やっぱり”安心感”が違う。M2 MacBook Airを使ってわかった14インチMacBook Proの魅力
やっぱりMacBook Proは”Pro”が付くだけの明確な理由がある
M2 MacBook Airがすっかり気に入ってしまい、14インチMacBook Proとの棲み分けに延々と悩み続けている。外部ディスプレイの制限はあるものの、単体で使用する分には素晴らしいマシーンだ。少なくとも僕の使い方ではパフォーマンスに不満がない。
ところが久しぶりにメインマシーンを14インチMacBook Proに戻したところ、製品として完成度の高さにため息が出た。本当にバランスの優れた製品だ。本記事ではM2 MacBook Airを使ってわかった14インチMacBook Proの魅力を解説する。
「そろそろ14インチMacBook Pro使いたいなあ。」戻ってきた理由
購入したM2 MacBook Airは、8コアCPU、10コアGPU、24GB RAM、2TB SSDを搭載する、購入し得る最もスペックの高いモデルだ。普段使用しているM1 Proチップ搭載の14インチMacBook Pro(10コアCPU、16コアGPU、32GB RAM 、2TB SSD)に何かが起きた際のバックアップマシーンとして購入したため、合わせられる限りスペックを合わせてある。
14インチMacBook Proに戻ってきて、真っ先に感じたのは「安心感」。M2 MacBook Airで「やりたいこと」はできたが「できないこと」がいくつかあり、これまでの作業フローや見直す必要があった。
特に際立ったのは、使用している外部ディスプレイとの相性、SDカードスロットの有無だ。
5K2Kディスプレイとの相性が抜群に良い
僕の作業時間の大部分は、外部ディスプレイに接続している。作業環境は、5K2Kディスプレイと4Kディスプレイで構成されている。M2 MacBook Airは外部ディスプレイの制限があり、14インチMacBook Proと同じ使い方ができない。
M2 MacBook Airは出力可能な疑似解像度が低い
メインのディスプレイは5K2Kのウルトラワイドモニター。M2 MacBook Airを5K2Kディスプレイに出力する場合、HiDPIで使用できる解像度は3,008 x 1,269まで。14インチMacBook Proが出力できる3,360 x 1,418は選択できない。
回避方法として、SwitchResXやBetterDispay(旧BetterDummy)などのツールを導入し、システム環境設定上では設定できないディスプレイの解像度が指定できるが、”無理矢理感”は否めない。ディスプレイ接続解除した際にディスプレイの配置設定などがリセットされるため、外部ディスプレイとの接続・解除を頻繁に行う人には向かない。
3,008 x 1,269でも使えないことはないが、5K2Kディスプレイの魅力を活かしきれていない気がしてしまう。
4K、5K、6Kの通常アスペクト比を持つ外部ディスプレイであれば、解像度の問題は遭遇しない。広い作業領域とHiDPIを求めてStudio DisplayやPro Display XDRの導入も検討したが、予算の都合上見送った。
M2 MacBook Airは2枚目のディスプレイが出力できない
1枚目のディスプレイが理想どおり出力できない問題にくわえて、2枚目のディスプレイが出力できない問題もある。DisplayLinkをサポートしたハブを使用することで出力自体は可能だが、制限は多い。

幸いにも2枚目のディスプレイニオ表示しているアプリは、メッセージ関連が中心。他のウィンドウに重なる位置に置いたり、仮想デスクトップ(Spaces)に置いたりして新しい配置を探ってみたが、ピンとこなかった。
SDカードスロットはやっぱり便利だ
地味に堪えたのは、SDカードスロットがないことだ。
普段使用しているカメラはCanon EOS R5。CFカードとSDカードが用意されており、連続して枚数を撮る場合はCFカードを選ぶが、普段のスナップは取り込みやすさからSDカードに記録することが多い。
M2 MacBook Airに移行すれば、自然とCFカードで記録する習慣が付くと期待したが、無意識にSDカードを設定してしまい、記録したデータを簡単に移せない状況が面倒だった。SDカードスロットがないと生活できない身体になってしまったようだ。
偶然にも先日、EOS R5が故障。SDカード限定のEOS R6がメインカメラになった。ますますSDカードスロットが手放せない。
離れてたからこそ気付いた、14インチMacBook Proの魅力
