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iPhone XS / XS Max レビュー

洗練された"S"モデル 地味な進化だがカメラ性能は劇的に進化

2018年にAppleが発表したiPhoneのハイエンドモデルは「iPhone XS」と「iPhone XS Max」だ。ハッキリ言って目新しさに欠ける。何が新しくなったのか、よく分からない人も多いだろう。

結論から言うと、「A12 Bionic」というパワフルなプロセッサが搭載され、カメラ性能が地味ながら改善された。おそらくiPhone史上、前年のモデルからの進化が最も地味な年かもしれない。

ただ、そのカメラが地味ながら大きく進化している。暗所撮影能力が強化され、広角の画角が広がり、2018年モデルでしか利用できない進化したポートレートモード、深度コントロール、スマートHDRという新機能が用意されている。

2018年のiPhoneが「買い」かどうかは、最新モデルのカメラ性能がどれほど魅力的に感じるか次第。また、iPhone史上”マックス”なサイズと重量というメリットとデメリットを兼ね揃えたモデルが自分にとって必要かどうか。

今回、奮発して両モデルを購入し、どちらも一定期間メイン端末として使ってみた。その経験を踏まえ、iPhone XS」と「iPhone XS Max」を選ぶ上で考えるべきこと、旧モデルと比較すると分かる劇的に進化したカメラ性能を中心に細かくレビューしたので、購入を検討している人は参考にどうぞ!

サイズ感と外観:デザインで見る旧モデルとの違い

IPhone XS XS Max Review 10

iPhone XS」のデザインは「iPhone X」を踏襲している。そのため、「iPhone XS」と「iPhone XS Max」はある意味”体格差のある一卵性の双子”ととも言えるだろう。

実は、「iPhone XS」と「iPhone XS Max」の違いはディスプレイ、サイズ、バッテリーだけなのだ。並べてみるとTrueDepthカメラが内蔵されている切り欠き(ノッチ)も全く同じ大きさだ。

Iphone xs and xs max review 24

同じ「A12 Bionic」チップを搭載し、RAMも4GB。カメラも縦並びのデュアルレンズで仕様に差異はなく、ディスプレイもサイズ差はあれどどちらもピクセル密度は458ppiの有機ELディスプレイを採用。物理的に大きい分、より多くの電池容量を搭載することができるiPhone XS Max」の方が電池持ちが約1時間長い(※インターネット利用に限定した場合)。

ディスプレイそのものは「iPhone X」から進化した。Appleによると、iPhone X」と比較して60%広いダイナミックレンジをHDRの写真で実現していると説明している。

正直なところ、撮影している写真を見返している限り、「言われてみればこっちの方が綺麗かも?」と思える程度の差だったが、日々消費しているコンテンツの大部分をiPhoneで見ているのでディスプレイが改良されることはありがたい。

また、防水性能がIP67からIP68に向上している。これは、最大30分間耐えられる水深が最大1メートルから2メートルに増えたようだが、Appleは海水、ビール、ワイン、オレンジジュースなどでその性能を検証しているとのこと。

依然として水濡れによる本体の故障は保証対象外ではあるが、防水性能が向上したことにより故障する可能性が低くなったと思えば安心感が少しばかり増す。

とは言え、外観は一見全く同じに見えるが、異なる点がいくつか存在する。

「iPhone XS」:「iPhone X」との違いは?

IPhone XS XS Max Review 01

iPhone XS」の底面を見ると左右のスピーカーグリルが左右非対称になっている。アシンメトリーの理由は一方に追加されたアンテナラインだ。「iPhone X」のスピーカーグリルは左右対称だった。

