なぜトランプ大統領は米国をWHOから脱退させたいのか
年間12.84億ドルの拠出金負担解消へ 国際保健協力の転換点に
「米国のWHO脱退」という衝撃的なニュース。トランプ大統領の就任初日から飛び出したこの決断の背景には、一体どのような理由があるのだろうか。
前回の大統領在任中、新型コロナウイルスの対応を巡ってWHOと激しく対立していたトランプ大統領。当時も脱退を試みたが、期限内に実現できずバイデン政権へと移行した。2期目の就任早々、この重大な決断を下した真意を探ってみた。
🚨BREAKING: Trump withdraws from the World Health Organization (WHO) pic.twitter.com/7PlYuHcDNK
— Autism Capital 🧩 (@AutismCapital) January 21, 2025
トランプ大統領、新型コロナ対応と拠出金に不満
トランプ米大統領は2025年1月20日の就任初日、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明し、大統領令に署名した。脱退の主な理由として、WHOの新型コロナウイルス対応への不満を挙げている。特に2020年のパンデミック初期における対応について「中国寄りの姿勢」米国の拠出金が他国と比べて「不当に高額な拠出金」を主な理由として挙げている。
脱退表明の背景
トランプ大統領は大統領令で「中国・武漢で発生した新型コロナウイルスのパンデミックなど、世界的な健康危機への対応を誤った」とWHOを強く非難。また米国は2023年にWHO予算の約20%を占める12.84億ドルを拠出しており、この負担の不公平性も指摘した。
米国へのメリット
- 年間12.84億ドルの拠出金負担が不要に
- 独自の保健政策の展開が可能
- 中国の影響力への対抗姿勢を示せる
米国へのデメリット
- 世界的な感染症情報の入手が困難に
- 新薬開発における国際協力からの孤立
- 国際社会での影響力低下の可能性
世界への影響
WHOの最大の資金提供国である米国の脱退は、国際保健協力体制に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に途上国支援や感染症対策において、WHOの活動規模縮小が懸念される。
日本やEU諸国には、米国不在の中での国際保健協力の新たな枠組み作りが求められる。特にワクチン開発や医療支援の分野で、より積極的な役割が期待される。
ドイツやイギリスなど他の加盟国は脱退の意向を示していない。一方で、中国の影響力拡大を懸念する声も上がっている。トランプ大統領はホワイトハウスでの演説で「わが国はWHOにだまし取られている」と語った。
法的手続きと課題
1948年の米議会決議により、WHOからの脱退には1年前の通告が必要とされる。また未払いの拠出金についても支払い義務が生じる。専門家からは「米国の国益と安全保障に対する重大な打撃となる」との警告も出ている。
アメリカは自国内にNIHとかあるからWHOなくても公衆衛生担保できそう