Anthropic、東京に初のアジア太平洋拠点開設へ 日本語版「Claude」今秋リリース
楽天・野村総研・パナソニックなど大手企業での導入拡大が背景、完全ローカライズで自然な日本語対話を実現
生成AIのClaude(クロード)を開発するAnthropic(アンソロピック)が、今秋に東京でアジア太平洋地域初となる事務所を開設し、日本語版Claudeをリリースすることを発表した。日本企業からの急速な需要増加と、パナソニックや楽天といった大手企業との戦略的提携が背景にある。
AWS Summit Japanに登壇したAnthropic収益統括責任者のKate Jensen(ケイト・ジェンセン)氏が、東京事務所の開設準備が最終段階にあることを明らかにした。これまでもClaudeは日本語や文化を理解していたが、新たにリリースされる日本語版では、スマートフォン、ウェブ、デスクトップなどのプラットフォーム上で完全にローカライズされた日本語対応が実現される。
日本企業での導入事例が続々
テクノロジー、金融、製造業など幅広い分野の日本企業が、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Anthropic APIを通じてClaudeを導入している。多くの企業から生産性向上やコスト削減で大きな成果があったという報告が寄せられているという。
具体的な導入事例として、楽天では複雑な自立型コーディングプロジェクトでClaudeを活用し、7時間ノンストップの開発セッションを実現。開発者の生産性が飛躍的に向上したとしている。野村総合研究所では文書の分析ワークフローをClaudeで刷新し、複雑な日本語文書の分析処理時間を数時間から数分に劇的に短縮した。
パナソニックはClaudeを自社の業務プロセスに加え、AIを活用したデジタルファミリーウェルネスプラットフォーム「Umi」にも導入。法人および個人向けの多様なユースケースに対応している。
最新のClaude 4シリーズを提供
Anthropicでは、Claude Sonnet 4やClaude Opus 4を含む最新のClaude 4シリーズを、Anthropic API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AIを通じて日本の顧客に提供している。これにより、日本企業が求める厳格なセキュリティとコンプライアンス基準を満たした上でのサービス提供が可能となっている。
Claude 4は、即時応答と長期的な思考プロセスを柔軟に切り替えられる画期的な性能を備え、複雑な課題にも対応できる。Opus 4は最も高度なインテリジェンスが求められるタスク用に設計された世界最高水準のコーディングモデルで、Sonnet 4は優れたコーディング性能と日常的な使いやすさを兼ね備えた汎用性に優れたモデルとなっている。
エージェント型ツールClaude Codeも展開
同社のエージェント型コマンドラインツールであるClaude Codeも、ターミナル上で自然言語コマンドによる開発ワークフローを加速化したい日本の開発者に活用されている。Claude CodeはClaude Opus 4およびClaude Sonnet 4を基盤とし、軽微なバグ修正から大規模なリファクタリング、Gitを使ったワークフロー管理まで、セットアップを変更することなく実行できる。
Kate Jensen氏は「Anthropicの日本進出は、先進的で信頼性の高いAI技術を求める企業のニーズに応えるものだ。日本企業は、Claude 4における世界屈指のコーディングや推論能力から、日本でのビジネスに不可欠な文化的ニュアンスの理解度の高さまで、Claudeの多機能性を評価し、採用に動いている」と述べている。
Anthropicは2020年12月に元OpenAI社員らによって設立され、安全性と人間性を重視したAI開発を目指している。これまでに170億ドル超の資金を調達し、企業評価額は615億ドルに達している。同社の「憲法AI」アプローチでは、AIモデルを「有用かつ害なく誠実」であるよう学習させており、この理念は日本が重視する責任ある技術開発の姿勢とも一致している。
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