これは最新モデルが「4×4 MIMO」に対応し、「ギガビット級LTE」と説明している超高速通信を実現するために左右非対称にしたと考えられる。

IPhone XS XS Max Review 24

カメラの上部にも同じくアンテナラインが追加され、アルミフレームには合計6本の切り込みが入っていることが確認できる。

IPhone XS XS Max Review 25

カメラ周りも「iPhone X」とわずかにに違いがある。「iPhone X」のケースを「iPhone XS」に装着するとレンズの下部がケースに当たっている。

左:iPhone X / 右:iPhone XS

カメラ周りをジャストフィットするように設計されている「iPhone X」用ケースは「iPhone XS」で使用できない可能性の方が高いだろう

「iPhone XS Max」:サイズ感はiPhone 8 Plusとほぼ同じ

iPhone XS Max」はiPhone 8 Plusとほぼ同じサイズだ。数値では小さくなっているが、その差はもはや誤差だと思った方が良い。手に持った時のサイズ感はハッキリ言って全く同じだ。

iPhone XS Max iPhone 8 Plus
  • 高さ:157.5 mm
  • 幅:77.4 mm
  • 厚さ:7.7 mm
  • 高さ:158.4 mm
  • 幅:78.1 mm
  • 厚さ:7.5 mm

外観のデザインは、「iPhone XS」と同様にスピーカーグリルが左右非対称になり、上下に追加されたアンテナラインで合計6つの切り込みがステンレススチールフレームにある。

IPhone XS XS Max Review 29

IPhone XS XS Max Review 30

iPhone 8 Plusと比較すると、フレーム部分がアルミニウムからステンレススチールになっていることによって高級感が出ている。背面は引き続きガラスを使用しているが、色味はわずかに異なるような印象を受ける。

そのサイズ感は名前の通りマックスだ。マキシマム、いわば最大級だ。

写真で見ると「一回り大きいぐらいか」と思う人もいるかもしれないが、実際に手に持ってみると前面がすべてディスプレイということもあり、1枚の巨大な画面を握っている気分になる。そして画面の大きさ、広さ、明るさ、ビビッドさに圧倒されるだろう。

ただ、ディスプレイに圧倒されるのは、ものの数分間だけ。一瞬だ。「あ、そうか。Plusサイズと同じなんだ」と気付く頃には違和感は感じなくなっているはずだ。

それでも「iPhone X」よりも縦横ともに大きくなったディスプレイで見るコンテンツは迫力がある。元々PlusサイズのiPhoneに慣れている人にとっては本体サイズに違和感もないだろう。

IPhone XS XS Max Review 38

より大きくより美しくなったディスプレイ、音量が増したスピーカーで視聴する動画は、「iPhone X」を1年間使ってきた僕でも思わず「良いなあ」と口に出してしまうほど。

動画はもちろん、一度に表示されるコンテンツ量が多いので、ブラウジングやSNSも格段に見やすくなる。横幅が増えるため横一列に表示される文字や画像が少し増え、縦幅が増えるためスクロールせずに表示できるコンテンツ量が増える。

IPhone XS XS Max Review 37

iPhone X/XS」と「iPhone XS Max」を比較しても、やはり「iPhone XS Max」の方が表示できる情報量は多い。

カメラ性能:暗所や明暗差が激しい環境での撮影が目に見えて改良

IPhone XS XS Max Review 15

iPhoneのカメラは毎年進化し続けているような印象を受けるが、「iPhone XS」は思わず友達に自慢したくなるような写真を撮ることができる。何がすごいのか、簡単に説明しておく。

暗所撮影が改良:イメージセンサーのピクセルが32%大型化

「iPhoneのカメラは暗所に強くなった」とアップデートされる度に言われているが、Daring FireballがAppleに確認したところ、「iPhone XS」はイメージセンサーのピクセルが32%も大きくなっていることが判明。

その結果、50%も多くの光を取り込めるようになり、暗所にも劇的に強くなっている。この効果は実際の作例を見れば一目瞭然だ。

広角レンズ:従来より画角がより広角に

実は「iPhone XS」の外向きカメラは、望遠カメラは「iPhone X」と変わらないが、広角レンズは焦点距離が28mmから26mm(35mm換算)に変わった

数字が小さくなっているということはより広い画角で写真を撮ることができることを意味し、同じ場所から撮影するとより広い範囲が撮影できるようになる。

例えば、集合写真を撮る時に「端の人、もっと内側寄って!」と言わなくて済むようになり、風景写真を撮る時には目の前にある壮大な景色をより広い範囲で撮影することが可能になる。

