな景色をつくっていくのだろう。1人のAppleファンとして、それがとても楽しみだ。
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