AndroidがiPhoneより47%速い? Googleがベンチマークで”最速”を主張するも、業界ではスコアの信頼性に疑問の声
ハードウェア・OS・ブラウザの垂直統合でウェブ性能を大幅改善。しかしベンチマークブースト問題が再燃する皮肉なタイミング
AndroidとChromeの組み合わせが、モバイルウェブブラウジングにおいて”最速のプラットフォーム”になったとGoogleが主張している。9to5Googleによると、最新のAndroidフラグシップ端末がウェブパフォーマンスのベンチマークで新記録を樹立したという。
この主張の根拠として使用されているのは、SpeedometerとLoadLineの2つのベンチマークだ。非Android端末(つまりiOS)と比較して、最大47%高いスコアを記録したとしている。
ウェブ性能を測る2つの指標
Speedometerは、ウェブブラウザ上でのユーザー操作をシミュレートし、インタラクションの遅延を計測するベンチマークだ。ReactやAngular、jQueryなどの主要なウェブフレームワークを用いて、ToDoアプリやテキストエディタ、チャートの描画、ニュースポータルの模擬環境などを再現する。すべての主要ブラウザエンジンの開発元が使用しており、高スコアは「タップ、スクロール、入力操作の滑らかさ」に直結するという。
一方のLoadLineは、ChromeチームとAndroidチームがSoCメーカーやOEMパートナーと共同開発した新しいベンチマークだ。リンクをタップしてからページが表示されるまでの完全な読み込みプロセスをシミュレートする。従来のベンチマークが合成的なタスクに焦点を当てがちなのに対し、LoadLineはショッピングサイトや検索エンジン、ニュースポータルなど、実在するウェブサイトの記録済みデータを使用している点が特徴的だ。
ハード・OS・ブラウザの垂直統合が鍵
Googleはこの高パフォーマンスの要因として、ハードウェア、Android OS、Chromeエンジンの「深い垂直統合」を挙げている。Chromeエンジンとは、Chrome for Androidブラウザに加え、Androidアプリの90%以上が利用しているWebViewも含まれる。
SoCやOEMパートナーと協力し、Chromeやカーネルスケジューラのポリシーを最適化。パートナー各社にはSpeedometerとLoadLineを基準にデバイスのチューニングを推奨しているという。
その結果、一部のAndroidフラグシップ端末ではSpeedometerとLoadLineのスコアが前年モデルと比較して20〜60%向上した。ユーザー体験に換算すると、ページ読み込みが4〜6%高速化し、高パーセンタイルのインタラクションが6〜9%速くなっているとのことだ。
ベンチマーク結果をどう見るべきか
注意すべき点は、Googleが比較対象として挙げた「非Android端末」の具体的な機種名を公表していないことだ。「3台の非公開のAndroidフラグシップ端末」と「競合するモバイルプラットフォーム」としか記載されておらず、iPhoneとの直接比較であることは明言されていない。またSpeedometerはあくまで合成ベンチマークであり、実際の使用感とスコアが完全に一致するとは限らない。LoadLineもGoogle自身が開発に関わっている点は考慮すべきだろう。
折しもスマホ業界では「ベンチマークブースト」問題が再燃している。ガジェット系YouTuberのさいちょう氏が、中国ZTE傘下のnubia Technology製ゲーミングスマホ「REDMAGIC 11 Pro」のレビュー中に、ベンチマークアプリの起動を端末側が検知し、通常では再現不可能な過剰ブーストがかかる疑惑を動画で告発。3DMarkの提供元であるUL Solutionsの協力のもと、OS側がベンチマークを検出できない「ステルス版」との比較検証で、スコアの大幅な乖離やGPU温度100度超えなどの異常な挙動を確認したと報告している。
この動画は公開2日間で53万回以上再生され、大きな波紋を呼んだ。登録者数40万人を超えるガジェット系YouTuberのワタナベカズマサ氏は、AnTuTuやGeekbench、3DMarkなどすべてのベンチマークアプリによる性能測定スコアの公表を廃止すると宣言。「ベンチマーク測定は果たして意味があるのか」という議論がスマホ業界全体に広がっている。
Googleが今回ベンチマークスコアを根拠にAndroidの優位性を主張するタイミングとしては、やや皮肉な状況と言えるかもしれない。とはいえ、ハードウェアからソフトウェアまでの一貫した最適化によるパフォーマンス向上自体は、Androidユーザーにとって歓迎すべき進化であることに変わりはない。
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