実際に暗い店内の居酒屋で集合写真を「iPhone XS」と「iPhone X」で撮影してみた。写真の色味はもちろんのこと、「iPhone XS」で撮影した写真の方が左右に余裕があることが分かるだろうか。

また、後ほど解説するが、「スマートHDR」のお陰で「iPhone XS」で撮影した集合写真には「iPhone X」にあるような白飛びもなければ黒つぶれも少ないことが分かるはず。

進化したポートレートモードと深度コントロール

iPhone XS/XS Max」発表時に最も盛り上がった瞬間の1つは、ポートレートモードで撮影後、深度(f値)を調整して背景のボケ味を変更できる新機能「深度コントロール」だろう。

Using Depth Control

一眼レフカメラのように背景をしっかりとぼかして被写体に視線が集まるような写真を撮る機能である「ポートレートモード」が強化された。より背景をぼかしたい場合はf値を下げ、より背景にピントを合わせたい場合はf値を上げることで好みの写真に調整することが可能になる。

実際に試してみた感想としては、楽しいが極端にf値を下げすぎると被写体が逆に浮いて不自然に見えるような印象を受けた。初期設定はf4.5に設定されているが、恐らくこの値が最も自然かもしれない。

参考に、夜の渋谷駅で撮影したf1.4にした写真とf16にした写真を並べておく。

ポートレートモードの標準設定であるf4.5で撮影した場合の状態が下記。この設定の方が自然であるようには見えるが、このシーンに限っては背景がごちゃごちゃしているため、あえてf1.4まで下げて背景を可能な限りぼかした方が良いかもしれない。

Photo samples taken by iphonexs 02

試しに「Canon EOS 5D Mark IV」でシャンプーを撮影した様子を比較してみた。

iPhone XS」の写真は加工せず、f4.5の設定で書き出し。「Canon EOS 5D Mark IV」は可能な限り色味を調整し、f4、1/160、ISO1000で撮影している。

やはり一眼レフカメラと比較するとノズル部分などがボケてしまうなど、従来のポートレートモードにおける弱点は相変わらずあるが、ボケ味の再現性は高いように感じる。さすが一眼レフカメラを研究しただけはある。

将来的に深度コントロールはソフトウェアアップデートで撮影している時にリアルタイムで変更できるようになる。

スマートHDR:「iPhone XS」最大の魅力・強み

もちろん、深度コントロールは魅力的で楽しい機能ではあるが、個人的にはそれよりもAppleが「スマートHDR」と呼んでいる、進化したHDR機能こそがiPhone XS」の最大の魅力であり、強みだと思う。

例えば、窓の奥に映る青空と手前にあるサボテンをどちらも映したい場合、「iPhone X」で撮影すると窓の外が白飛びしてしまうが、「iPhone XS」であればサボテンも窓の外も綺麗に撮影できている。これが「スマートHDR」の魅力なのだ。

HDRとは
HDRとは、「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称。ざっくり言うと明るさの異なる設定の写真を一度に撮影し、撮影後に合成することによって、より広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)を表現できる技術。

一般的には暗いところで撮影する場合、暗い場所にピントを合わせることによって写真全体を明るくすることができるが、すでに明るかったところは白飛びしてしまう。逆に明るいところに合わせると暗い場所がさらに暗くなってしまう。

「スマートHDR」を利用すれば、従来のiPhoneが苦手とするような条件下でもシャッターを押すだけで撮りたい絵が撮れるようになる。「明るいところも綺麗に撮りたいけど、暗いところも綺麗に撮りたい」という欲張りさんが、理想に近い写真が撮影できるようになるのだ!

「スマートHDR」は、従来の「自動HDR」に「A12 Bionic」の処理性能を掛け合わせた結果、生まれたマジック。ニューラルエンジンとカメラシステムの中核となる画像処理プロセッサISP(Image Signal Processor)と連携し、露出、ホワイトバランス、ピント合わせ、ノイズ除去、トーンマッピング、ハイライト、合成、顔認識、セグメンテーションなどを行うことで、今までにない美しい写真を撮影可能にしている。

上記を踏まえた上で、様々な条件で撮影した「iPhone XS」「iPhone XiPhone 8iPhone 7の写真を比較したので、参考にしてほしい!

