EU、Appleに800億円の制裁金。デジタル市場法違反で初の罰則
App Store運営方針がデジタル市場法に違反、60日以内のビジネスモデル変更要求でAppleの収益構造に影響も
欧州連合、AppleとMetaに制裁金を科す – デジタル市場法違反で初の罰則
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は23日、デジタル市場法(DMA)違反を理由に、米Appleに対して5億ユーロ(約800億円)、米Metaに対して2億ユーロ(約320億円)の制裁金を科すと発表した。DMAが2024年3月に本格運用されて以来、違反による制裁金が科されるのはこれが初めてのケースとなる。日本経済新聞が報じた。
欧州委員会は両社に対し、60日以内にビジネスモデルの変更を求めており、対応が不十分な場合は追加の制裁金を検討するとの警告も行った。
Appleの違反内容 – アプリ開発者の選択肢を制限
欧州委員会はAppleのApp Storeについて、アプリ開発企業が利用者を他の割安な流通チャネルに誘導することを阻む仕組みがあるとみなした。具体的には、アプリ開発者が自社のウェブサイトなど、App Store外の代替配信チャンネルをユーザーに案内することを技術的・商業的に制限していると判断している。
Appleは以前、iPhoneでのアプリ配信を自社のApp Storeに限定していたが、DMAの本格運用を受け、2024年3月にEU域内では外部のストアからもアプリを取得できるようにルールを変更した。しかし、人気アプリに対しては「技術手数料」(Core Technology Fee)を新たに設けるなどの対応をとったため、アプリ開発者からは「制度の骨抜きだ」との強い反発を受けていた。
Appleのビジネスモデルと今回の制裁の影響
Appleは長年、App Storeを通じたアプリ配信の一元管理によって、ユーザーエクスペリエンスの統一性とセキュリティを保証してきた。この閉鎖的なエコシステムは、同社の重要な収益源となっているだけでなく、iPhoneやiPadなどのハードウェア製品の価値を高める要因にもなっている。
今回の制裁金とビジネスモデル変更の要求は、Appleの収益構造に直接的な影響を与える可能性がある。特に、App Store経由の課金に対する30%の手数料(いわゆる「Apple税」)は、同社のサービス部門の収益の大きな部分を占めており、この仕組みが崩れることはAppleの業績に少なからぬ影響を及ぼす恐れがある。
Appleの対応と今後の展開
Appleはこの決定に対して異議を唱える意向を示しており、欧州委員会の決定がユーザーのプライバシーとセキュリティを損ない、同社の製品に悪影響を与えるとして批判している。同社は、この決定が自社の技術を無償で提供することを強制するものだと主張している。
Appleは今後60日以内に、EU当局の要求に応じたビジネスモデルの変更を行う必要があるが、同社がどのような対応を取るかは現時点では不明だ。完全に要求に従うか、部分的な変更にとどめるか、あるいは法的手段に訴えるかなど、様々な選択肢が考えられる。
Metaへの制裁と概要
一方、Metaに対しては、InstagramやFacebookなどのSNSプラットフォームにおける広告モデルがDMAに違反していると指摘された。欧州委員会は、ユーザーに「有料か無料か」の二者択一を迫るビジネスモデルが不適切だと判断した。
Metaは欧州委員会が中国企業や欧州企業には異なる基準を適用する一方で、成功している米国企業に不利な条件を課しているように見えると指摘している。
DMAの目的と今回の制裁の意義
DMAは、IT大手が支配的な地位を乱用することを防ぐ目的で制定され、2022年11月に発効した。プラットフォーマーの寡占を防ぐため、あらかじめ禁止行為や義務を定めて順守させる「事前規制」の手法を採用している。重大な違反には年間売上高の最大10%、繰り返せば最大20%の制裁金を科すと定めている。
今回の制裁金は、EUが巨大テック企業に対するデジタル規制を本格的に執行し始めたことを示す重要な一歩となった。特にAppleのような巨大企業のビジネスモデルに対する影響は大きく、今後のテクノロジー業界全体の動向にも影響を与える可能性がある。
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