M2 MacBook Airをメインマシーンとして使ったことで、改めて14インチMacBook Proの魅力がわかった。粗探ししているようだが、素直に感じた違いを事細かく書き起こしていることを理解してもらいたい。
キーボードもトラックパッドも”Pro”
M2 MacBook Airの筐体は軽くて薄いが、キーボードの打ち心地は14インチMacBook Proのほうが優れている。トラックパッドの音も深みがある。物理的に厚みがある分、構造に余裕があるのだろう。
作業領域は広ければ広いほうがいい
内蔵ディスプレイは、14インチMacBook Proのほうがわずかに広い。作業領域は広いほうが作業しやすい。
(僕は差が見分けられないが)ディスプレイパネルは明確に違いあり
僕の目には120HzもミニLEDも見分けられないが、あえて性能の低いディスプレイに見慣れる必要がない。
右側にポートがあるって素敵
本体の左右に充電用ポートがあることが、どれほど便利か。
いざというときに。長時間の高負荷作業に貢献する
M1 Proチップのパフォーマンスは、日頃行う作業においてオーバースペック。しかし高負荷な作業が続くと劇的な差がある。特に複数の作業を並行して行う場合、マシーンの余力はあったほうが良い。
数百枚のRAW画像を書き出す機会があり、14インチMacBook Proのお陰で他の作業に支障をきたすことなく、サクサクとこなせた。同様の作業をM2 MacBook Airで試したところ、2倍以上の時間がかかり30%以上の電池を消費した。
今の生活スタイルに困らない電池持ち
14インチMacBook Proでバッテリー不足を感じたことはない。少なくとも今の生活スタイルでは、長時間バッテリーの恩恵を受ける可能性は低い。
M2 MacBook Airで十分だが、14インチMacBook Proに慣れてしまった
手元に14インチMacBook Proがありながら、あえて自分に不便を強いてまでM2 MacBook Airをメインマシーンにすることはできなかった。作業内容にマッチした製品はM2 MacBook Airだが、外部ディスプレイを使う作業スタイルを考えると14インチMacBook Proが最適だ。
もし手元に14インチMacBook Proがなかったら、M2 MacBook Airに傾いていた可能性が高い。手元にある構成で14インチMacBook Proを購入すると、価格は456,800円。M2 MacBook Airは348,800円。外部ディスプレイの制限やSDカードの不便を知った上で、M2 MacBook Airを選ぶだろう。
もっと言えば、作業環境が外部ディスプレイ1枚で構成されていれば、解像度を妥協してすんなり移行していた可能性すらある。それほどM2 MacBook Airは気に入っており、不満が少ない。スペックやベンチマークではMacBook Proに劣っているイメージだが、実際に作業する上では十分に高性能だ。
複数台のMacを並行して使用しているユーザーが教えてくれた使い分け方を参考に、当面の間はメインマシーンを14インチMacBook Proにしつつ、M2 MacBook Airを日常的に使うスタイルを模索していきたい。
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M2 Airが高くなったというより円の価値が下がっただけなんで、そこはしょうがないかと…
13インチMBPから買替を検討する中、14インチMBPとM2MBAとで随分悩みました。そんな中で店頭での実機確認と同じくらいgoriさんの一連のレビュー、とても参考になりました。ありがとうございました。M2MBAは仕様表だけ見るとなんだか良さより排熱など懸念点の方が気になる印象でしたが、実際には13インチMBPの性能をベースに「PCを持ち運んでしっかり仕事をする」という用途にフォーカスをしっかり絞って商品を進化させたのだなと気づきました。そういう意味では価格も高いけど妥当な範囲だし、排熱フィンやスピーカー、goriさんにとって最大のボトルネックになったモニター接続など「諦めた仕様」には一貫性があり、理にかなっているように感じられます。結論、ほぼ毎日PCを持ち運ぶ一方で作業としてはkeynote、Photoshop、Lightroomが中心の私にはM2MBAの方が合うとかなり納得して商品購入ができました。ただ、MacBookAirという商品がこれまで軽量というだけでなく安価な入門用のMacBookというイメージが広く定着しているせいで、「高くなった入門機」というあまり良くない第一印象を多くの人に与えてしまっているようにも思いました(自分がそうでした)少しそこはもったいないなと思いました。