「iPhone XS」「iPhone X」iPhone 8iPhone 7の写真を比較する

まずは最も違いに驚いた「みなとみらい」の夜景を撮影した写真からご覧いただこう。一見それほど差があるようには見えないかもしれない。

ところが、ズームインするとその差が明確にあることが分かる。iPhone XS」は窓の枠や小さい建物の照明まで比較的ハッキリと写っているのに対し、「iPhone X」では白飛びしてしまい、ボヤケている。個人的にはiPhone 8と「’iPhone 7」は奮闘したと思ったが、やはり「iPhone XS」の細かさは表現できていない。

続いて最近オープンしたばかりの「渋谷ストリーム」を撮影した写真を載せておく。「iPhone XS」のみ、左側にある緑色に光っているガラスのビルが白飛びしていない他、写真中央にある青い光が集まっているエリアが白飛びしていない。昨年の「iPhone X」でさえも白飛びしてしまっている。

天気が良い屋外での写真でも「iPhone XS」の進化したカメラは力を発揮する。「iPhone 8/8 Plus」のレビュー記事でも登場して頂いたフリー素材モデルMax_Ezaki(@Max_Ezaki)さんを逆光で撮影したところ、「iPhone XS」のみ青空も青色のスーツもMax_Ezakiさんの肌色も再現することができている。

残念ながらフレア・ゴーストは「iPhone XS」を含むすべての機種で写ってしまっている。iPhoneぐらいであれば人工知能とソフトウェア処理で軽減することもできそうな気もしてしまうが、いまだに改善されていない。

真っ暗な環境でiPhoneのLEDライトで照らしたMax_Ezakiさんを撮影してみたところ、やはり白飛びの差は歴然。

内向きカメラも比較してみた。「iPhone XS」と「iPhone X」はポートレートモードを有効にしている。

内向きカメラは2倍高速になったセンサーが搭載されているが、シャッターボタンを押した際のレスポンスが早くなったこと以外、大きな差は感じられなかった。

ただし、自宅で自分を撮影してみたところ、「iPhone XS」の内向きカメラは「iPhone X」の内向きカメラと比較して肌の描写が滑らかになっていることに気がついた。僕が長年悩んでいる頬のニキビ跡が「iPhone X」ではしっかりと撮影されているが、「iPhone XS」では目立たなくなっている。

調べてみると同様の指摘がRedditでも挙がっている。特定の条件下でチューニングを行うようにしているのかもしれない。

多くの人が各々の写真アプリでゴリゴリに加工していることから、この程度であれば許容範囲。むしろ、僕としては歓迎したいところだ。

最新のプリクラのような豹変加工ではなく、詐欺呼ばわりされない程度に自分の肌が綺麗に整うのであれば、男性としても積極的に活用したい。娘とツーショットを撮る時、肌が綺麗に撮れている方が良いに決まっている!

「iPhone XS」のカメラの実力を体感できる作例

以下に「iPhone XS」で撮影した写真を載せておく。iPhoneがコンデジを超える、iPhoneがあればカメラは要らない、と言われて何年も経つが、目に見えて暗所に強くなったことによってその言葉が以前より現実味を帯びてきたようにも思える。

IPhone XS XSMax photo sample 42

IPhone XS XSMax photo sample 39

IPhone XS XSMax photo sample 28

Photo samples taken by iphonexs 06

IPhone XS X tenbi portrait mode 01

Iphonexs photo sample food 01

Iphonexs photo sample food 02

Iphonexs photo sample food 03

特に撮影していて感じたのは、「A12 Bionic」による処理性能向上のお陰でシャッターを切るスピードが格段が上がったこと。Appleは「ゼロ・シャッター・ラグ」(シャッターを切る時の遅延がゼロ)と表現していたが、「iPhone X」と同じ条件下で比べてみても素早く写真を撮ることができ、シャッターチャンスを逃すリスクが減りそうだ。

特筆するべきその他の新機能・進化ポイント

iPhone XS/XS Max」が「iPhone X」から大きく変わったのはカメラ性能であることは間違いないが、他にもちょっとした進化があるのでそれらについても触れておく。

Face ID:現時点では体感できない程度の違い

Face ID Comparison
左がiPhone X、右がiPhone XS

Appleによると、「A12 Bionic」とニューラルエンジンのお陰で「Face ID」の認証速度が高速化していると説明しているが、そのような実感はゼロだ。何度も並べては認証を試したが、その差は実感できなかった。

iPhone XS」の「Face ID」が学習途中であるため、使い込んでいくうちに認証速度が向上する可能性もあるが、こればかりは使い続けてみないと分からない。

個人的には「Touch ID」が第1世代から第2世代に進化した時のような感動を期待していたため、少しガッカリした。

A12 Bionic:今回の主役はCPUやGPUではなく、ニューラルエンジン

「A12 Bionic」の性能はタダモノではない。

iPhoneとして史上最も多い4GBのメモリ(RAM)を搭載し、GPU性能はMacBook Proに匹敵ブラウザ向けベンチマークスコアがiMac Proを上回っていることが明らかになっている。

測定結果を載せておくが、正直これらのスコアは単体では意味がない。大事なのは、使用感に違いがあるかどうかだ。

ゲームや、写真・動画の編集をほとんど行わないせいか、体感ではiPhone XS」の操作性は「iPhone X」と何ら差がない。3GBの目盛りで不自由なく使うことができていたので、さらに1GB追加された差は体感できなかった。

とは言え、「A12 Bionic」のあるお陰で「iPhone XS」と「iPhone XS Max」は今までにないカメラ性能を実現できている。特にCPUやGPUではなく、8コアのニューラルエンジンによって「スマートHDR」や「深度コントロール」を実現していることから、ベンチマークスコアには現れないところで力を発揮している。まさに縁の下の力持ちだ。

スピーカー:音が驚くほど大きくなり、音圧が増した

IPhone XS XS Max Review 20

風呂の中でYouTubeを見るのが僕の日課。iPhoneのスピーカー性能はこの限られた時間の体験を左右する。

iPhone XS」と「iPhone X」を聴き比べると、その差は歴然。反響のない自室で試してもやはり音量が大きくなり、音圧が増しているような印象を受けた。

海外メディアによると、特にスピーカーフォン側のマイクの性能が向上しているようだ。動画やゲームなど、本体を横向きにして使う時に違いを実感できるはずだ。

ワイヤレス充電:以前よりも高速化

IPhone XS XS Max Review 44

複数の海外メディアやポッドキャストによると、「iPhone XS」のワイヤレス充電は従来と変わらず最大7.5Wのワイヤレス充電に対応しているが、以前よりも充電時間が約30分短縮されていると報じている。

僕自身、時間が迫っている時にはLightningケーブルで充電し、ワイヤレス充電は作業中や寝ている時などに使っている。そのため、充電時間の短縮は実感できていないが、改良されていることは大歓迎だ。

僕は、ワイヤレス充電台を部屋のあらゆる場所に配置しているが、今一番のお気に入りは「Logicool Powered Wireless Charging Stand」。縦にも横にも置くことができ、位置合わせが不要なのでストレスがない。

ヘッドフォンジャックアダプタが同梱されていない

IPhone XS XS Max Review 23

新機能ではないが、人によっては重要な変更点なので記しておく。

iPhone XS/XS Max」には「Lightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」が同梱されていない。厳密には、2018年の新型iPhone発売のタイミングでヘッドホン端子のないiPhoneから同アダプタの同梱を取り止めたようだ。

有線イヤホンやヘッドホンを使いたい人は、別途税別1,000円で購入する必要があるので注意が必要だ。

「iPhone XS」と「iPhone XS Max」、どちらを選ぶべきか

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冒頭でも指摘した通り、iPhone XS」と「iPhone XS Max」の違いはディスプレイ、サイズ、バッテリーだけ。実質的にはディスプレイサイズだけで選べば良いシンプルな2択であるように見えるが、僕はこの2モデルで大いに悩んだ。

その結果、僕は「iPhone XS」を選んだ。その結論に至るまでの過程を載せておく。

STEP1:「iPhone XS Max」の大画面を活かせるのか

僕の場合、「iPhone X」を1年近く使っているので「iPhone XS」の使い勝手を試す必要がなかった。そこで、iPhone XS Max」の画面サイズが必要なのかどうか、「iPhone XS Max」の方が「iPhone X/XS」よりも良い体験が得られるのか、という点について考えた。

最初に考えたのは大画面を何に活かすことができるか。これはブラウジングや動画を視聴する際に大きい画面の方が良いということがわかった。

IPhone XS XS Max Review 36

ブラウジングの場合は一度に表示できる情報が多い。動画の場合は映像自体が大きくなるため、横向きはもちろん、縦向きで見る際の迫力が増す。横向きにするのが面倒でiPhoneを縦向きのまま見ることもあるので、この点は大画面ならではの強みだ。

IPhone XS XS Max Review 40

なお、フルスクリーン表示にした際の見え方は「iPhone XS」と「iPhone XS Max」で差はなかった。

IPhone XS XS Max Review 39

撮影した写真を見返す時に使いたくなるのは「iPhone XS Maxだ。僕はMacで作業している時間の方がiPhoneを触っている時間よりも長いが、写真を見返すのはMacではなくiPhoneだ。当然、画面が大きい方が見やすい。

STEP2:実際にiPhoneをどのように使っているのか

iPhone XS Max」の大画面はコンテンツを見る上で非常に魅力的であることが分かった。次に、それらのコンテンツを見るために毎日どの程度の時間を割いているのか、確認してみることにした。

ここで活用するのは、「iOS 12」から提供開始された「スクリーンタイム」。

Screentime for iphonexs

「スクリーンタイム」を見れば、日々多くの時間を過ごしているアプリを簡単に知ることができる。

その結果、僕が最もよく使っているアプリは「Google Maps」「YouTube」「Safari」「Facebook」「Twitter」であることが判明。特に「Google Maps」はカーナビとして使っていることから、大画面でより見やすくなる。「iOS 12」では「CarPlay」に「Google Maps」も対応した。

「YouTube」は毎晩風呂で見ていて、Safariは日々情報をチェックする上で欠かせない。「Facebook」や「Twitter」もそれぞれのタイムラインを見るためにアプリを開いているという自覚がある。

上位5つのアプリに限って言えば、大画面を活かすことができる。よって、「iPhone XS」よりもさらに多くの情報を一度に表示できる「iPhone XS Max」が自分の使うべきモデルではないかと思い始める。

STEP3:片手操作はどれほど重要か

ところが大画面には必ずつきまとう悩みがある。それは、片手で操作できない問題だ。

iPhone XS Max」はホームボタンが廃止されたスペースもタッチ操作できる6.5インチの巨大なディスプレイになった。ホームボタンを押し込む動作がなくなりスワイプがメインになったことで、Plusモデルよりは操作しやすいという印象はあるが、やはり大きい。片手で操作するのは不可能だ。

IPhone XS XS Max Review 35

かつて僕はiPhone 7 PlusなどPlusサイズを愛用していた。両手で操作すれば問題なく、片手もうまく握り方を調整すれば可能と言えば可能。

ところが、この1年で「iPhone X」に慣れてしまった僕の指は、当時のように操作することができなくなっていた。これが非常にストレスだった。

キーボードを寄せてみたが、「iPhone X」のキーボードの配置に慣れていたため、「iPhone SE」と同じキーボードだと窮屈だった。誤字を連発してしまった。

STEP4:重さに耐えられるか

iPhone XS Max」に傾いていた僕だが、文字入力をしているうちに、自分は片手操作の快適さは重要であることが分かった。

特に「iPhone XS Max」の片手操作に追い打ちをかけるようにストレスを与えていたのは、本体の重さ。本体単体は208gだが、これにケースや保護フィルムなどを付けると気づいたら240g近くになることも考えられる。

IPhone XS XS Max Review 33

iPhone X」もiPhone 7に比べるとずっしりと来る重さだが、僕の指には「iPhone XS Max」の重さは負荷が高すぎた。1日過ごしただけでも指がじんわりと疲れていたことを実感した。

さらに、重さと大きさのコンボによって僕が履くことの多い、タイトなジーンズにねじ込めなくなった。もし僕がBoAだったら「iPhone XS Max」では戦うボディになり得ない。小さな願いにも輝くチャンスをあげることもできないだろう。

STEP5:結論は「iPhone XS」

結果として、僕は「iPhone XS Max」ではなくiPhone XS」を選んだ

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電池持ちが長いことも魅力的だったが、この1年で「iPhone X」のサイズ感にすっかり慣れてしまったのか、より大きい画面で得られる快適さよりも操作性の良さが勝ったようだ。

まとめ:「iPhone XS/XS Max」は買うべきか

IPhone XS XS Max Review 42

最後に毎年恒例の質問だ。iPhone XS」と「iPhone XS Max」は「買い」なのか

すでに「iPhone X」を持っているのであれば、答えはNOだ。確かにカメラは進化しているが、カメラのためだけに10万円以上支払うのはあまりにももったいない。

1年も我慢すれば、今年のモデルに搭載されている機能がさらに進化・改良されたモデルが来年登場することはほぼ間違いないだろう。場合によってはメジャーアップデートになるかもしれない。

さらに言えば、「iOS 12」を「iPhone X」にインストールし、「iPhone XS」に含まれている純正壁紙を設定すればもはや「iPhone XS」を持っていると変わらないレベルだ。

iOS 12

iOS 12」はフォーマンスの改善・改良が主となっているが、iPhoneの使い勝手が向上する新機能も色々と用意されている。

  • グループ通知の登場
  • Siriの機能強化、ショートカットの登場
  • スクリーンタイムでiPhoneの使用時間を可視化
  • おやすみモードが位置情報やカレンダーと連動可能に
  • ARでリアルのものを計測できる計測アプリの登場
  • 自分のアニ文字が’作れるミー文字の登場

詳しくは「iOS 12:絶対に抑えておきたい新機能10選」からどうぞ!

一方で、今年のiPhoneは目立たない進化だからこそ魅力的、という考え方もできる。”S”モデルだからこそ昨年をベースにより改良したモデルであり、「iPhone X」より完成度が高くなっていることは言うまでもない。

iPhone 7以前の端末を使っていてそろそろ機種変更をしたい、という人は「iPhone XS」や「iPhone XS Max」に乗り換えればきっと満足できるはず。

ただし、記事執筆時点ではiPhone XR」の登場が控えている。「iPhone XS」シリーズと比べると”ハイエンド感”は失われるものの、価格が数万円安く手に入るという点では魅力的だ。

急ぎではなく「最上位機種」というステータスにこだわりがなければ、もう少し様子を見ても良いかもしれない。

iPhone XS」と「iPhone XS Max」は「iPhone X」とから劇的な進化ではないように見えるが、iPhoneとしてのレベルは確実に上がっている。革新的な新機能は提供せずにパフォーマンスのチューニングに徹した「iOS 12」に相応しい機種だと感じる。

僕は仕事柄「iPhone X」から「iPhone XS」に買い換えたが、「iPhone X」と比べるとカメラのクオリティにあまりにも大きな差があるため、仕事ではなかったとしても「iPhone XS」に買い替えただろう。

iPhoneは毎日持ち歩いているカメラ。性能が向上するほど、撮影する思い出はより美しく残り、見返した時に楽しくなる。特に娘が生まれてからiPhoneで写真を撮ることが格段と増え、今まで以上に写真の仕上がりが気になるようになった。

Me and my daughter with iphone xs 01

常に一眼レフカメラは持ち運んでいられない。撮りたい時にパシャッとカジュアルに撮り、その写真の仕上がりが目に見えて良くなるのであれば、買い換える価値は十分にあると思った。

進化を体感できるのはカメラだけと感じるかもしれないが、カメラが進化したからこそ「iPhone XS」と「iPhone XS Max」は魅力的。この先1年間、今まで以上に綺麗な思い出をいっぱい残し続けたいと思う。

iPhone XS / XS Max
8.5/10

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公開情報
更新日2020年04月13日
執筆者g.O.R.i
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